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11.152024

貸主死亡時の注意点、を考える

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 貸主の地位は相続人に承継される
  • ■ 敷金など預かり金はどうなるのか。
  • ■ 新たな貸主が決まるまでの賃料は誰に支払うのか。
  • ■ まとめ

■ はじめに


賃貸物件において突然、貸主が亡くなられた場合、「貸主が亡くなる=追い出される。」など心配される方いるのではないでしょうか。心配はいりません。しっかり民法で守られています。

今回は、貸主が突然、亡くなられてしまった場合、管理会社や貸主の相続人からどのような連絡が来るのか、などを考えていきます。

■ 貸主の地位は相続人に承継される


貸主の死亡により、貸主の相続人は、貸主たる地位を承継することになります。

貸主としての地位は、被相続人の一身専属権ではないため、相続によって他の遺産と同様に相続人に承継されことになります。

借主から見れば、貸主が亡くなった場合、相続人が貸主となり、締結済の賃貸借契約をそのまま継続されることになります。当然ながら、借主は借主の死亡を理由に賃料の支払いを拒否することなどは認められません。

※貸主の死亡により遺産を誰が相続するのかが決まるまでの間、相続人が複数知る場合、そのすべての相続人で承継することになります。

■ 敷金など預かり金はどうなるのか。


賃貸物件においてその契約に伴い借主は貸主に対し、敷金を預け入れることになります。

その敷金とは、賃貸借契約から発生する一切の債務を担保する目的で支払われる金銭であり、賃貸借契約の終了後、その敷金の全部または一部が借主に返還されるものです。

この敷金についても、法律上、貸主の地位とともに移転するものとされています。よって敷金の返還義務についても貸主の相続人に承継されます。

■ 新たな貸主が決まるまでの賃料は誰に支払うのか。


【遺産分割協議の確定前】

貸主の死亡により、それまで賃料を入金していた口座は凍結されます。管理会社指定の管理会社名義の口座への入金では問題は生じることはありませんが、貸主個人の口座への振込はできなくなってしまいます。

このような場合には、相続人や管理会社から賃料の振込口座の変更依頼書が送られてくることになり、その指定された口座へ振込むことになります。

万一、「めんどくさい」などと理由を付けて賃料を支払わなければ滞納となりますので、ご注意ください。

※貸主の死亡後、その財産を相続することが確定(遺産分割協議)するまでは相続人全員が使用収益を受けることが定められています。

そのため、賃料の振込を変更された場合、相続人全員の連名での通知書となっているのかを確認する必要があります。

通常、相続人が相続人の中から代表者を定めて代表者の指定口座へ振り込むことになります。ただし、この場合でも相続人全員が代表者を定めている確認書(相続人全員の署名捺印のあるもの)の有無は確認しておくべきです。

※貸主死亡後、賃料の振込口座の変更依頼は多くて2回あります。

【遺産分割協議の確定後】

遺産分割協議が成立すると、相続した相続人が貸主の地位を承継することになります。

賃料についてもその財産を取得した相続人の指定した金融機関の口座へ振り込むことになります。

※貸主の死亡により、賃貸借契約は終了することはありません。

従前の賃貸借契約の内容がそのまま継続されますので新たな貸主との間で賃貸借契約書を締結する必要もありません。

ただし、相続によって貸主の変更が生じているため、その事実を明確しておくため、新たな貸主との間にて「貸主変更の覚書」は締結しておく必要もあります。

「貸主変更の覚書」は、更新時などに締結しておくことも可能ですが、その場合には貸主より「貸主変更の通知書」を発行してもらうようにしてください。

■ まとめ


貸主死亡により、他の遺産と同様に相続人に承継されことになるため、相続人が貸主となり、締結済の賃貸借契約をそのまま継続されることになります。

ただし、相続人間での遺産分割協議が完了するまで賃料の振込口座を多くて2回変えていただくことになります。

借主は、相続により相続人からお願いがあった場合には必ず協力していただくことをお願いいたします。


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■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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