
目次
- 第1幕:湘南台の緊迫、バラバラの数字
- 第2幕:飯島興産の現場検証「4枚の仮面を剥ぎ取る」
- 第3幕:謎解き(専門解説)「不公平な遺産分割という時限爆弾」
- 第4幕:解決への道筋「飯島興産、リアルな『第5の価格』を導き出す」
- 飯島興産からのアドバイス
【第5回】1つの遺産に宿る、4つの人格:一軒の家に存在する「4つの価格」の怪
第1幕:湘南台の緊迫、バラバラの数字
小田急江ノ島線「湘南台」駅。多くの人々が行き交う駅前の賑わいとは対照的に、飯島興産の応接室は、凍りつくような緊張感に包まれていた。
デスクを挟んで座るのは、あるご兄弟。長男の田中さん(仮名・54歳)と、次男の次郎さん(仮名・51歳)だ。2人はお互いに目も合わそうとせず、それぞれが1枚ずつ「異なる書類」を机の上に叩きつけた。
「飯島興産さん、聞いてください。藤沢市石川にある親の実家を、弟と2人で平等に相続することになったんです。私は長男だし、実家を引き継いでこれからも住む代わりに、弟には実家の価値の『半分』の現金を支払うと約束しました。だから、公的な書類である固定資産税の通知書を基に、この家は『1,500万円』の価値だと主張しているんです。それなのに、弟は納得しないどころか、とんでもない金額を吹っかけてきて……!」
長男の田中さんが怒りをにじませると、次男の次郎さんがすかさず反論した。
「兄貴、騙されるなよ! インターネットの不動産査定サイトで見たら、周辺の似たような中古一戸建ては『3,000万円』で売り出されているんだ。公的な書類だからって、たった1,500万円を基準にされたら、俺がもらえる現金が750万円も少なくなってしまうじゃないか! 1つの実家なのに、なんでこんなに値段が違うんだよ。兄貴が俺の取り分を誤魔化そうとしてるんじゃないのか!?」
「なんだと!? 私は役所の書類を信じているだけだ!」
一触即発の兄弟。亡き親が遺した、たった一軒の実家。しかし、その実家が提示する「値段」は、書類によって1,500万円、2,000万円、3,000万円と、まるでカメレオンのように姿を変えていた。
兄弟の絆を切り裂こうとする、バラバラの数字の怪。私たちは、怒りに震えるご兄弟に温かいコーヒーを差し出し、静かに語りかけた。
「田中さん、次郎さん。お互いを疑うのはやめてください。お2人とも、何も嘘はついていません。実は、日本の不動産には『一物四価(いちぶつよんか)』という、1つの土地に対して全く異なる『4つの人格(価格)』が同時に存在する、世にも奇妙なルールがあるのです。このカラクリを知らないと、どんなに仲の良いご兄弟でも、100%泥沼の相続争いに発展してしまいます」
第2幕:飯島興産の現場検証「4枚の仮面を剥ぎ取る」
「1つの家に、4つの値段がある……? 一体どういうことですか?」
先ほどの勢いはどこへやら、ご兄弟は狐につままれたような顔で私たちを見つめた。私たちはホワイトボードに大きな円を描き、その「4つの人格」の正体を1つずつ書き出し始めた。
「日本の不動産は、『誰が、何のために計算するか』によって、完全に使い分けられているのです。その4つの正体を明かしましょう」
第1の人格:『実勢価格(じっせいかかく)』【市場の顔】(約3,000万円)
弟の次郎さんがネットで見た価格です。実際に不動産市場で売り買いされる「時価」のことで、景気や需要によって日々変動します。
第2の人格:『公示地価(こうじちか)』【国の基準の顔】(実勢価格の約90%)
国土交通省が毎年発表する、土地取引の「標準」となる価格です。
第3の人格:『路線価(ろせんか)』【税務署の顔】(実勢価格の約80%)
国税庁が発表する、『相続税』や『贈与税』を計算するためだけの価格です。藤沢市内の主な道路ごとに「1平米あたり何円」と決められています。
第4の人格:『固定資産税評価額(こていしさんぜいひょうかがく)』【市役所の顔】(実勢価格の約70%、約1,500万円)
お兄さんの田中さんが持ってきた通知書の価格です。藤沢市役所が『固定資産税』を徴収するためだけに、3年に1度計算する独自の価格です。
「ご覧の通り、市役所が税金を取るための価格(1,500万円)と、実際に街の不動産屋で売れる価格(3,000万円)の間には、倍近いギャップが存在します。
お兄さんは『市役所の書類』を信じ、弟さんは『市場の現実』を信じた。だから、お互いに正論を言っているのに、数字が1,500万円もズレてしまったのです」
第3幕:謎解き(専門解説)「不公平な遺産分割という時限爆弾」
「なるほど……。じゃあ、今回の僕たちのケースでは、どの値段を基準にして兄弟で分ければ公平なんですか?」
次男の次郎さんが身を乗り出した。ここに、このミステリーの核心がある。
「結論から申し上げます。お2人のように、一人が実家を引き継ぎ、もう一人にそれに見合う現金を支払う相続(代償分割と言います)の場合、基準にすべきなのは、第1の人格である『実勢価格(時価)』です」
お兄さんの田中さんが「えっ」と声を漏らした。
