
目次
- ■ はじめに
- ■ 名義変更と新規の賃貸借契約の違い
- ■ 名義の変更を届け出ない場合
- ■ 名義変更の届け出が必要な場合
- ■ まとめ
■ はじめに
お部屋を借りた後、やむを得ない理由で借主の名義を変更しなければならないとなった場合、名義を変更することは可能なのか、可能であればどのような手続きとなるのか、など確認しておきたいことです。
また、名義変更が認められず新規の賃貸借契約を締結しなければならない、と言う場合もあります。
そこで今回は、名義変更が可能な場合、名義変更でなく新規の賃貸借契約を締結しなければならない場合を考えてみます。
■ 名義変更と新規の賃貸借契約の違い
賃貸借契約において「名義変更」は借主の氏名や法人契約での社名の変更など借主自体の情報に変更が生じる場合に賃貸借契約書を補完する意味での手続きをいいます。
この場合、賃貸借契約はそのまま継続することになります。
一方、「新規の賃貸借契約」は、借主自体が変更される場合に、新たな借主の賃料の支払い能力などに関する審査を経るため、新規の賃貸借契約を締結する手続きをいいます。
この場合、従前の賃貸借契約の解約手続きから解約の清算まで行うことになります。
■ 名義の変更を届け出ない場合
賃貸の名義の変更が生じているにもかかわらず貸主や管理会社へ届出ない場合、契約違反とみなされ、解除の事由や違約金の請求を受ける場合がありますのでご注意ください。
また、賃料の滞納、火災・水漏れなどの事故が発生した場合、賃貸借契約書に記載されている借主および入居者以外が居住しているため、補償責任を問われる場合もあります。
これは「名義貸し」や「無断転貸借」と判断され、貸主や管理会社との信頼関係を破壊するのもで、賃貸借契約の名義の変更などにおいても影響を与えることになります。
■ 名義変更の届け出が必要な場合
賃貸契約の名義変更が必要な代表的な例として、以下のものが挙げられます。
●借主の氏名や法人契約での社名の変更が生じた場合
●個人契約から法人契約へ変更する場合、法人契約から個人契約へ変更する場合
婚姻などにより氏に変更が生じた場合は名義の変更が可能であり、そのこと自体を証明する書類を提出することにより手続きが可能となります。
一方、法人契約にて締結している賃貸借契約においても、社名の変更が生じた場合も同様の手続きにて可能となります。
また、配偶者が死別または配偶者と離別した場合、その配偶者が借主の場合には借主自体に変更が生じており、新たな借主の賃料の支払い能力などに関する審査を経るため、新規の賃貸借契約となります。
※同等の支払い能力がある場合、貸主や管理会社によっては、名義変更の手続きで許可してくれる場合もあります。
●個人契約から法人契へ変更する場合、法人契約から個人契約に変更する場合
個人契約で賃貸借契約を締結していた場合、勤務先の家賃補助等の関係で法人契約に変更したい場合や法人契約で締結していた賃貸借契約を締結していた場合で勤務先を離職、退職した場合は、借主自体に変更が生じており、新たな借主の賃料の支払い能力などに関する審査を経るため、新規の賃貸借契約となります。
◆そのほかの例
●入居者に変更が生じた場合
婚姻や同居により入居者が増える場合もあります。
この場合、賃貸借契約の借主の名義に変更が生じなければ届出のみで手続きが完了します。 ※ワンルームなど1人の入居条件の場合、同居は禁止されています。
しかし、同居する相手方の勤務先の家賃補助などの関係から相手方に名義を変更したい場合は、借主自体に変更が生じており、新たな借主の賃料の支払い能力などに関する審査を経るため、新規の賃貸借契約となります。
■ まとめ
賃貸借契約は、借主の名義に変更が生じる場合には必ず届け出なければなりません。
この名義変更の届出の内容により、名義変更の手続きで完了するのか、新規の賃貸借契約になるのかは、借主自体の情報に変更が生じる場合には名義変更の手続き。
借主自体が変更される場合に、新たな借主の賃料の支払い能力などに関する審査を経るため、新規の賃貸借契約となります。
この場合、名義変更の手続きには事務手数料、新規の賃貸借契約の手続きには仲介手数料が必要となります。
また、双方ともに必要な書類を用意する時間もありますのですぐに手続きが」完了するものではありませんのでご注意が必要となります。
名義の変更が生じた場合、一日も早く貸主や管理会社へ相談をされ、手続きを行うことをオススメします。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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