賃貸借における「連帯保証人」と「家賃保証会社」の違い、を考える

■ はじめに

賃貸住宅を借りる場合、連帯保証人が必要と考える方少なくないはずです。

しかし、この連帯保証人とは別に保証料を支払い賃貸保証会社（家賃保証会社）を利用する場合も増えています。

賃貸における連帯保証人と保証会社とは何が違うのでしょうか。そこで今回は、連帯保証人と保証会社との違いについて考えてみます。

■ 連帯保証人とは

賃貸借における連帯保証人とは、賃借人が賃料などの支払いを滞納した場合、賃借人に代わりにその支払い義務を負う人のことであり、保証する範囲としては、家賃の支払い、原状回復費用の支払い、賃借人の故意過失などによる修理費用などのその他債務の支払い義務を負う場合となります。

なお、連帯保証人の債務履行が難しい場合、連帯保証人の資産が差し押さえられる可能性もあります。

連帯保証人は誰でも選ぶことができるのか？と言われると誰でもいいというわけではありません。賃貸借の場合、連帯保証人として選べる人、選べない人とは次のようになります。

連帯保証人として選べる人

・2親等以内の親族

・安定した収入がある人

・電話やメールなどで連絡が取れる人

・日本国内に在住している人

連帯保証人として選べない人

・無職など収入のない人

・年金で生活している人

・配偶者または同居人

・友人

・恋人

・クレジットカードなどの支払いを滞納したことがある人

・海外に住んでいる人

・反社会的勢力の関係者

■ 家賃保証会社とは

家賃保証会社とは、賃借人が賃料を滞納した場合、賃借人に代わり賃貸人や管理会社に賃料を立て替えて支払う会社です。

連帯保証人の代わりとなり、家賃滞納のリスクを軽減する役割を果たします。現在では多くの賃貸物件で利用が必要となっており、賃借人は保証料を支払うことにより、連帯保証人を選ぶ必要もなくなるというメリットがあります。

■ 連帯保証人と家賃保証会社との違い

家賃債務保証会社と連帯保証人には大きな違いがあります。連帯保証人は自然人であり、借主の家賃債務等を保証する立場です。一方、家賃債務保証会社は法人であり、賃貸借契約における借主の債務を包括的に保証する専門の事業者です。

項目	家賃保証会社	連帯保証人
主体	法人	自然人
保証範囲	包括的な債務保証	個別の債務保証
保証料	保証料の支払いあり	保証料の支払いなし
審査	審査基準あり	審査基準は賃貸人の判断

※家賃保証会社は審査の基準が定められており保証料が必要となります。一方連帯保証人は審査基準が定められておらず賃貸人の判断によるところが大きいです。

■ 連帯保証人のメリットとデメリット

連帯保証人のメリットとデメリットとしては以下の点が挙げられます。

メリット

賃借人の賃料滞納分を賃借人の代わりに返済をする責任を負うため、賃貸人の安心感がある。

デメリット

賃借人の家賃滞納、修繕費、損害賠償などを保証する義務が生じることであり、賃借人との関係が悪化することや連帯保証人として簡単に外れられないこと、そして賃借人の債務不履行時に一括請求を受けるリスクなどがあります。

■ 家賃保証会社のメリットとデメリット

家賃保証会社のメリットとデメリットとしては以下の点が挙げられます。

メリット

賃借人が連帯保証人を選ぶことなく賃貸借契約を締結できます。賃貸人も家賃滞納リスクを軽減できることです。

デメリット

賃借人は保証料や更新時に負担が増えることや家賃滞納が続くと信用情報に影響する可能性があることです。

■ まとめ

連帯保証人と家賃保証会社はどちらも賃貸人に対し、「賃借人の家賃支払いなどを確保するための制度」という役割があり、責任の在り方や手続き、費用負担が大きく異なります。

賃貸人としては、連帯保証人と家賃保証会社のどちらを利用してもらうのか、または併用してもらうのか、十分検討を行い、管理会社と相談を行うことが重要です。賃借人としてもトラブルを避けるため賃貸借契約の前に十分な確認を行っていただくことをおススメします。

■記事の投稿者　飯島興産有限会社　飯島　誠

私は、予想を裏切るご提案（いい意味で）と、他者（他社）を圧倒するクオリティ（良質）を約束し、あなたにも私にもハッピー（幸せ）を約束し、サプライズ（驚き）のパイオニア（先駆者）を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。（野球部）
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。