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11.62026

隣人が立ち合いを拒否しても諦めない!「筆界特定制度」のメリット・デメリットを徹底解説

目次

  • ■ はじめに
  • ■ そもそも「筆界特定制度」とは?
  • ■ 「筆界(ひっかい)」と「所有権界(しょゆうけんかい)」の落とし穴
  • ■ 筆界特定制度で解決できること・できないこと
  • ■ 筆界特定制度を利用する「4つのメリット」
  • ■ 知っておくべき「4つのデメリット・注意点」
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産の売買や相続において、避けては通れないのが「境界確認」です。

しかし、「隣人がどうしても話し合いに応じてくれない」「高齢で立ち合いが難しいと言われた」「長年の近隣トラブルで交渉すらできない」というケースは少なくありません。

当事者同士での解決が困難になったとき、裁判(境界確定訴訟)という重い手段を選ぶ前に、ぜひ知っておきたいのが法務局の「筆界特定制度(ひっかいとくていせいど)」です。

今回は、隣人が立ち合いを拒否したときの救世主とも言えるこの制度について、実務的なメリットとデメリットをプロの視点から詳しく解説します。

■ そもそも「筆界特定制度」とは?


筆界特定制度とは、土地の所有者の申し立てにより、法務局の「筆界特定登記官」が、法律上の正しい土地の境界(筆界:ひっかい)を客観的に特定する行政上の制度です。

審査の際には、土地家屋調査士や弁護士などの専門家から選ばれた「筆界調査委員」が、法務局の古い地図(公図)や地積測量図、過去のデータ、現地の測量結果などを総合的に調査し、意見を提出します。

最大のポイントは、「隣人の同意や立ち合いがなくても、法務局が公的な境界を一つの結論として出してくれる」という点にあります。

■ 「筆界(ひっかい)」と「所有権界(しょゆうけんかい)」の落とし穴


境界トラブルを正しく理解し、筆界特定制度を上手に活用するために、絶対に知っておくべき「2つの境界」があります。それが「筆界(法律上の境界)」と「所有権界(実際の所有権の範囲)」です。

一見、同じもののように思えますが、法律上は全く異なる性質を持っています。

項目筆界(法律上の境界)所有権界(実際の所有権の範囲)
意味法務局に登録されている、土地が生まれたとき(登記されたとき)の公的な区切り現在、お互いの所有権が及んでいる範囲の私的な境界
変更の可否個人間で勝手に変更することは絶対にできないお互いの合意があれば、自由に動かすことができる
ズレる原因過去のずさんな測量、公図の狂いなど「昔から塀の内側を庭として使っていた」という歴史的経緯や時効など

なぜ2つの境界に「ズレ」が生まれるのか?

本来、この2つは一致しているのが理想です。しかし、日本の古い土地では、以下のような理由から「ズレ」が生じているケースが多々あります。

ケース①:塀の位置が間違っている
昔、お互いの親世代が「だいたいこの辺にブロック塀を建てよう」と、正確な測量をせずに建ててしまい、それが何十年もそのままになっているケース。

ケース②:お互いの合意で土地を貸し借りしていた
「お宅の車が停めにくいだろうから、うちの土地を少し使っていいよ」という親同士の親切心が、世代交代によって「ここがうちの土地の範囲だ」と誤解されてしまったケース。

■ 筆界特定制度で解決できること・できないこと


隣人が立ち合いを拒否した際、「筆界特定制度」で調べてもらえるのは、あくまでも「筆界(公的な境界)」だけです。

法務局は過去のデータから「法律上の正しい線はここです」と教えてくれますが、隣人が「いや、公的な線がそこだとしても、私は30年間ここを自分の土地として使ってきた(時効だ)!」と主張した場合、その所有権の争い(所有権界のトラブル)までを法務局が強制的に解決することはできません。

「じゃあ、筆界特定をやっても意味がないのでは?」と思われるかもしれませんが、そんなことはありません。

法務局が味方についた「筆界特定の判断」は、裁判になっても覆すのが極めて難しい決定的な証拠になります。

そのため、筆界特定が出ることで隣人が諦め、最終的に所有権の話し合い(買い取りや土地の交換など)に応じるケースが実務上とても多いのです。

■ 筆界特定制度を利用する「4つのメリット」


隣人との交渉がストップしてしまった場合、この制度を利用することには以下のような非常に大きなメリットがあります。

メリット1:隣人の「合意」がなくても手続きを進められる

一般的な境界確認では隣人の署名・捺印が必要ですが、筆界特定制度では隣人が立ち合いを拒否したり、書類へのサインを拒んだりしても、手続きを最後まで進めることができます。

