全30回連載

第7回:なぜ「普通の家族」ほど相続でもめてしまうのか?(よくある誤解)
今回から、このコラムシリーズで最も皆さんに知ってほしい「どうして家族でもめてしまうのか?」というテーマ(もめない家族編)に入っていきます。
みなさんは、「相続トラブル」と聞くとどんな家庭を想像しますか?
きっと多くの人が、「何億円もの資産がある大金持ちの家庭」や、「普段からお互いに憎み合っているような仲の悪い家族」を思い浮かべるはずです。うちの親は仲が良いし、分けるほどのお金もないから、ケンカなんて起きるはずがない――そう考えている大人はとても多いです。
しかし、現実はまったく違います。実は、相続でもめてしまうのは、どこにでもある「ごく普通の、仲が良い家族」なのです。
今回は、大人でも陥りがちなこの大きな誤解の正体について解き明かしていきます。
数字が証明する「約7割が普通の家庭」という現実
日本の裁判所(最高裁判所)が毎年出している、相続をめぐるトラブルのデータがあります。それを見ると、驚くべき事実が分かります。
遺産の分け方で家族がもめ、話し合いがつかずに裁判所での話し合い(遺産分割調停など)にまで発展してしまったケースのうち、なんと全体の約7割(約70%)が「遺産の総額が5,000万円以下」の家庭なのです。
さらに細かく見ると、そのうちの約3割は「1,000万円以下」の家庭です。
5,000万円以下、あるいは1,000万円以下という金額は、高級住宅街の大豪邸などではなく、一般的な「地方や郊外にある一戸建て(実家)と、少しの貯金」があるような、まさに日本のごく一般的な「普通の家庭」の金額です。
つまり、相続トラブルの現場は、大富豪の家ではなく、私たちのすぐ身近にある普通の家庭なのです。
なぜ「仲が良い家族」がもめてしまうのか?
では、なぜ生前はあんなに仲が良かったきょうだいや家族が、親が亡くなった瞬間に鬼のような顔をしてお互いを責め立てるようになってしまうのでしょうか。理由は大きく2つあります。
1.「うちは大丈夫」と誰も準備をしていないから
お金持ちの家庭は、最初から「もめるかもしれない」「税金が高くなる」と分かっているため、事前に弁護士や税理士などの専門家に入ってもらい、きっちりと準備(対策)をしています。
一方で、普通の家庭は「うちはもめるほど財産がないから大丈夫」と油断して何も準備をしません。
その結果、いざ相続が始まったときに、ルールも分け方も分からないまま話し合いがスタートし、感情のぶつかり合いになってしまうのです。
2.登場人物が「きょうだいだけ」ではなくなるから
親が元気なうちは、子どもであるきょうだい達だけで仲良く話ができます。
しかし、親が亡くなって実際に相続が始まるとき、子どもたちはすでに結婚してそれぞれ「自分の家族(夫や妻)」を持っています。
すると、自分の夫や妻から「あなた、ちゃんともらえるものはもらってよ」「子どもの学費もかかるんだから、きれいに半分に分けてね」と裏でアドバイス(プッシュ)を受けることになります。
自分の家族の生活を守るために、きょうだいに対して「引けない戦い」が始まってしまうのです。
「気持ち」のズレが怒りに変わる
相続でもめる原因の多くは、実は金額の多寡ではなく「感情のズレ」です。
「お兄ちゃんは昔からひいきされていた」「私は親の介護をずっと手伝ってきたのに、何もしてこなかった妹と同じ取り分なんて許せない」といった、何十年も積み重なってきた家族への不満や小さな嫉妬が、相続というきっかけで一気に爆発してしまうのです。
お金がないから揉めないのではなく、明確な準備がないからこそ、感情のぶつかり合いを止めるブレーキが効かなくなってしまいます。
まとめ:もめないための第一歩は「知ること」
「うちは普通の家族だから大丈夫」という思い込みこそが、将来の悲劇を生み出す一番の引き金になります。
裏を返せば、「普通の家族だからこそ、ちゃんともめる可能性があるんだ」と全員が知っておくだけで、事前の防衛策を取ることができます。
では、普通の家庭にある財産の中で、最も家族を狂わせる「ある1つの大きな原因」とは何でしょうか。
次回は第8回:分けにくい財産ナンバーワンは「実家(不動産)」について詳しく解説します。不動産業のプロとしても最もお伝えしたい、お家の分け方の難しさに迫ります。お楽しみに!
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■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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