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3.252024

コラム

相続実例⑩養子に出された相続人がいる場合の相続事例

相続実例

■ 養子に出された相続人がいる場合の相続事例


目次

  • ■ 相続人関係図
  • ■ 相続財産
  • ■ 依頼までの経緯
  • ■ 依頼内容
  • ■ 対応と結果
  • ■ ポイント

■ 相続人関係図


相続人は、母親・長男・二男・長女・三男(他家へ養子)の5名。

■ 相続財産


① 自宅(土地・建物)

② 二男自宅敷地

③ 長女自宅敷地

④ アパート2棟

⑤ 貸家2軒

⑥ 月極駐車場

⑦ 預貯金

■ 依頼までの経緯


今回のご相談は、金融機関よりご紹介をいただきましたご依頼です。

金融機関にて公正証書による遺言を作成しておりますが、亡くなられたお父様の相続人は、配偶者であるお母様と実子が4人(長男・二男・長女・三男)です。ただし、三男は生まれてすぐに他家に養子に出しています

母親は、三男が養子に出してから3度ほどあったことがあり、実子3人(長男・二男・長女)は、三男が養子に出されてから一度だけ合ったのみと言うことです。

そして、遺言の内容は、母親が自宅(土地・建物)とアパート1棟。そして預貯金、長男がアパート1棟・貸家2件・月極駐車場、二男は、自宅敷地、長女は、自宅敷地。相続税は預貯金から捻出する。という内容です。

■ 依頼内容


① 相続税の申告手続きの補佐。

② 税理士との調整。

③ 遺言手続きの保佐。

④ 三男との相続の説明と今後の対応。

■ 対応と結果


今回の問題点は、分割方法も指定され、納税資金も預貯金で捻出できますが、養子に出した三男の相続分がなく、遺留分の減殺請求(現行民法では遺留分侵害額請求)を行ってくるのかどうか。という点です。

三男を養子に出してから1度しかあったことがないというのは、ほとんど他人みたいなものです。

突然、母親が亡くなったから「遺言でこうなっているから、判を押して」とは簡単には言えません。

まして、母親の死亡を電話ではなく、電報で伝えているのがまた気になるところです。

まずは、長男・長女・二男の連名で手紙を差し上げ、様子を見ることにしました。

10日間連絡が来なかったので、私が再度手紙を持参のうえ、訪問することに、

インターホン越に話はできましたが、「私は、他人ですから関係ありません」との返答です。

その場は手紙をポストに投函して帰ってきました。その後7回訪問して、計8回目に玄関まで入れていただきました。

三男の結論は、「一度しか会っていない人は身内とは思えない」「母親とは3回ほどあったが少しの時間だけですぐに帰っていきました。私は要らない子だったんですよ。」などかなり苦しんできた様子です。

また、お子様のいない家庭に養子として迎え入れられたのですが、5歳のときに実子(長男)が生まれ、養親は実子をかわいがり、寂しい思いだったようです。

その数日後、連絡を入れ、遺言のとおりで文句は言わないこと。遺産分割協議書に署名・捺印が必要ならそうします。との連絡をいただきました。

ただし、条件は私が一人で訪問することでした。


■ 遺留分減殺請求

「遺留分減殺請求(いりゅうぶんげんさいせいきゅう)」とは、相続人が「最低限度の遺産をもらえる権利」である遺留分を確保するために行う請求です。遺留分減殺請求は旧民法における制度で、現行民法では「遺留分侵害額請求」と改められています。

「遺留分」とは、相続できる財産の最低保障額です。兄弟姉妹以外の相続人に認められています(民法1042条1項)。

遺留分の目的は、相続人の相続に対する期待を一定程度保護することです。


■ ポイント


今回の事例のようにお子様が多く、お子様のいない家庭に養子として迎え入れられることは少なくありません。

ただし、親の相続の場合、それまでの恨み、つらみがある場合も少なくありません。

今回のように遺産分割協議書に判を押していただける場合もあれば、遺留分減殺請求期限である1年間をひたすら待つしかない場合もあります。

今回は、自身の気持ちを抑えて遺産分割にご協力をいただき非常に助かりました。

相続とは、必ず相続人の署名捺印が必要となります。

常に顔を合わせる間柄ならまだしも養子に出して何十年も会っていなければ他人と同じです。

相続人同士の揉め事は作らず、仲良くしていただきたいことをオススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

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