隣人が話し合いに応じてくれない状況における、最大の突破口となります。

メリット2:裁判(訴訟)に比べて「費用」を大幅に抑えられる

境界を白黒つける最終手段である「境界確定訴訟(裁判)」を起こす場合、弁護士費用や裁判費用などで数百万円単位の巨額のコストがかかることが一般的です。

一方、筆界特定制度の法務局への申請手数料(収入印紙代)は、土地の評価額にもよりますが数千円〜数万円程度です。

※ただし、別途、土地家屋調査士への測量・申請代行費用などは必要となりますが、裁判に比べれば総額をはるかに低く抑えられます。

メリット3:プロの客観的なデータに基づき、関係性をこじらせずに済む

当事者同士の話し合いだと「昔はここが境目だった」「いや、お宅の木がはみ出している」など、感情論になりがちです。

筆界特定は、法務局という公的機関が、過去の登記データや科学的な測量に基づいて「ここが正しい境界です」と客観的に判断するため、売主様が隣人と直接戦う必要がなく、近隣関係のさらなる悪化を防ぐクッションになってくれます。

メリット4:次世代に「未解決の火種」を残さずに済む

自分の代でこの制度を利用して境界を特定しておけば、その結果は法務局に記録されます。将来、子供たちが土地を相続した際に、一から隣人と揉めるリスクを完全に消し去ることができ、親としての責任を果たすことができます。

■ 知っておくべき「4つのデメリット・注意点」


非常に便利な制度ですが、実務においては以下のデメリットや注意点をしっかりと把握しておく必要があります。

デメリット1:結論が出るまでに「時間(期間)」がかかる

筆界特定制度は、慎重な資料調査や現地調査を行うため、申請から最終的な特定結果が出るまでに「約半年〜1年以上」の期間がかかります。

そのため、「来月中に土地を売却して現金化したい」といった、期限が迫っている急ぎの取引には間に合わない可能性が高いのが実情です。

デメリット2:あくまで「法律上の境界(筆界)」を決める制度である

ここが最も重要な実務上の注意点です。この制度で決まるのは、あくまで法務局が管理する「法律上の境界(筆界)」です。

もし、隣人が「昔からこの塀の内側をうちの庭として使ってきた(時効取得だ)」などと主張し、お互いの所有権の範囲(所有権界:しょゆうけんかい)について争っている場合、その所有権のトラブル自体をこの制度で強制的に解決することはできません。

※ただし、筆界特定の結果は非常に強い証拠になるため、その後の話し合いや裁判で圧倒的に有利になります。

デメリット3:必ずしも「自分の思い通りの境界」になるとは限らない

筆界特定は、申請者(あなた)の言い分を聞き入れる制度ではなく、あくまで「客観的な正しい位置」を調べる制度です。

そのため、調査の結果、「自分が思っていたよりも敷地が狭い位置」に境界が特定されてしまうリスクもゼロではありません。

事前に信頼できる土地家屋調査士に資料を見てもらい、勝算(見込み)を立ててから申請することが極めて重要です。

デメリット4:登記簿に「筆界特定」の事実が一生残ってしまう

筆界特定が完了すると、その土地の登記簿(全部事項証明書)の「表題部」に、『令和〇年〇月〇日、筆界特定がされた』という事実が公的に記録(登記)されます。

これがなぜデメリットになり得るかというと、将来その土地を売却しようとした際、登記簿を見た第三者(買主や不動産会社)に、「過去に隣人と激しい境界トラブルがあり、お互いの話し合いでは解決できずに法務局を巻き込んだ土地なんだな」という事実が筒抜けになってしまうからです。

たとえ法律上の境界はスッキリ解決していたとしても、買主からすれば「気難しい隣人が住んでいるのではないか」「購入後にまた別のトラブルに巻き込まれるのではないか」という心理的な警戒心(心理的瑕疵のようなもの)を生む原因になりかねません。

そのため、買い手が付きにくくなったり、価格の値下げ交渉の材料にされてしまったりするリスクがあります。

■ まとめ


隣人トラブルで悩んだら、まずは当社の「提携土地家屋調査士」へご相談を

筆界特定制度は、隣人の立ち合い拒否に対抗できる強力な武器ですが、「そもそも自分の土地で申請すべきなのか」「勝算はあるのか」を一般の方が判断するのは非常に困難です。

当社では、境界問題に強い経験豊富な土地家屋調査士と提携しております。

「隣の人が話を聞いてくれないから、もう売却も相続対策も諦めるしかない……」と一人で抱え込まず、まずは一度当社にご相談ください。

現在の資料や状況から、筆界特定制度を利用すべきか、それとも他にスムーズな解決策があるのか、プロの目線から最適なロードマップをご提案いたします。

大切な資産と、未来のご家族の笑顔を守るために。皆様からのご相談を心よりお待ちしております。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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