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7.222024

相続実例⑭公正証書遺言が未完成のまま相続を迎えた相続事例

目次

  • ■ 相続人関係図
  • ■ 相続財産
  • ■ 依頼までの経緯
  • ■ 依頼内容
  • ■ 対応と結果
  • ■ ポイント

■ 相続人関係図


相続人は、長男・長女・次女・三女の4名。

■ 相続財産


自宅敷地・建物、アパート3棟、駐車場、銀行預金、生命保険

■ 依頼までの経緯


亡お母様(被相続人)Aさんには、長男、長女、次女、三女と4人の子供がいます。

Aさんは長男と同居しており、その他の長女、次女、三女の子供達は皆、実家を離れ各々の家庭を築き暮らしています。

Aさんは数年前に足を骨折され、そのケガの影響で施設に入所していました。

ある日、突然にAさんから「公正証書遺言の作成をお願いしたい」との相談を受け、お手伝いすることになりました。

Aさんが遺言書を遺すことを決意した背景には、長女、次女、三女の3人の子供達の相続に対する考え方がありました。

Aさんは、ご主人が先に亡くなられ、その際に長女、次女、三女に数千万単位で現金を相続させています。

その後も、長女、次女、三女の3人が施設に訪問されるたびにAさんの相続時には「私には○○○○万円相続して」「私にはアパートを相続して」と執拗に言われるそうです。

そのような長女、次女、三女に対し、同じ施設の入所者の方々が、「そんなに長女、次女、三女に相続させたら長男はどうするのよ」と長男を心配して考えを改めるよう説得していたようです。

この説得により、長女、次女、三女には相続させないというわけではありませんが、長男が家を守れるように、また生活に困らないよう公正証書の遺言の作成を希望されたのです。

遺言の内容は「Aさんのご主人が亡くなられた際、多額の現金を渡してあるので今回は、長男に相続させたい」「手続きがスムーズにいくように協力していただきたい」の想いを受け素案を仕上げましたが、公証人に出張を依頼した予定されていた日の2日前に、Aさんは亡くなられ、公正証書遺言の作成は間に合いませんでした。

■ 依頼内容


依頼は、長男からです。

①お母様の公正証書遺言の作成は間に合いませんでしたが、公正証書を作成しようとした行為を長女・次女・三女に説明をしてもらいたい。

②税理士と無事に相続をまとめてもらいたい。

■ 対応と結果


公正証遺言を作成する際、事前に遺言の内容を公証人と打合せを行います。その打ち合わせ内容を公証人が作成をし、確認をする流れになります。

今回は、公正証書遺言作成の2日前に亡くなられたこともあり、公正証書遺言の作成は完了し、Aさんの確認と証人の署名捺印を待つ状態でした。

このため、事前に公正証書を作成し、Aさんの遺言の内容、付言によりどのような経緯にて遺言の内容となったのか、を相続人全員が集まった場所にてご説明させていただきました。

その後、相続人一人ひとりとお会いし、ご納得のうえ、税理士・行政書士にて遺産分割協議書に署名・押印まで完了することができました。

■ ポイント


公正証書遺言を作成する一般的なメリットは、遺言者の最終意思を家族に残せるということです。

ただし、今回は最終的にまとまりましたが、長女・次女・三女に話を伺うと、Aさんも子供に相手にされなくなるのが怖かったようで、長女・次女・三女の3人には「お前には現金を渡すよ」など伝えていたようです。

長女・次女・三女の3人は、お父さんの相続時に多くの財産を相続していたこともあり、今回はある程度にて承諾をいただきましたが、「子供に相手にされなくなるのが怖い」。気持ちはわからないわけではありませんが、このようなことは迷惑なことです。

今回のケースはどこでもある話ですが、相続するに際し、相続する中心は誰なのか、その他の相続人はこのような理由で財産を渡せない、など直接伝えるか、何も言わずに公正証書遺言を作成するか、曖昧な対応だけはされないことをオススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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