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7.122024

賃貸物件で「鍵交換費用」はなぜ?借主の負担となるのか、を考える

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 鍵交換は必要なのか
  • ■ 鍵交換費用は本来誰の負担なのか
  • ■ 鍵交換費用を拒否できるのか
  • ■ 鍵を紛失しまった場合
  • ■ まとめ

■ はじめに


賃貸物件をお探しの際、募集図面に「借主の費用負担」欄に「鍵交換は借主費用金●●、●●●円」と記載されていることが多いと思います。

この鍵交換とは、前借主が使用していた鍵とシリンダーを取り替える作業のことであり、一般的に、借主が入れ替わるタイミングで行われます。

そこで今回は、「鍵交換費用」はなぜ?借主の負担となるのか、について考えてみたいと思います。

■ 鍵交換は必要なのか


鍵交換の必要性は防犯に関する不安を払拭するためです。

鍵を交換しないということは前の前借主が使用していた鍵を使用するということです。つまり、複製をしていた場合に自由に部屋に侵入できてしまうリスクがあります。

前借主は、退去時、部屋の複製した鍵を含めてすべての鍵を貸主に返却する義務があります。

しかし、実際問題として、退去前に合鍵を作り、持っていたとしても貸主や管理会社に見抜く術はありません。

このような万一のために鍵の交換を推奨しています。

※新築物件で未入居の物件の場合、鍵交換する場合があります。

新しい物件の建築中は、不特定多数の方が出入りするため、中古の賃貸物件と同様に安全や防犯のために鍵交換が必要とされます。

ただし、借主が見つかるまで工事用の鍵により、出入りをしている場合、借主が決まり次第、新しい鍵へ交換されます。この場合、借主の費用負担はありません。

■ 鍵交換費用は本来誰の負担なのか


国土交通省は、賃貸物件に関するトラブルを避けるために「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」を公開しています。

その「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」では鍵の取替えは「入居者の入れ替わりによる物件管理上の問題であり、貸主の負担とすることが妥当と考えられる。」とされています。

では、なぜ「鍵交換費用は借主」となるのか。

それは以下の2つの理由が挙げられます。

① 国土交通省は原状回復について「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」の中で発信しているだけであること。

② 原状回復をめぐるトラブルとガイドラインは一般的な基準をまとめたものであり、最終的には契約内容に沿って個別に判断されるべきものであること。

以上の2つの理由より原状回復をめぐるトラブルとガイドラインは、「原状回復」についてまとめられたものであり、鍵交換費用が問題となるのは契約時(入居時)であるため、原状回復をめぐるトラブルとガイドラインがそのまま当てはまると言うわけではありません。

また、過去には、鍵交換費用を借主負担にする特約が無効だとして争われた裁判例がありましたが、鍵交換費用を認めています。

その判決文から読み取れるトラブルを防止するためのポイントは以下の2点です。

①書面に記載、口頭で説明をして合意を取る。

②費用の負担額が著しく高くないこと。

※トラブルを未然に防ぐためにも募集図面・賃貸借明細書・賃貸借契約において鍵交換の費用を「金●●,●●●円」「借主が負担する」ということを記載することは必要となるはずです。

※高額の場合、貸と借主での折半という場合もあります。

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結論として鍵交換費用は、募集図面・賃貸借明細書・賃貸借契約書に記載がなければ貸主の負担であり、募集図面・賃貸借明細書・賃貸借契約書に記載があれば借主の負担となります。

■ 鍵交換費用を拒否できるのか


鍵の交換は法的には強制というものではありませんので交換をしたくなければする必要もありません。鍵の交換をしなければ費用が発生することもありません。

ただし、賃貸物件の募集図面に「鍵交換は借主費用金●●、●●●円」と記載されている場合、鍵交換費用は借主の負担となります。

万一、借主が鍵交換を必要としない場合には、鍵交換をしないために起こり得るリスクをすべて借主の責任で処理する旨の特約を盛り込むことにより、契約を締結することもできます。

ただし、リスクを考えた場合、数万円を支払い、鍵交換をされた方が得策と言えますので十分検討のうえ、判断されるべきです。

■ 鍵を紛失しまった場合


鍵を紛失してしまった場合の対処法の以下のとおりです。

①警察に紛失届を提出する

②貸主・管理会社に連絡する

③鍵の交換をおこなう

①警察に紛失届を提出する

鍵を紛失した場合、まずは警察に紛失届を提出します。

盗難や不法侵入などの危険性が高まるため、届け出をしておいたほうが安心です。

鍵を見つけた方が警察に届けてくれている場合もあるので、早めに動くことをおすすめします。

②貸主・管理会社に連絡する

貸主・管理会社への連絡も必須です。

オートロックのマンションでは、鍵の紛失による防犯性への影響が鍵を紛失した自分のみならず他の部屋の住民にも影響がおよびます。

③鍵の交換をする

鍵が見つからなければ、鍵の交換が必要です。

心当たりに鍵がなければ鍵交換を急ぎで行うようにしてください。

■ まとめ


賃貸住宅において鍵交換費用は借主が負うことになる場合が多数を占めています。

鍵交換費用は、通常募集図面に貸主・借主どちらの負担なのか、交換費用はいくらなのかが記載されています。

借主が鍵交換を必要としない場合には、鍵交換をしないために起こり得るリスクをすべて借主の責任で処理する旨の特約を盛り込むことにより、契約を締結することもできます。

ただし、リスクを考えた場合、数万円を支払い、鍵交換をされた方が得策と言えますので十分検討のうえ、判断していただくことをおススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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