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12.42023

コラム

不動産売買の注意点(設備表・物件状況等説明書)

目次

  • 設備表と物件状況等説明書
  •  ー設備表
  •  ー物件状況等説明書
  • 民法改正との関係
  • 瑕疵の種類
  •  ー心理的瑕疵について
  •  ー環境的瑕疵について
  •  ー物理的瑕疵について
  • まとめ

■ 設備表と物件状況等説明書


一戸建・マンションなどの住宅を売却する際、不動産仲介業者から売主に対し、「設備表」と「物件状況等説明書」という書類を作成するように依頼を行います。

この「設備表」と「物件状況等説明書」とは、不動産の売買にあたり、大きな意味合いを持つ重要な書類なのです。

●設備表とは

設備表とは一戸建・マンションなどの住宅の設備に関する状況について、売主が買主に対し、引渡す書面で一戸建・マンションなどの住宅の売却では、売却後の設備に関してのトラブルも多いために重要な書面になります。

設備表には1.主要設備として「給湯関係・水廻り関係・空調関係・玄関関係」、2.その他の設備として「照明関係・収納関係・建具関係・空調関係」などに区分されていて、「設備の内容、付帯機能等、設備の有無、故障・不具合、故障・不具合の箇所および具体的内容等」の欄を設けております。

また、設備表には、具体的に引渡すもの、撤去するもの。故障があるもの、故障がないもの。その状況がどの程度なのか。を記載するこになります。

【設備表】

●物件状況等説明書とは

物件状況等説明書とは売主が知っている瑕疵を買主に伝える書面で、物件全体を捉えた欠陥や不具合を売主が買主に対し、引渡す書面になります。

物件状況等説明書では、物件の状況として「雨漏り、シロアリの害、腐蝕、給排水管の故障、建物の傾きから境界の有無」など20項目あります。

その20項目の中には、瑕疵についての項目もあり、物件に関する物理的な瑕疵だけでなく、事件・事故などの心理的な瑕疵、近隣の嫌悪な施設などの環境的な瑕疵もあります。

また、将来起こりうる環境的な瑕疵が分かっている場合には、その影響なども記載します。

たとえば、振動、騒音、異臭などの発生、近隣の建築計画など、今後物件に影響を及ぼす可能性がある事柄についても記載します。

以上のように設備表や物件状況等説明書は、売主でなければわからないことを売主自ら記載することが重要になります。

売主が自分で記載するのが面倒くさいから不動産業者に書かせてしまうと後々トラブルの原因となります。

設備表や物件状況等説明書の内容は、不動産業者ではわからない箇所も多いため、売主に記載してもらわなければならない書面です。

■ 民法改正との関係


2020年4月「瑕疵担保責任」に関わる民法の改正が行われましたが、不動産売買では、一戸建・マンションなどの住宅の設備は契約不適合責任の対象外となります。

対象外となった理由としては、中古住宅における住宅設備には経過年数により何らかの故障や不具合があることが一般的と考えられ、設備まで厳密に契約不適合責任を適用させてしまうと円滑な取引を阻害する可能性が生じるためです。

※旧民法:不動産売買において設備は瑕疵担保責任を負わないとする契約書が少なくありませんでした。
※新民法:設備の契約不適合責任は負わないとする契約書が多数見受けられます。

仮に、設備についての契約不適合責任を免責する旨の特約が合意された場合、売主は設備表に、売主が知っている設備の不具合について、買主にしっかり告知することが必要となります。

【担保責任を負わない旨の特約】

(新民法第572条)
売主は、第五百六十二条第一項本文又は第五百六十五条に規定する場合における担保の責任を負わない旨の特約をしたときであっても、知りながら告げなかった事実及び自ら第三者のために設定し又は第三者に譲り渡した権利については、その責任を免れることができない。

新民法第572条により、契約不適合責任において売主が知っていて告げなかった故障や不具合については、免責条項を設けても免責できないということになります。

そのため、売主は売買契約前に設備の不具合等について買主にしっかりと設備表に記載し、買主へ告知することが必要となります。

心理的瑕疵・環境的瑕疵はどうするのか

民法改正後の不動産売買においても、心理的瑕疵や環境的瑕疵は物件状況等説明書で対応することになります。

■ 瑕疵の種類


●心理的瑕疵について

心理的瑕疵とは、取引物件で過去に自殺や殺人事件、火災、忌まわしい事件、事故などがあり、心理的な面において住み心地の良さを欠く不具合のことです。

●環境的瑕疵について

環境的瑕疵とは、近隣からの騒音、振動、異臭、日照障害、近くに反社会的組織事務所があり安全で快適な生活が害される恐れが高いような不具合を指します。

※心理的瑕疵や環境的瑕疵は、物件の不具合に該当するため、その不具合が原因とよる契約の解除事由または損害賠償請求の対象となります。

※心理的瑕疵や環境的瑕疵については、契約不適合責任は負わないとすることはできません。

●物理的瑕疵について

物理的瑕疵とは、建物の雨漏りやシロアリによる床下の腐食、家の傾き、耐震強度不足等を指します。

物理的瑕疵はインスペクション(建物状況調査)で対応していくことが検討されます。

インスペクションとは、主に柱や基礎、壁、屋根などの構造耐力上主要な部分や、外壁や開口部などの雨水の浸入を防止する部分について、専門家による目視や計測等の調査のことを指します。

インスペクションでは、専門家によって建物を調査してもらうことができるため、どのような物理的瑕疵が潜んでいるのか分かるようになります。

契約不適合責任では、売買契約の目的物の内容が明確になっていないと、買主から何を請求されるのか分からないという不安があります。

インスペクションによって事前に契約内容が明確になっていれば、その事実を契約書に記載すれば安心して売却することになります。

■ まとめ


ご説明したとおり「設備表」と「物件状況等説明書」は、不動産の売買契約において重要な役割を持つ書面です。売主は、売買契約前に慌てて記載するのではなく、不動産業者へ売却を依頼した段階で書面の作成をおくとお薦めいたします。

売買契約の前日に慌てて書類を作成し、見落としがあるまま契約を終えると大変なことになります。

不動産業者が仲介に入っているから大丈夫。と思っても不動産業者もすべて把握しているわけではありません。

買主が状況に関して了承しているのであれば問題とはなりにくいのでしょうが、売買契約後に売主から買主へ告げていなかった不具合などが発覚した場合、トラブルとなる場合があります。

売主は買主に対し、設備表と物件状況等説明書を作成して買主に知らせるように義務がある以上、時間に余裕をもって作成したいものです。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

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