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12.162024

付帯設備の状況と入居中の負担区分の注意点、を考える

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 付帯設備とは  
  • ■ 付帯設備表とは
  • ■ 付帯設備の引渡し
  • ■ 入居中の負担区分
  • ■ まとめ

■ はじめに


賃貸住宅においてこれから借りる予定の部屋にどのような設備があり、不具合や故障があるのか、入居中にどこまで修理をすればよいのか、不安があると思います。

たとえば、学生の方のひとり暮らし、または社会人のひとり暮らしでお部屋を探していると、退去予定の時期が3月中旬、自分が入居したい時期は3月下旬。

このような場合、実際に室内を確認できれば良いですが、室内を見ずに申し込みをすることになります。

また、設備の不具合や故障や不具合や故障の場合、貸主が修理してくれるのか、など不安なものです。

これらの不安をなくす役目として「付帯設備表」と「入居中の負担区分表」というものがあります。

今回は、賃貸住宅おける「付帯設備表」と「入居中の負担区分表」とはどのようなものか、を考えてみます。

■「付帯設備」とは  


付帯設備とは契約書上における用語であり、

「付帯設備表記載のものを総称する」

ものとなります。

また、法令上においてこの「付帯設備」を定義したものではありませんが、民法に定める従物(民法87条)が意味合いとして近いと思います。

この従物とは、主たるものの効用を全うさせる機能があり、そのものに付属させられたものと定義されており、家屋に対する例として畳、建具等が挙げられます。

民法(主物及び従物)

第八十七条 物の所有者が、その物の常用に供するため、自己の所有に属する他の物をこれに附属させたときは、その附属させた物を従物とする。

借主にとってどのような設備があり、その付帯設備が使用できるか、できないかは大切な問題です。

そのため、建物賃貸借契約において「付帯設備表」を用いて、貸主の借主に対する付帯設備の状況の告知を行っていただき、借主の入居後に誤解が生じないようするのです。これが付帯設備表を作成する狙いとなります。

この狙いを貸主が十分理解していないと、誤解からトラブルに発展する場合もあるため、付帯設備の状況を貸主に確認してもらい作成します。

しかし、実務上は貸主が付帯設備表を適切に作成できるよう管理会社が助言・援助をすることになるはずです。

■ 付帯設備表とは


「付帯設備表」は、不動産の賃貸にあたり、大きな意味合いを持つ重要な書類です。

では、この「付帯設備表」とはどのようなものなのか、

【付帯設備表見本】

付帯設備表には

①主要構成部として畳・床・壁

②内・外建具として障子・襖・ドア・雨戸・網戸・窓サッシ

③浴室として浴槽・シャワー・ドア・風呂釜・鏡・換気扇

③洗面所として洗面台・鏡・戸棚・防水パン

④トイレとして便・貯水タンク・ペーパーホルダータオル掛け

⑤台所設備としてガス台・流し台・調理台・戸棚・水切り棚・換気扇

⑥電気設備設備として照明器具・ブザー・インターホン・テレビアンテナ

⓻給湯設備として台所・浴室・洗面所のどこにあるか

⑧空調設備として冷房機・暖房機・冷暖房機

などに区分されていて、

①設備の内容

②設備の有無

③具体的内容等

の欄を設けております。

また、付帯設備に関する注意点として次の事項があります。

1.付帯設備表で有とした設備については、当設備が実際に使用できるか否か(使用可・不可)欄に記入すること。 

2.付帯設備表で有(使用不可)とした設備については、当設備を現状で引渡しすれば足りるものとし、貸主は当設備についてこの機能の保証は負わないものとすること。また、借主は当設備については原状回復義務を負わず、退去時についてこの機能の保証はしないものとすること。 

