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11.242023

コラム

賃貸住宅でのベランダ喫煙を考える

目次

  • ■ 喫煙に関する相談事例
  • ■ 受動喫煙マナーからルールへ
  • ■ アパートなど居住用に対する影響
  • ■ 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン
  • ■ まとめ

■ 喫煙に関する相談事例


アパートやマンションなどで入居者の喫煙マナーが問題となるケースがあります。

特にベランダでの喫煙は他の入居者からクレームを招きやすく、貸主を悩ませているトラブルのひとつに挙げられます。

喫煙に限らず、タバコに関する相談事例としては、

①タバコの吸い殻のポイ捨て

②洗濯物にタバコの肺のようなものがついている

③タバコのにおい

④廊下や駐場での喫煙

などがありました。以前では、

「タバコの吸殻が投げ捨てられた」・「共用部分で喫煙している人がいる」

と言った実害が多かったのですが、ここ数年では、

「子供がぜんそくなのでタバコの副流煙が心配」・「隣の住民がベランダでタバコを吸っているようで煙が流れてくる。」

と健康被害や精神的苦痛という目に見えない被害に対して、管理会社へ対策を求めるようになってきているのが特徴です。

■ 受動喫煙マナーからルールへ


2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、望まない受動喫煙を防止するための取組のもと受動喫煙を防止する取組が義務化されることとなりました。

受動喫煙防止法の目的は、その名の通り「望まない受動喫煙をなくす」ことです。

2018年7月に健康増進法の一部を改正する法律が成立し、受動喫煙を防止する取組が義務化されることとなりました。病院や学校などでは既に順次施行され、2020年4月1日の全面施行で、飲食店やオフィス・事業所なども受動喫煙防止法に従い、望まない受動喫煙を防止するための取組は、マナーからルールへと変わりました。

■ アパートなど居住用に対する影響


受動喫煙防止法では居住用物件は適用対象外となっています。

では、賃貸住宅では規制を受けるのでしょうか。

【居室部分】

まず、居室部分(室内)では、喫煙について特に賃貸借契約書に記載されていないなら、室内での喫煙も可能です。

ただし、喫煙によってクロスや床が汚れたり、臭いが残ったりした場合は退去時に支払う原状回復費用がかかります。

退去時にクロスの張替えなどタバコのヤニによる汚れ、タバコの匂いによる原状回復費用が必要となることを自己責任として理解していただく必要はあります。

【居室以外:ベランダなど】

では、ベランダの喫煙についてはどうでしょうか。

結論として、ベランダでの喫煙は規約で禁止されていなくても難しいのです。

理由1

集合住宅におけるベランダは「共用部」に該当します。そのため、契約書に「共用部は火気厳禁」などと明記されていたら、当然ベランダでの喫煙は禁止となります。

賃貸住宅の場合、ベランダ・廊下・階段・駐車場など壁の外はすべて共用部分となります。

室内と異なり、契約書に明記されていない場合でもベランダの喫煙には要注意。たばこの煙と臭いが「近隣住民への迷惑行為」となる恐れがあるからです

近隣住民がたばこのニオイを嫌ったり健康面に気をつかっていたりすると迷惑と感じてしまうはずです。

場合によっては健康被害を理由に慰謝料を請求されることも。そこまでのトラブルに発展しなかったとしても、近隣住民と揉め事を起こしたら住みづらくなるはずです。

過去にはベランダでの喫煙について慰謝料請求を認められた判例もあります。

この判例では被害者が喫煙者に対し再三注意をしたが、喫煙をやめることをせず精神的損害を認めたものです。

理由2

賃貸借契約において賃借人(入居者)は善管注意義務に基づいた使用をしなければならないことです。

善管注意義務とは、善良なる管理者に払うべき注意義務の略であり、より慎重に注意を払う義務を負うことをいいます。

さらに賃貸住宅では、ほかの入居者の迷惑になる行為を賃貸借契約上において禁止されていることが多いはずです。つまり、ベランダ喫煙による受動喫煙も状況によっては迷惑行為になる可能性はあります。

住戸内での喫煙が契約で禁止されていており、そのルールを破って喫煙をしたら違約金を請求されたり、退去を勧告されたりする場合もあります。

理由3

そして、健康増進法第25条の3において次のように規定されています。

(喫煙をする際の配慮義務等)
第二十七条 何人も、特定施設及び旅客運送事業自動車等(以下この章において「特定施設等」という。)の第二十九条第一項に規定する喫煙禁止場所以外の場所において喫煙をする際、望まない受動喫煙を生じさせることがないよう周囲の状況に配慮しなければならない。

と法律に規定されているのです。

この規定に違反したからといって罰則が科せられるものではありません。

しかし、自宅のベランダでの喫煙であっても、周囲への配慮もなく他人の迷惑を考えず喫煙してよいということ自体、今後認められなくなるはずです。

■ 原状回復をめぐるトラブルとガイドライン


「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」が適用されるのは退去時となります。

ガイドラインに沿って原状回復の判断が行われ、必要があれば修繕が施されます。

故意・過失で壊した箇所がなければ、基本的には敷金からクリーニング費用を差し引いた金額が退去時に返ってきます。

ガイドラインには修繕にかかる費用負担が明記されており、もし借主の過失であれば費用が請求されることになります。

ただし原状回復といっても経年劣化・減価償却(壁紙・クロスは年々価値が減少)を考慮しますので、退去時にすべてを元どおりにする必要などありません。

ガイドラインにより、耐用年数も決められており6年経てばほとんど価値がなくなるとされています。

例えば壁紙に修繕が必要な汚れを付けたとしても、価値を考慮したうえでの費用負担となります。

また、ガイドラインでは具体的に貸主と借主の負担が決められています。日々生活する上での、多少の傷や汚れは貸主の負担となります。

例えば、日焼けや画鋲の穴、多少の黒ずみなどは借主負担にはなりません。ただし、ネジ穴や針穴は借主負担となります。

タバコの場合はどのように決められているのでしょうか。

喫煙によってカーペット・クロス・設備機器に汚れや臭いが付着した場合には、クリーニングか天井・壁クロスの張替えをすることになります。

黄ばみや臭いが深刻な場合は、全室壁紙・天井を張替えることにもなり、費用が発生する可能性もあります。

ガイドラインでは、「通常を超えた使用による消耗」は借主負担とされています。」ので借主は間違った判断をせず、賃貸借契約書とガイドラインを必ずご参考にしてください。

■ まとめ


賃貸住宅において喫煙の可否は賃貸借契約書や使用細則などの内容によって異なります。

室内での喫煙を禁止されているか、いないかについては、賃貸借契約書などの書類を確認する必要があります。またベランダでの喫煙については、規約で禁止されてない場合であっても隣接入居者や近隣住民に配慮することが大切となります。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

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