「でも、飯島興産さん。固定資産税の書類だって国や市が認めた公的な数字ですよ? なぜそれじゃダメなんですか?」
「もし、お兄さんが主張する1,500万円を基準にして、弟さんに750万円を支払ったとしましょう。お兄さんはその後、引き継いだ実家を気が変わって売りに出したらどうなりますか? 市場では3,000万円で売れるわけですから、お兄さんの手元には3,000万円から弟に払った750万円を引いた、2,250万円の価値が残ります。片や弟さんは750万円しか貰っていない。これでは全く『平等』ではありませんよね?」
田中さんは言葉を詰まらせた。悪気はなかったとはいえ、危うく弟に大きな不利益を与え、一生の恨みを買うところだったのだ。
「不動産の相続が恐ろしいのは、『税金を計算するための数字(路線価や固定資産税評価額)』を、そのまま『兄弟で財産を分けるための数字』に流用してしまう人が後を絶たない点にあります。税務署や市役所は、税金を安く計算するためにわざと時価より低い基準(7割〜8割)に設定してくれているのですが、それが遺産分割の場に持ち込まれると、たちまち不公平という名の時限爆弾に変わるのです」
応接室の空気が、少しずつ和らいでいくのがわかった。ご兄弟は、自分たちが数字のトリックに振り回されていたことに気付いたのだ。
第4幕:解決への道筋「飯島興産、リアルな『第5の価格』を導き出す」
「飯島興産の言うことはよくわかった。でも、ネットの査定だけじゃ、本当に3,000万円で売れる根拠にはならないよね? 兄貴を納得させる『本当の時価』はどうやって決めればいいんだい?」
次郎さんの問いかけに、私たちは力強く頷いた。
「それこそが、藤沢の不動産を知り尽くした、私たち飯島興産のプロフェッショナルの出番です。実勢価格には、ネットの自動査定には絶対に映らない『現地のリアル』が反映されます」
私たちは、ご兄弟が100%納得して握手できるための具体的な解決ステップを実行した。
ステップ1:『飯島興産による徹底的な現地査定』
石川の実家へ赴き、建物の正確な老朽化具合、日当たりの良さ、周辺の小・中学校へのアクセスの利便性、過去の近隣の実際の取引事例などを徹底的に調査。
ネットの最大値ではなく、「今、市場に出したらいくらで確実に売れるか」という極めてリアルな査定書を作成します。
ステップ2:『税金(路線価)を踏まえた控除額の計算』
不動産を売却する際には、将来的に譲渡所得税や仲介手数料などのコストがかかります。
それらのマイナス要因(将来の経費)もあらかじめ時価から差し引き、お兄さんが将来損をしないための「真の清算額」を算出します。
ステップ3:『公証役場での遺産分割協議書の作成』
導き出した数字を基に、私たちが間に入ってお2人の合意を形成。
後々のトラブルを防ぐため、提携する司法書士と共に、法的に完璧な「遺産分割協議書」を作成し、法務局での名義変更までワンストップでサポートします。
「4つの人格に惑わされる必要はありません。私たちが、お2人の未来にとって最も公平な『第5の正しい価格』を導き出します」
数週間後。
飯島興産が提示した「2,600万円(諸経費を考慮したリアルな時価)」という査定を基に、お兄さんが弟さんに1,300万円を支払うことで、無事に相続手続きが完了した。
応接室を出る際、ご兄弟はしっかりと握手を交わしていた。
「飯島興産さん、ありがとう。あのままお互いの数字を主張し合っていたら、今頃は裁判になって兄弟の縁が切れていたところでした」
1つの遺産に宿る、4つの人格。それは知らぬ者を惑わす迷宮だが、地元の信頼できるプロの目を借りれば、家族の絆を守るための公平な羅針盤へと姿を変えるのだ。
(第5回・了)
💡 飯島興産からのアドバイス
「実家の相続、うちは兄弟仲が良いから話し合いだけで大丈夫」
そう思っているご家庭ほど、いざ具体的な数字(固定資産税の通知書やネットの査定)を目にした瞬間、お互いに不信感を抱いてしまうケースが非常に多いのです。
不動産には複数の価格が存在するため、一般の方だけで「公平な分け方」を決めるのは至難の業です。
2024年の相続登記義務化に伴い、相続不動産の速やかな遺産分割は必須となりました。
藤沢・湘南エリアで不動産の相続が発生したら、感情論で揉めてしまう前に、まずは客観的でリアルな「時価」を算出できる飯島興産へご相談ください。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。
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2026年1月31日現在
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●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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