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2.92024

コラム

不動産売買の注意点(解除条件と停止条件の特約の性質の違い)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 解除条件とは
  •  ー解除条件の条文
  • ■ 停止条件とは
  •  ー停止条件の条文
  •  ー注意事項
  • ■ 停止条件の付いた契約の手付金の意味 
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産の売買契約は、売買契約後に買主が金融機関に対し、融資の住宅ローンの申し込みを行い、融資の承認を得たり、売主が売買契約後に隣接地所有者から境界立会印の受領と併せて測量を行うなど様々な不確定な要素を含んで売買契約を締結することがあります。

このようなことから不動産の売買契約は他の売買契約とは異なり特殊な売買契約と言われる所以です。

不動産の売買契約において不確定要素を含んだ売買契約を締結する場合、「解除条件」の売買契約なのか、「停止条件」の売買契約なのか、により法律上の取り扱いが異なります

今回は、「解除条件」と「停止条件」に関する基本的な内容や、適用される条件、実際の注意点などを紹介いたします。

■ 解除条件とは


解除条件とは、指定した条件が成就したら契約が解除される(解除できる)契約のことであり、例として、この不動産売買契約において買主が金融機関に融資を申し込み、承認が得られなければ契約は買主は解除することができる。といった具合に●●ができなければ契約を解除することができる、というのが解除条件です。

解除条件の条文

【融資利用の特約】

1 買主は、売買代金に関して、表記融資金を利用するとき、本契約締結後すみやかにその融資の申込み手続をします。

2 表記融資承認取得期日までに、前項の融資の全部または一部の金額につき承認が得られないとき、または否認されたとき、買主は、売主に対し、表記契約解除期日までであれば、本契約を解除することができます。

3 前項により本契約が解除されたとき、売主は、買主に対し、受領済みの金員を無利息にてすみやかに返還します。

この解除条件を付けた売買契約の場合、売買契約締結の時点で効力が発生していますので売買契約書には印紙を貼付し、仲介業者には仲介手数料の半金ほどを支払う方式が多いはずです。


■ 停止条件とは


停止条件付契約とは、指定した条件が成就したら契約が有効となる契約のことであり、例としてこの不動産売買契約において売主が指定する建築会社と買主が3か月以内に建物請負契約が締結されることを条件とします、といった具合に●●ができれば契約の効力が生じる、というのが停止条件です。

停止条件の条文

【建築条件付土地売買の特約】

1 本契約は、本契約締結後3か月以内に、売主が指定する●●●株式会社と買主間において、本物件を敷地とする一戸建住宅を建築するための建築工事請負契約が締結されることを停止条件とします、

2 前項の条件が成就しないことが確定したときは、売主は買主に対し、すみやかに受領済の金員を無利息にて変換します。

【注意事項】

2003年に不動産業界はルールを改変し、停止条件とする必要はなく、解除条件として売買契約を締結することが可能となったため、解除条件とした場合には解約に伴う違約金が発生する可能性があります。

この停止条件を付けた売買契約の場合、売買契約締結の時点で効力が発生していませんので売買契約書には印紙を貼付せず、仲介業者には仲介手数料を支払わずに売買契約を締結する方式が多いはずです。

■ 停止条件の付いた契約の手付金の意味


停止条件を付けた売買契約では、契約書に署名・捺印しても停止条件とした事項が成就するまでは契約自体が有効にならないため、売主・買主は契約書で定めた事項(内金の支払いや残代金の支払い、不動産の引渡し)の債務を履行する義務はありません

売買契約締結時に授受する手付金は解約手付の性質(手付契約)を持つと解釈されているため、停止条件の付いた契約でも手付金の放棄(買主側)、もしくは倍返し(売主側)によって手付解除することができるようになります。

停止条件の付いた売買契約では条件成就前の代金支払い義務がないとお伝えしましたが、売買契約と手付契約は別の契約形態となります。

よって手付金の授受を行った=売買代金の一部を支払った、という意味にはなりませんのでご注意ください。
※標準的な売買契約書の約款には「手付金は残代金支払い時に売買代金の一部に充当する」と書かれているので、授受された手付金は契約時点では売買代金の一部ではないということになります。

売買契約に記載されている「手付金」と「売買代金の支払いの時期、方法等」条文

【手付金】

1 買主は、売主に対し、表記手付金(以下「手付金」という。)を本契約締結と同時に支払います。

2 売主、買主は、手付金を表記残代金(以下「残代金」という。)支払いのときに、売買代金の一部に無利息にて充当します。

【売買代金の支払いの時期、方法等】

1 買主は、売主に対し、売買代金として、表記内金(以下「内金」という。)、残代金を表記支払日までに現金または預金小切手をもって支払います。

■ まとめ


停止条件や解除条件の付いた売買契約は、原則として当事者間で自由に取り決めることが可能です。

ただし、その条件が不法行為に該当するものや社会通念上で不可能な事実を条件とするもの。又は当事者の意思だけで条件成就か否かを決定するものは無効となります。

また、特約の内容によっては、停止条件に該当するのか、解除条件に該当するのかが判断できない場合もあります。

特約には例文にも記載しているとおり「解除条件」なのか「停止条件」なのか、明確に記載してもらうことが大切です。

売主・買主とも一般消費者であればあらかじめしっかりと説明を受けるようにしてください。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

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