3.電球は引渡し時の現状で引渡しをすれば足りるものとし、借主はこれについてこの機能の保証はしないものとすること。

4.上記1.2.3.以外の場合において貸主と借主乙が別途取り決めをした時はその取り決めに従うものとすること。 

などがあります。

以上のとおり、付帯設備表には、具体的に有で使用可能か、使用不可なのか、無なのか。具体的な状況はどのようなものか。を記載することになります。

■ 付帯設備の引渡し


付帯設備の基本的な考え方は、賃貸物件において借主から見た付帯設備は重要であり、入居するか、しないかを判断する大切なものです。

ただし、この付帯設備は貸主の選択に委ねることが多く、この設備がなければならない、と言ったことはありません。

よって、貸主が一定の状態(有・無、使用可なのか、使用不可なのか)で約定した付帯設備のみ、その状態で入居してもらうと義務となります。

貸主は、付帯設備において「有・使用可」としたものは貸主による修繕義務が生じますが、「有 使用不可」とした付帯設備は故障した場合、貸主の修繕義務は生じません。

貸主は、全ての付帯設備を賃貸借契約中において使用可能な状態で保つと言うことではないのです。

ただし、あらゆる付帯設備が「有 使用不可」であればその物件を借りる方は少なくなることは言うまでもありません。

■ 入居中の負担区分


貸主の義務として、借主に対し、賃貸物件を使用・収益させる必要があります。

したがって、賃貸物件の設備が故障などした場合、貸主は修繕義務を負担することになります。

原則、貸主が設備に関する修繕義務を負担しますが、賃貸借契約締結時の合意内容によって、その貸主の修繕義務は修正されることがあります。

そこで、修繕すべき設備等の範囲内をどこまでとするのかについて、賃貸借契約書などに記載されることになります。

一般的な規定としては、給湯器やエアコンなどの設備が故障した場合には、その修繕義務は貸主が負担するが、室内の蛍光灯などが古くなって切れた場合、その交換義務は貸主が負担しないといった内容があります。

「入居中の負担区分表見本」

※以上お伝えした付帯設備と入居中の負担区分については賃貸借契約書につぎのとおり記載されているはずです。

第●●条(本物件および付帯設備の引渡し及び修理等)

貸主は、借主に対して本物件については現状のまま、本物件付帯設備については別紙付帯設備表記載の状態で引渡すものとします。借主が表記契約期間の開始日から15日以内に、前記付帯設備について破損・故障等の申立てがなければ、前記付帯設備については同表記載の状態で貸主が引渡したものとみなします。

2 借主が前項の期間内に前項の申し立てをしたときは、付帯設備(電球・蛍光灯等の電球交換は除く)について貸主は自己の負担においてすみやかに修理等をして使用可能な状態にしなければなりません。ただし、借主が故意・過失によりその付帯設備を破損・故障等させた場合はこの限りではありません。

3 本物件の主要構成部分の修理等および別紙付帯設備表において有とした付帯設備についての表記契約期間開始日の16日目以降の借主の費用負担による修理等については、別紙「1.入居中の負担区分表」記載の内容によるものとします。

4 貸主が別紙付帯設備表において機能保証しないとした設備および無とした設備については、貸主は修理等の義務を負わないものとします。

賃貸物件の付帯設備は、入居前に確認することが大切です。

しかし、ひとり暮らしの物件は卒業や転勤の関係で退去と入居が同時期に重なるため、付帯設備の有無や状態を確認することが難しい場合もあります。

そのような場合、トラブルを未然に防ぐものが「付帯設備表」と「入居中の負担区分表」です。

確認するポイントとしては、付帯設備の有、付帯設備の故障の有無など。

また、入居者には「善管注意義務」という義務があります。

これは、住んでいる人も室内の設備状況に異常を発見した場合、速やかに貸主・管理会社に連絡して修理に協力しなければならないという義務です。

「付帯設備表」と「入居中の負担区分表」を作成していない管理会社もあるようです。

その場合、確認することで、トラブルを未然に防ぐことができます。

確認方法としては、紹介を受けた不動産会社の営業に確認してください。

■ まとめ


ご説明したとおり「付帯設備表」と「入居中の負担区分表」は、賃貸借契約において重要な役割を持つ部分です。

借主は、入居してから「こんなはずじゃ」と慌てるのではなく、お部屋の申込を行う前に、不動産業者へ必ず確認をしておくことをお薦めいたします。

【売買に関する設備表・物件状況等説明書についてはこちら👇をご覧ください。】


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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