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3.42024

コラム

相続の基礎知識!第2弾(誰が相続できるのか)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 配偶者と血族相続人 
  •  ー配偶者
  •  ー血族相続人(第1順位)子・胎児・孫・直系卑属
  •    胎児の相続権 
  •    代襲相続
  •    嫡出子と非嫡出子
  •  ー血族相続人(第2順位)直系尊属
  • ■ 相続人としての資格を失う場合
  •  ー相続欠陥
  •  ー相続廃除
  • ■ まとめ

■ はじめに


人が亡くなると、親族の誰かが相続人として遺産を受け取ることになります。誰が相続人となるかは民法で定められています

民法では、配偶者と血族相続人である子、直系尊属、兄弟姉妹が定められています。例外的に代襲相続の場合があります。

今回は、「誰が相続できるのか」、などの基本的な概要をわかりやすくお伝えします。

■ 配偶者と血族相続人


●配偶者

配偶者は相続開始時に存在していれば常に相続人になります。他に血族相続人が存在していなければ単独で、存在しているときはその者と共同で相続します

配偶者とは、婚姻届けを提出している法律婚姻状態にあることが必要であり、内縁関係については、相続の場合認められていませんので注意が必要です。

※相続開始時に配偶者であることが必要であり、亡くなる直前に離婚届が受理されていれば相続する権利はありません。

●血族相続人(第1順位)子・胎児・孫・直系卑属

血族相続人には「被相続人に近い人」が先の順位となります。第1順位の血族相続人は「子」であり、胎児も生まれてくることを条件に「子」と同じ扱いとなります

子が被相続人の死亡以前(同時又はそれ以前)に死亡していたときは代襲相続人として孫やそれ以下の直系卑属が第1順位の相続人となります。

※子が養子縁組をして養子となっていても相続権は失いません。

※摘出子、被摘出子かを問いません。

配偶者と血族相続人の具体的な順位はつぎのとおりとなります。

第1順位から優先され、上位の順位の人がいる場合、下位の人に相続権はありません。

【法定相続人と相続順位】

配偶者は常に相続人となる
第1順位:直系卑属(子や孫、ひ孫など)
第2順位:直系尊属(父母や祖父母、曾祖父母など)
第3順位:兄弟姉妹(亡くなっている場合には甥姪)

遺言がない場合、相続人となれるのは、「配偶者」「直系卑属、直系尊属、兄弟姉妹の血族」と民法で定められています。

※配偶者は必ず相続人となり、被相続人が亡くなった時点で配偶者と子どもがいれば、配偶者と子ども相続人となり、子どもや孫など直系卑属がいない場合は、配偶者と両親や祖父母など直系尊属が相続人となります。

●胎児の相続権

民法において「人」とは出生をきっかけに始まります

これは、胎児は人と異なる別の存在とされているからです。例えば、胎児を殺しても殺人罪は適用されず、堕胎罪が適用されるのです。

ただし、相続に関して民法は、すでに出生しているものと同じ扱いをすることにしています。

※出生とは、赤ちゃんの体が母体から全部露出したかどうかによって判断されます。

※相続というものが、血縁に従って親から子になされることが最優先とされており、やがて生まれてくる予定であるにもかかわらず、父親が亡くなったときに出生前だったということだけで胎児への相続を否定することは、不当であると考えられているためです。

では、死産の場合ではどのような扱いとなるのか、残念ながら死産となってしまった場合、胎児には相続権は発生しません

●代襲相続

代襲相続とは、本来相続人となる被相続人の子がすでに死亡していた場合、その者の子が代わって相続することを言います。

子は、被相続人よりも先に死亡していたときには相続人にはなれません。これは、相続開始の時にはすでに子(人)ではなくなっているからです。

また、子が相続欠陥事由に該当したり、相続人の廃除をされたときにも相続権がありません。この場合には、該当する人に子(被相続人から見て孫)がいる場合には、孫が子を代襲して被相続人の相続財産を相続します。

代襲相続の要件(どのような事情があれば代襲相続できるのか)

(1)被相続人の子が

  • 被相続人の子又は兄弟姉妹が相続発生時に「死亡」していた場合
  • 被相続人の子又は兄弟姉妹に「欠格」事由がある場合
  • 相続人となるべき子が「廃除」された場合

(2)代襲できる者は、

① 被相続人の子の子であり、

② 被相続人の被相続人であること

●嫡出子と非嫡出子

婚姻している男女の間に生まれた子は「嫡出子」と言い、非嫡出子とは、法律上の婚姻関係にない男女の間に生まれた子です。

●嫡出子

この嫡出子には、次の3つの種類があります。

①推定される嫡出子

婚姻中の夫の子かどうかを証明することは、夫婦間の問題に立ち入らざるを得ません。民法では2段階の推定規定を設けています

第1段階

 婚姻中に妻が妊娠した子

第2段階

 次の事実が証明された場合

  • 婚姻関係の成立日から200日を経過した後に生まれた子
  • 婚姻関係の解消日から300日以内に生まれた子

推定される嫡出子との父子関係を否定するためには、嫡出否認の訴えによることになります。

②推定されない嫡出子

内縁関係で婚姻成立後200日以内に出生した子等、嫡出推定規定により夫の子として推定ができない子どものことをいいます
しかし、嫡出が推定されない子であっても、戸籍実務上、両親が法律婚をしている以上、出生届が提出されると、夫が父と記載される取り扱いとなっています。
このため、子は、嫡出推定されることなく嫡出子としての身分を取得します。

