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5.172024

コラム

相続の基礎知識!第4弾(何を相続するのか)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 相続の対象となるもの
  • ■ プラス財産とマイナス財産
  • ■ 問題となる権利・義務
  • ■ 相続開始から遺産分割までの遺産の帰属
  • ■ まとめ

■ はじめに


相続人は被相続人の死亡により相続財産を相続することになります。相続財産の対象となるのは相続開始(死亡時)のときに被相続人が有した財産上の権利義務のすべてです。

ただし、権利の性質上相続の対象とならないものもあります。

今回は、「相続により何を相続するのか」について、基本的な概要をわかりやすくお伝えします。

■ 相続の対象となるもの


民法では以下のとおり規定しております。

(相続の一般的効力)

第896条 相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。

ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。

●この民法の規定より相続財産は、相続人が相続により承継するものであり、被相続人が死亡時点で保有していた一切の権利義務に限られます。よって身分上の権利義務(親権等)は含みません。

また、財産上の権利義務では次のものは除かれることになります。

●「被相続人の一身に専属したもの」・・・被相続人しかもつことができない性質の権利義務です。

被相続人の一身に専属したものとは、

親権、扶養義務、代理権、雇用上の権利・義務、生活保護を受ける義務などです。

①系図、祖先を祭る道具・墓地、仏壇、神棚などの権利。(祭祀財産)

②香典、弔慰金、葬儀費用

③遺贈の対象となったもの。

●財産上の権利・義務であれば原則として相続されます。

①物件

所有権、地上権、地役権、占有権、留置権、質権、抵当権など

②物件的請求権

特許権、実用新案権、商標権、著作権、鉱業権、採石権など

③債権・債務

■ プラス財産とマイナス財産


日本の相続制度は「包括承継」です。プラスの財産だけでなく、マイナスの財産なども相続することになります。

相続の対象となるプラスの財産・マイナスの財産はおおよそ次のようなものです。

【プラスの財産】

  • 動産(現預金、有価証券、貸付金、売掛金、自動車、家財、船舶、骨とう品や所外、貴金属など)
  • 不動産(宅地、農地、建物、店舗、居宅、借地権、借家権など)

【マイナスの財産】

  • 負債(現預金、有価証券、貸付金、売掛金、自動車、家財、船舶、骨董品や所外、貴金属など)
  • 未払税金等(所得税や住民税、固定資産税や延滞税等の未納分)
  • 未払費用(水道光熱費や電話代、医療費、家賃などで被相続人が使用していた期間分のうち未払いのもの)

■ 問題となる権利・義務


●生命保険請求権

 生命保険請求権は、生命保険会社と保険契約者との契約によって保険されるもの(被保険者)の死亡を原因として保険金受取人が直接取得するものであって相続により取得するものではありません。

 ※相続を放棄しても受取人として保険金を受け取ることは可能です。

 ※相続人が限定承認をすれば被相続人の債務者は保険金から弁済を受けることはできません。

 ※相続税との関係では保険金額を相続財産として課税の対象としています。

●退職金請求権

①死亡前に退職金請求権を取得した場合

生前退職した後に死亡した場合、被相続人が退職金請求権を取得し、死亡によりこれを相続することになり、相続財産に含まれることになります。

②死亡後に退職金請求権を取得した場合

死亡退職の場合には遺族が直接会社に対する退職金請求権を取得するものであって相続財産には含まれないということになります。(最高裁判例により受給権者である遺族固有の財産であり遺産に属さない。)

●慰謝料請求権

相続されるのか、されないのか問題とされていましたが最高裁判決(昭和42年11月30日)により、相続されるとの判例が下されています。

●賃貸人・賃借人の地位

賃貸人・賃借人とも相続の対象となります。ただし、賃借人も内縁の夫(妻)が死亡した場合、内縁の妻(夫)の居住をどのように保護するのかという点です。ほかに相続人がいる場合といない場合とで異なります。

①相続人がいる場合

相続人が賃借権を相続し、内縁の妻(夫)は相続人の賃借権を援用して居住を賃貸人に対し、請求ができます。

②相続人がいない場合

借地借家法第36条によります。

(居住用建物の賃貸借の承継)

第36条 居住の用に供する建物の賃借人が相続人なしに死亡した場合において、その当時婚姻又は縁組の届出をしていないが、建物の賃借人と事実上夫婦又は養親子と同様の関係にあった同居者があるときは、その同居者は、建物の賃借人の権利義務を承継する。ただし、相続人なしに死亡したことを知った後一月以内に建物の賃貸人に反対の意思を表示したときは、この限りでない。

前項本文の場合においては、建物の賃貸借関係に基づき生じた債権又は債務は、同項の規定により建物の賃借人の権利義務を承継した者に帰属する。

■ 相続開始から遺産分割までの遺産の帰属


相続人が一人である場合には相続開始のときから、遺産は当然その相続人の単独所有になりますが、相続人が複数いる場合には、相続開始から遺産分割がなされるまでは、遺産は数人の相続人全員の共有状態におかれます。(民法898条)

●相続により各相続人は直ちに遺産を処分できるわけではありません。遺産分割協議が整うまでは相続人全員の共有状態におかれ、各相続人の共有持分は、その相続分に応じて定められます。

●遺産の共有とは、個々の財産についてそれぞれ共有となるという意味です。

●債権は分割できる性質のものと分割できない性質のものとで取り扱いが異なります。

①分割できる債権 

金銭債権等の場合には当然に分割されて各相続人がその相続分に応じて権利を承継するとされています。

②分割できない債権

土地・建物を引き渡すという債権の場合には不可分債権となり、各相続人は各自がその他の相続人のために全部の引渡しを請求できるとされています。

●債務についても分割できる性質のものかによって取り扱いが異なります。

①分割できる債務

各相続人が各自の相続分の割合に応じて分割された義務を負います。

②分割できない債務

例えば、土地の売主の引渡し義務や所有権移転登記義務のように分割できない債務は相続人全員に不可分的に相続されます。よって債権者はどの相続人に対しても全部の履行の請求ができます。

■ まとめ


相続財産が把握できなければ相続税申告で財産漏れが生じてしまいます。また、相続財産が把握できていないと、相続人全員で遺産分割協議もできません。

相続財産をすべて把握しておくことは被相続人が生前に相続人に伝えておく必要があります。ただし、すべての相続財産を把握しておくことは難しいものです。

相続財産の種類によって調査方法が異なりますので、専門家への相談をしておくことをおすすめします。


参考文献:相続法に強くなる63の知識 財団法人大蔵財務協会

■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

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