目次
- ■ 相続人関係図
- ■ 相続財産
- ■ 依頼までの経緯
- ■ 依頼内容
- ■ 対応と結果
- ■ ポイント
■ 相続人関係図
相続人は、長男・二男の2名。
■ 相続財産
長男との共有で購入した不動産(土地・建物)
※土地・建物は被相続人持分1/5、長男が4/5。長男死亡により、孫A2/5、孫B2/5を相続
※配偶者は、長男死亡以前に離婚されているため、相続はありません。
■ 依頼からの経緯
長男死亡時には長男の配偶者とは離婚をされており、相続財産である不動産には居住者がいない状態でした。
この相続財産は、被相続人と配偶者は遠方に居住していため、長男の元配偶者が維持管理していました。
長年、維持管理をしており、その労務から相続財産である土地・建物の売却を元配偶者と孫A・孫Bが望んでいました。
被相続人が亡くなられる5年程前その売却の依頼を受け、何度となく被相続人と配偶者へお伺いしましたが、「売却して、孫との縁が切れるのが嫌」と言う理由で売却には前向きではありませんでした。
その後、被相続人と配偶者に認知症の症状が現れ、保佐人が選任されました。
保佐人が選任されてから、半年ほどで被相続人が亡くなられた、という経緯です。
■ 依頼内容
被相続人が持つ、土地・建物持分1/5の相続。
※預貯金は施設の入所費用などによりありません。
■ 対応と結果
相続税はかからず、被相続人が持つ、土地・建物持分1/5の分割です。
被相続人の配偶者には行政書士の方が保佐人として対応をいただきました。
※保佐人の役割
保佐人は、被保佐人が行う一定の法律行為に対して同意権と取消権を持ちます。
さらに、申し立てにより代理権が付与される場合もあります。
保佐人の「一定の法律行為」については民法第13条1項に定められており、ここに相続の承認、相続放棄、遺産分割も含まれます。
相続人に被保佐人がいる場合、相続に関する行為には保佐人の同意が必要となります。
被保佐人が不当に相続放棄を求められる・認知症のために遺産分割協議が進められないなどといったケースにおいて、被保佐人が不利益を被らないよう保佐人は配慮しなければなりません。
以上のように今回のケースは、家庭裁判所の審判を受け、被保佐人に代理権が付与されているため保佐人が被保佐人のために遺産分割を代わりに行うことになりました。
また、孫Aおよび孫Bは、未成年者せあるため、孫Aにはその母である長男の元配偶者、孫Bには母のお父さんに特別代理人として家庭裁判所へ専任の届出を行い、遺産分割協議に参加いただきました。
相続財産を売却して現金で分ける換価分割と言う方法もありましたが、被相続人の配偶者の施設費用や生活費を現金として早く用意したい、ということから、相続財産の査定金額から被相続人の配偶者の持分相当額を孫Aと孫Bが現金にて支払うことにより遺産分割協議が完了しました。
■ ポイント
今回のように、元々親子で共有している不動産は、共有者の一方が亡くなられた場合、揉める要因となります。
これは、今回のケースのように祖父と孫が共有している状態で、孫側から売却をしたくても、「孫との縁が切れるのは嫌」など祖父・祖母側から反対されるケースがあります。反対に孫の母親から見れば分かれた主人の親でですから他人も同然です。
一日も早く縁を切りたいはずです。
5年もの間、売却できずにいた不動産ですが、被相続人の死亡、その配偶者の施設の費用の捻出、被相続人の配偶者の認知により保佐人が選任されたことにより、遺産分割協議を終えることができました。
万一、被相続人に亡くなられた長男以外に子がいた場合には複雑になります。
相続は、専門知識を必要とします。私は問題と言わずに、専門家に確認だけでもされることをオススメします。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠
私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。
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