
目次
- ■ はじめ
- ■ 顕在化するタバコ煙の問題
- ■ 賃貸住宅を禁煙にした場合の問題点
- ■ まとめ
■ はじめに
分譲マンション、賃貸住宅ともに社会情勢の変化に伴い、「禁煙」という言葉が叫ばれるようになっています。
来年(2026年)4月に分譲マンションの法律と言われる「区分所有法」の改正が行われます。
この「区分所有法」の改正に向け、このたび国土交通省の標準管理規約の見直しに関する検討会にて「マンション内での喫煙に関するルールの整備」が加えられました。
これは「改正健康増進法に基づき令和14年度までに『望まない受動喫煙』をなくすことを目指すこととしている」もので令和7年8月のマンション標準管理規約の見直しにおいてもコメントされ、令和7年マンション標準管理規約の改正においても禁煙についての項目が定められています。
このように、分譲マンションにも正式に「禁煙」について規約で定めることができるようになり、賃貸住宅にも「禁煙」について正式にルール化する必要が生じてくるはずです。
そこで、今回は賃貸住宅おいて「禁煙」ルール策定の場合、どのような注意点が生じてくるのか、を考えてみます。
【令和7年マンション標準管理規約の見直し】
001904607【マンション標準管理規約(単棟型) 新旧対照表】
001965189■ 顕在化するタバコ煙の問題
以前コラムでも掲載しましたが、喫煙に限らず、タバコに関する相談事例としては、
①タバコの吸い殻のポイ捨て
②洗濯物にタバコの肺のようなものがついている
③タバコのにおい
④廊下や駐場での喫煙
などがありました。
以前では、
「タバコの吸殻が投げ捨てられた」・「共用部分で喫煙している人がいる」
と言った実害が多かったのですが、ここ数年では、
「子供がぜんそくなのでタバコの副流煙が心配」・「隣の住民がベランダでタバコを吸っているようで煙が流れてくる。」
と健康被害や精神的苦痛という目に見えない被害に対して、管理会社へ対策を求めるようになってきているのが特徴です。
これらの理由として特にここ数年は、在宅勤務が増えたこともあり、非喫煙者が自宅にいる時間も増え、喫煙者が自宅でタバコを吸うことも増えたことにより顕在化しております。
特に賃貸住宅などの集合住宅の場合、隣接する部屋や上下階の部屋からタバコ煙が非喫煙者の生活空間に入り込んできており、換気などの空調システムが共有だったり、外気へ出たタバコ煙が廊下やベランダから再流入するからのようです。
■ 賃貸住宅を禁煙にした場合の問題点
賃貸住宅において「禁煙」にした場合、喫煙者からの入居申し込みが減ることが考えられ、入居者募集に苦戦する可能性があります。
また、賃貸借契約書に「禁煙」の特約を記載した場合、契約者や入居者が隠れて喫煙することも想定でき、その際、ほかの契約者や入居者とのトラブルに発展することも考えられます。
そのほか、貸主から見た場合、
入居希望者の減少が発生した場合、家賃収入が減少する。
賃貸借契約書にて禁煙である旨を定めておき、隠れて喫煙する契約者や入居者が発見された場合、退去を求めることは可能なのか、罰則を科すことは可能なのか、など法的な問題点。
契約者や入居者希望者に対し、どの段階で「禁煙」である旨の告知としてみなされ、賃貸借契約書とは別に「禁煙」である旨の説明書が必要なのか、など契約者・入居者に「禁煙」である旨の確認をどうするのかも問題となります。
さらには、喫煙者が入居していた部屋を禁煙にした場合、禁煙とした後に残るタバコ煙の臭い問題もあり、賃貸住宅を禁煙化する場合、タバコ煙の臭い問題に対し、消毒、壁紙の張替えなどが必要となることも考えられます。
■ まとめ
賃貸住宅にかかわらず喫煙者による受動喫煙の被害は、世界的に問題となっています。
日本でも受動喫煙問題は、公共の場からプライベート空間へ移ってきています。
個々の貸主や管理会社の独自の考え方ではなく、国土交通省を含め、不動産会社の属する協会で方針を決めるべき事案かもしれません。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。


●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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