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9.202024

売買の注意点(第三者の占有がある場合はどうする?)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 第三者の占有とは
  • ■ 「第三者の占有」の負担付きで売買契約を締結する場合
  • ■ 「第三者の占有」の負担を売主負担で除去のうえ、売買契約を締結する場合
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産の売買契約において契約当事者以外の者が売買対象物件を占有している場合があります。

代表的な例として売主との間にて締結した建物賃貸借契約にもとづく占有などが挙げられます。

これらを「第三者の占有」と呼びますが、買主が使用収益するうえでこの第三者の占有が重大な支障が生じる場合があるため、買主はその占有の内容を把握しなければなりません。

この場合、買主の目的として「契約当事者以外の者が売買対象物件を占有している」負担付きで売買契約を締結する場合と、その負担を売主に除去してもらい売買契約を締結する場合とがあります。

それらを博したうえで売買契約等に臨み、不利益を被らないようにする必要があります。

そこで、売買契約において「第三者の占有」がある場合の代表的な内容や確認事項を含めた注意点を紹介いたします。

■ 第三者の占有とは


「第三者の占有」とは原則として当事者(売主・買主)以外の者はすべて該当することになります。

「当事者(売主・買主)以外の者はすべての該当する」と言うと、売主が対象不動産に家族と同居している場合も第三者の占有があるということになります。

ただし、家族等の同居は通常の一般的な形態であり、明渡し等契約の履行上、問題となることはさほど見受けられないため、当事者に準じた者とされています。

そこで、「第三者の占有」の「第三者」とは、原則として「売主と同一生計を営む者以外の者」とされています。

一般的に不動産売買において、第三者による占有がない場合が大半を占めると思われます。

しかし、何らかの事由により第三者が占有している場合があり、どのような権利にもとづいて占有しているのかが問題となります。

万一、その占有を調べた結果、不法占拠によるものと判明した場合には、売買契約自体進めることが出来なくなります。

不動産売買において第三者の占有がある場合として、

・建物を賃貸している場合

・資材置場として賃貸している場合

・月極駐車場として契約している場合

・貸地(建物所有目的)※いわゆる借地権

・親戚などに無償にて使用貸借している場合

・売主が前所有者との間にて売買契約を締結済であるが、引渡しが完了していない場合

などが挙げられます。

■ 「第三者の占有」の負担付きで売買契約を締結する場合


「第三者の占有」は、不動産の売買契約において問題となる場合とさほど問題とならない場合があります。

この問題となる場合とさほど問題とならない場合というのは、売主の希望や買主の不動産の購入後の利用により異なりますが、第三者の占有の負担付で売買を行うのか、占有の除去のうえ売買を行うのかによります。

まずは、第三者の占有があり、その負担付きで売買契約を締結する場合があります。

これは、売主が建物を賃貸しており、そのまま賃貸借契約を継続する目的で購入するオーナーチェンジが該当します。

この場合には、貸主の立場が売買契約により、売主から買主へ変更するだけであり、さほど問題が生じるものではないはずです。

※資材置場、月極駐車場、貸地(建物所有目的)など賃貸借契約を継続する目的の場合も同様です。

しかし、賃貸借契約を継続する目的であっても、第三者の占有の説明としてその賃貸借の内容(目的、賃借人の住所・氏名、賃料、敷金、保証金など)の説明と併せて賃貸借契約書の写しは必ず確認しておくことは大切です。

当然、重要事項説明書にも記載がされますので併せて確認してください。

また、売買契約書にはつぎの特約が記載されます。

【契約書記載される特約】※アパートなど建物賃貸借の場合

1.売主、買主は本契約締結時に本物件につき、売主と●●●●との間に別紙のとおり●●●●年●月●●日付建物賃貸借契約が締結されており、その賃借権の負担付で本物件を売買したことを互いに確認し、買主は第●条に定める所有権移転と同時に前記賃貸借契約において、売主が有する貸主としての権利義務の一切を承継します。

2.売主は買主に対し、前項にもとづく権利義務の承継にともない、賃借人●●●●に対する敷金●●●,●●●円を、第●条(売買代金の支払い時期、方法等)に定める残代金支払い時期に支払い、これにより買主はその返還債務を承継するものとします。ただし、その支払方法は敷金相当額を売買代金の一部と相殺により支払うものとします。

3.売主は、買主の協力を得て●●●●年●月●●日までに賃貸人の名義を買主名義に変更することを、賃借人に通知します。

■ 「第三者の占有」の負担を売主負担で除去のうえ、売買契約を締結する場合


第三者の占有があり、その負担を売主の責任と負担にて除去し、売買契約を締結する場合があります。売主が建物を賃貸しており、売主の責任と負担において賃借人を立ち退かせる場合、契約締結前にあらかじめ売主に賃借人が期日内に立退く見込みを立てておくことに加え、契約締結前に解約通知書や承諾書を取得することが大切です。

※資材置場、月極駐車場の場合も同様です。

※貸地(建物所有目的)※いわゆる借地権の場合には性質がまったく違うため、違う機会にご紹介いたします。

ちなみに売主は賃借人が簡単に「引越ししてくれます。」となどと伝えてきますが、これをそのまま信用することは、良いことではありません。

この場合も第三者の占有の説明として賃貸借の内容(目的、賃借人の住所・氏名)の説明は必ず確認してください。当然、重要事項説明書にも記載がされますので併せて確認することは大切です。

また、売買契約書にはつぎの特約が記載されます。

【契約書記載される特約】

1.売主、現在、本物件建物を賃借人●●●●(以下、「賃借人」という。)に賃貸中ですが、売主の責任と負担において賃借人との建物賃貸借契約を解約し、かつ、●●●●年●月●●日までに賃借人を完全に立ち退かせるものとします。

また、売主ではあるけど、所有権を取得していないという場合の他人物売買という契約方法もあります。

このケースは、売主は対象不動産をまだ取得していませんが、購入の売買契約は既に結んでいる場合になります。

他人物売買については、「不動産売買の注意点(「売主」と「登記名義人」とが異なる場合)」をご覧ください。

その他、親戚などにその親戚の自宅を建てるために無償で土地を借している使用貸借という契約方法もあります。

詳しくは、「知っておきたい不動産知識(使用貸借の注意点)」をご覧ください。

■ まとめ


今回は、契約当事者以外の者が売買対象物件を占有している場合の代表的な内容や確認事項を紹介しました。

一般的には、それほど注目されない項目ですが、仮に占有が「有」の場合は、注意が必要です。

また、今回は記事にしておりませんが、東京電力やNTTなどの電柱が建植されている場合などが占有している場合もあります。この場合は、今回ご説明した第三者の占有には該当せず、その他の重要の承諾事項に記載されます。

買主は安心して売買契約を締結するためにも契約当事者以外の者が売買対象物件を占有している場合には仲介業者に必要な種類を提示してもらい納得のうえ売買契約を締結するようにしてください。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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