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1.152024

相続実例⑧配偶者の身の上介護を考慮した事例

相続実例

■ 配偶者の身の上介護を考慮した事例


目次

  • ■ 相続人関係図
  • ■ 相続財産
  • ■ 依頼までの経緯
  • ■ 依頼内容
  • ■ 対応と結果
  • ■ ポイント

■ 相続人関係図


相続人は、お亡くなりになられたご主人の奥様と長男・次男の3名。

■ 相続財産


① 土地・建物

② 現金

■ 依頼までの経緯


ご相談は、亡くなられたご主人の奥様。

奥様の知人より当社をご紹介され、ご相談をいただきました。

まず、ご心配をされていたのが相続税がかかるのか、どうか。

そして、お子様(長男・二男)は都内に居住されており、今後の一人住まいの生活を心配されておりました。

なお、遺言はありません。

■ 依頼内容


① 相続税の課税の有無。

② 相続人の確定作業。

③ 遺産分割協議書の作成および相続税の申告書の依頼。

④ 奥様自身の今後の生活。

⑤ 2次相続の分割方法。

■ 対応と結果


相続財産の確認をさせていただき、相続税は相続税基礎控除を差し引いても控除しきれないため、遺産分割の内容により相続税の納税が発生する状況です。

今回のケースでは、基礎控除を差し引いた後、控除しきれない部分について相続税がかかりますが、現金にて支払いは可能であるため相続税の支払い問題はありません。

相続税と言うより、今まで亡くなられたお父様と二人で生活をされており、今後は一人での生活となります。

当分の間はお母様一人で生活は可能であり、また近くにはお父様の実家やお母様の弟様も住んでいるので安心です、

しかし、万一、お母様に痴呆などで施設に入所した場合、どのような施設に入所されるかは不明ですが民間施設の場合20万円前後の支出は覚悟しなければなりません。

では、施設の入所に伴う費用をどこから捻出するのかと言えば、

①年金 ②手持ち資金 ③長男・次男の預貯金 ④自宅の土地・建物

となります。

①お母様の年金では支払いは不可能 ②手持ち資金では数年分しかない

③長男・次男の預貯金は十分ですが、お母様が長男・次男の家庭に迷惑はかけたくない

ということを踏まえ、万一の場合には④自宅の土地・建物を売却して捻出してほしいとの考えです。

しかし、問題なのは本人の意思確認ができなければ自宅の土地・建物を売却することはできません

※預貯金も窓口での引き出しもできません。

以上の経緯により、遺産分割協議においてお父様の相続財産はすべてお母様へ相続を行うこととし、その結果、相続税は申告は必要となりますが配偶者控除により税額がゼロとなります。

そして、お母様の万一に備えて遺産分割協議書締結、自宅の土地・建物の所有権移転後において次の信託関係図のとおり、お母様を委託者、長男を受託者。受益者をお母様とした信託を組み、信託財産を自宅の土地・建物および預貯金として信託を組むことになりました。

また、お母様の身の上介護につきましては、ご長男を受任者として任意後見契約を締結しました。

信託の関係図について

今回のように自宅の売却と預貯金ののみの信託の場合、信託事務代行者を選任する必要もないかもしれませんが、亡くなられたお父様とお母様の弟様より選任してもらいたいということで弁護士に依頼を行いました。

また、お母様より自分がボケてしまった後は弟に意思確認をしてもらいたい、という理由にて受益者代理人を医師の診断書をもとに就職することにしました。

※通常は、受益者代理人は、信託設定時に就任しますがこのような方法もあります。ただし、医師の診断書と言っても受益者代理人と医師が結託する場合もありますので注意が必要です。

最後に、当社が信託調整役となっていますが、信託法上において信託調整役は存在しません。では、なぜ?信託調整役を設置するかと言いますと、親族や各専門家(仕業)の方で進めるのが家族内での信託です。しかし、お母様の本当の意思など親族とくにお子様には伝えていないものです。まして専門家などはその場で初めて会う方などはお母様の気持ちなどわからない部分が多くあります。

そのため、信託を組む場合、当社がこのような立場で調整役として依頼を受けるというわけなのです。

■ ポイント


今回の事例のようにお父様・お母様のどちらかの相続において残った配偶者の今後の生活や痴呆等による施設への入所による費用の支出が問題となってきています。

相続処理・相続対策の案件では親の介護等の問題を考えずには進められない状況です。

今回の事例では、長男・次男がお母様のために、お父様の相続財産をお母様ひとりに相続していただけたので問題は発生せずに済みました。

しかし、どこの家庭でも今回の事例のような家族ではありません。

1次相続が発生しますと10ヶ月の間に分割協議・相続税の納付を行い、併せて残された親の介護等の問題が発生します。

まだ先の話だから、と言わずにその家族に合った対処法があるのか、専門家にご相談しておくことをおススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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