推定される嫡出子との父子関係を否定するためには、親子関係不存在確認の訴えによることになります。

③推定の及ばない嫡出子

子どもは嫡出推定がなされる期間に生まれたけれども、父子関係がないことが明らかな場合があります。

例えば、夫が海外滞在中、あるいは在監中の場合、夫が生死不明で失踪中、事実上の離婚状態であり、夫婦関係が断絶していた場合、など、嫡出推定がなされる期間に生まれたとしても、推定は及ばないものとされています。
ただし、嫡出が及ばない事情があっても、戸籍実務上、両親が法律婚をしている以上、出生届が提出されると、原則として夫が父と記載される取り扱いとなっていますので、子は嫡出子の身分を取得します。

親子関係を否定するためには、親子関係不存在確認の調停・訴えを提起することができます。
この調停・訴えは、夫だけではなく、妻や子も提起することができます

●非嫡出子

非嫡出子には、嫡出子とは異なる以下の特徴があります。

父親が認知しなければ、父親と非嫡出子の間に法律上の親子関係は生じません。

非嫡出子は、原則として母の氏を称します。

ただし、家庭裁判所の許可を得て父の氏に変更することは認められます。非嫡出子は、氏を称する側の親の戸籍に入ります。

なお、非嫡出子の父母が婚姻し、かつ父親の認知を受けた場合には、非嫡出子は嫡出子の身分を取得します(民法789条)。これを「準正」と言います。

●血族相続人(第2順位)直系尊属

第1順位の血族相続人がいないときは、直系尊属が第2順位の相続人となります。

※親等の異なる直系尊属が複数いるときは、親等の近いほうが相続権を有します。たとえば、父母と祖父母がいる場合には祖父となります。

※直系尊属には代襲相続が認められません。

【ご注意】

被相続人が養親A、実親Bとの関係

被相続人より先に養親Aが死亡した場合、被相続人が養親Aを相続します。

次に、被相続人が死亡した場合、被相続人の実親Bが被相続人を相続します。

養親Aの財産は、自分のこの財産であったはずの財産を養子である被相続人の親に取られてしまうことになります。

●血族相続人(第3順位)兄弟姉妹

第1順位、第2順位の相続人がともにいないときは兄弟姉妹が第3順位の相続人となります。

被相続人の死亡以前に兄弟姉妹の一部または全員が死亡しているなどは、その者の子が代襲して相続することになります。

※兄弟姉妹の代襲の場合には再代襲は認められません。

■ 相続人としての資格を失う場合


本来であれば相続人たる地位にもあるにもかかわらず、相続人としての資格を失う場合があります。相続欠格と相続人の廃除の2つです。

●相続欠格

相続欠格とは、以下の欠格事由に該当する相続人の相続権を、手続きなしで剥奪する制度をいいます。相続欠格事由に該当する人は、配偶者や子などであっても相続人になりません。

【5つの欠格事由】

1.故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

2.被相続人が殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない

3.詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

4.詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

5.相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

民法は、相続において被相続人の意思を最大限尊重するようにしています。その被相続人の意思を無視あるいは民法が目指す相続のあり方をねじまげるべく法に触れるようなことをした人は相続権を失います。

● 相続人の廃除

相続廃除された人も相続人になりません。相続廃除とは、被相続人の意思にもとづき、家庭裁判所が相続人の相続権を剥奪する制度をいいます。

ただし、被相続人の意思によって行われるため、その濫用の恐れがあります。そのため、廃除が認められるのは、次の非行があった場合であり、家庭裁判所の審判により認められた場合に限ります。

廃除請求の要件

遺留分を有する推定相続人が次の行為をいたときとなります。

●被相続人となるべき人を ①虐待した ②重大な侮辱をした

●推定相続人として目に余る非行をしたとき

※相続人の廃除の対象になる推定相続人は、配偶者と第一順位・第二順位の相続人に限られます。第三順位である兄弟姉妹遺言にて全財産をほかの者に与えた場合、遺留分をなくせますので対象外となります。

※相続人の廃除の請求は、被相続人が生前に家庭裁判所への請求する場合と遺言によって死後、遺言執行者から家庭裁判所へ請求する方法があります。

※相続人の廃除は被相続人の意思により相続の資格を奪うため、廃除の審判があった後でも被相続人はいつでも排除の取消ができます。(死後はできません)

※廃除または排除の取消の審判が確定される前に相続が発生した場合には、相続人が確定しないことになります。

■ まとめ


「誰が相続できるのか」についてお伝えしました。

法定相続人は、それぞれの家庭環境や事情によって異なり、場合によっては非常に複雑になる状況もあり、相続人を特定するだけでも時間がかかります。また、相続人の人数によっては、遺産分割の協議がまとまらない、と言うこともあります。

相続は、専門の知識がないと判断が難しい場合や手続きに時間が取られてしまいます。

相続に関して疑問が生じましたら専門家に相談することをオススメします。


参考文献:相続法に強くなる63の知識 財団法人大蔵財務協会

■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

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