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3.112024

不動産売買の注意点(実測売買と登記簿売買)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 境界の明示とは
  • ■ 境界の明示方法
  •  ー地積測量図とは
  • ■ 登記簿売買とは
  • ■ 実測売買とは
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産の売買契約において「隣接地との境」と「道路との境」である境界は非常に大切な意味を持ちます。

不動産の売買契約書には、「境界の明示」という条項があります。これは、買主が不動産の仲介業者などから現地の案内を受けた後、売買契約を締結しますが、売買契約締結から売買契約残代金支払いまでの間に売主より境界標を指示して隣地との境界を明示してもらい、買主に対象物件の範囲等を認識してもらうことが目的の条項となります。

全ての不動産売買において法務局に備え付けられている地積測量図や売主が隣接地との協力のもと作成した実測図、そして現地に境界標が設置あれば原則問題はありませんが、すべてが完璧と言うこともありません。

このように不動産売買では、測量が必要であり、その測量のもと面積を確定させ取引をおこなうこともあります。この測量をもとに行う取引を「実測売買」といい、地積測量図や売主が隣接地との協力のもと作成した実測図、そして現地に境界標を信頼のうえ、取引を行うことを「登記簿売買」といいます。

「実測売買」・「登記簿売買」それらに適した売買契約等に臨み、不利益を被らないようにする必要があります。

そこで、売買契約において「実測売買」と「登記簿売買」の実際の注意点などを紹介いたします。

■ 境界の明示とは


境界の明示とは、言葉のとおり境界をはっきりと示すという意味であり、境界標のない場所に境界標を設置することいいます。

【売買契約書条項】

(境界の明示)

第●条 売主は、買主に対し、残代金支払日までに、本物件につき現地にて境界標を指示して境界を明示します。なお、境界標がないとき、売主は、買主に対し、その責任と負担において、新たに境界標を設置して境界を明示します。ただし、道路(私道を含む。)部分と土地との境界については、境界標の設置を省略することができます。

たまに聞く話として、境界の明示の際に「売主が境界と認識しているところ」を明示すれば足りるものとして取引されている場合があるようです。

しかし、隣接地との間に境界標や塀等が現存している場合、隣接地所有者との間に特に争いがなく、隣接地所有者との立会いに確認を省略して明示し、後日確定した境界と異なる場合もあります。

■ 境界の明示方法


境界標がない場合の境界の明示方法にはつぎの2つあります。
①境界の復元
②境界確定

「境界の復元」とはなくなってしまった境界標を新たに設置することをいいます。

しかし、全ての土地が復元できるわけではなく、境界確定がされていない土地や法務局に地積測量図が備え付けられていない土地は復元ができないことになります。

そして、境界の復元ができない土地で境界の明示をするには、「境界確定」を行う必要があります。

土地の境界は公法上の線と呼ばれ、土地が存在した時から決まっています。
この決まっている土地の境界の位置を特定することを「土地境界確定測量」
といいます。

土地境界確定測量とは、現地を測量して様々な資料に基づき本来の筆界を特定し、隣接地の所有者と確認することになります。

これらの業務で筆界点を特定し、境界標を設置することになります。

● 地積測量図とは

地積測量図とは、土地の面積がわかる公的な書類です。1つの土地に関する測量の結果を明らかにした図面であり、法務省令で定められたルールに沿って作成されています。

土地の面積だけでなく、その土地の形状や隣接地との位置関係、地積の求積方法がわかるものであり、線の太さまで規定されています。

基本的に1/250の縮尺で作図するように規定され、土地の登記申請時に添付が必要な書類です。

ただし、すべての土地において地積測量図が作成されているわけではない点には注意しましょう。

※地積測量図が備え付けられていても復元できない場合があります。

地積測量図の作成が次の4つの期間のどの期間かにより、復元が可能か否か判断することができます。

平成17年3月7日〜現在 復元可能性大

平成17年の法改正により、座標の記載が義務付けられたためです。

平成5年10月~平成17年3月6日まで 復元可能性は図面による

平成5年の法改正で境界標の表記が義務付けられ境界標が表記されているが、座標の記載がなく正確性が欠けるため。

昭和52年10月~平成5年9月まで 復元可能性なし

地積測量図では境界標の表記が義務ではなく記載されていない図面が多く、隣接地との境界立会いを行わず作成されている図面のためです。

昭和52年9月以前の地積測量図 復元可能性なし

昭和52年9月以前の地積測量図は、測量の精度も悪く、境界標の表記も必要とされていないためです。

■ 登記簿売買とは


登記簿売買とは、登記簿上の面積を売買契約書の基準面積として売買代金の額を決定する方法をいいます。

登記簿売買の場合、当然売買の対象地を測量することはありません。そのため、登記簿売買(売買代金固定型)を選択しても問題がないとされている場合は次のとおりです。

1.地積測量図があり、現況と地積測量図の地積がほぼ一致している場合(境界標はすべてあり)

2.地積測量図があり、現況と地積がほぼ一致しており、併せて隣接地所有者の境界確認を得ている場合(境界標はすべてあり)

3.地積測量図と測量図があり、現況と地積測量図、測量図の地積がほぼ一致しており、隣接地所有者の立会いを得て、境界標の復元が可能な場合(境界標は一部なし)

4.地積測量図があり、現況と地積測量図の地積がほぼ一致しており、隣接地所有者の立会いを得て、境界標の復元が可能な場合(境界標は一部なし)

5.地積測量図はないが、測量図があり、現況と地積がほぼ一致している場合(境界標はすべてあり)

6.地積測量図・測量図ともにないが、現況と地積がほぼ一致しており、併せて隣接地所有者の境界確認を得ている場合(境界標はすべてあり)

7.地積測量図はないが、測量図があり、現況と測量図の地積がほぼ一致しており、隣接地所有者の立会いを得て、境界標の復元が可能な場合(境界標は一部なし)

8.地積測量図・測量図ともにないが、現況と地積がほぼ一致しており、隣接地所有者の立会いを得て、境界標の復元が可能な場合(境界標は一部なし)

■ 実測売買とは


実測売買とは、実際に測量にり算出した面積(実測面積)を基準として売買代金の額を決定する方法をいいます。

この実測売買は、登記簿上の面積を基準として売買代金の額を決定しますが、残代金支払い時に登記簿の面積と測量によって得られた実測面積との差額を精算するという方法となります。

実測売買は、公簿売買と異なり測量費用の負担が生じるというデメリットがある一方、隣接所有者との境界が明確になり、境界の認識の違いによる隣接地所有者とのトラブルが起こりにくくなります。

■ まとめ


登記簿売買と実測売買について触れてみました。

登記簿売買と実測売買、どちらを選択する方がよいかは具体的な状況によって異なるため一概にはいえません。

将来トラブルにならないようにするためには、契約内容を十分に確認し、納得した上で契約を締結するということが重要になります。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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