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1.242025

賃貸借における「解約予告期間」の注意点、を考える

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 解約予告期間とは 
  • ■ なぜ?解約予告期間が必要なのか
  • ■ 解約予告の注意点
  • ■ まとめ

■ はじめに


賃貸物件において退去を行う場合、賃貸借契約書に「解約予告期間」が定められています。

「解約予告期間」は、居住用の場合、1カ月から2ヶ月前までに、事業用の場合、6カ月前までに、と定められている場合が多いはずです。

この「解約予告期間」を守らない場合、不利益を被る場合があります。

そこで、今回は、この「解約予告期間」について借主側から考えてみます。

■ 解約予告期間とは


賃貸借契約を借主の都合で解約する場合、貸主へあらかじめ退去する旨の意思を通知する期間が解約予告期間です。

一般的に居住用の賃貸借契約では、契約期間を2年と定めるのが多く、この契約期間満了時に更新を行うか、退去されるのか、を選択することになります。

賃貸借期間の満了前に退去するケースでは解約予告期間までに解約の意思を借主から貸主へ伝える必要があります。

■ なぜ?解約予告期間が必要なのか


民法では、賃貸借契約期間を定めた場合にはその賃貸借契約期間内での解約はできないからです。

賃貸借契約では、契約期間を定めたうえで契約を締結し、契約期間の満了をもって更新となります。

民法の原則では、賃貸借契約書に途中解約ができる旨定めておかない場合、賃貸借契約期間は解約できないということになります。

しかし、これでは借主の転勤や退去せざるを得ない状況の場合、借主が困ることになります。そこで、借主が賃貸借契約期間内でも解約できるように契約書に条項を設けて「解約予告期間」を設定しています。

借主の中には、「なんで1ヶ月も2ヶ月も前に解約通知しなければいけないの?」と思われる方もおいでになると思いますが、途中解約と解約予告期間は借主のために設けられた条項です。

また、「解約予告期間」が1ヶ月や2ヶ月前なのか、これは、貸主は業として賃貸経営を行っており、借主から賃料収入により経営が成り立っており、万一、解約予告期間を「退去する1週間前まで」に設定すると、次の借主が見つかるまで家賃収入が途絶えてしまい経営が困難となるからです。

※賃貸借契約書において中途解約を認める特約がない場合、賃貸借契約期間内での中途解約は認められない、旨の判例。

最高裁判所昭和48年10月12日判決は、

「賃貸借における期間の定めは、当事者において解約権留保の特約をした場合には、その留保をした当事者の利益のためになされたものということができるが、そうでない場合には、賃貸人、賃借人双方の利益のためになされたものというべきであつて、期間の定めのある賃貸借については、解約権を留保していない当事者が期間内に一方的にした解約申入は無効であつて、賃貸借はそれによつて終了することはない。」

と述べ、契約期間中の解約は、中途解約を認める条項が賃貸借契約書で規定されていない限り認められないとしています。

以上の判例は、土地の賃貸借契約について示した最高裁判例であり、建物の賃貸借契約については、地裁判決で同趣旨の結論を述べる裁判例があります。

■ 解約予告の注意点


解約予告期間を守るには、次の点に注意しましょう。

①賃貸借契約書に記載された解約予告期間を確認する。

(期間満了の場合も解約予告期間前に解約予告が必要です。)

②引越し業者に連絡を行い、手配が可能か、否か確認をしておく。

③解約予告期間前に管理会社・貸主へ連絡を行い、解約通知書へ契約する旨の記載を行う。

④解約する月の賃料は日割清算となる場合、退去月の日割賃料を計算してもらう。

⑤原状回復の範囲を管理会社・貸主へ確認をしておく。

⑥電気・水道・ガスの停止連絡を行う。

※退去する日が賃貸借契約期間を過ぎる場合、更新手続きが必要となり、更新料の負担が生じます。解約予告期間を確認することも大切ですが、賃貸借契約期間もかならず確認をしてください。

■ まとめ


解約予告期間とは、賃貸物件を途中解約する場合、定められた期日までに解約する意思を伝える期間を指します。
この居住用の場合の解約予告期間は1か月〜2か月の解約予告期間が一般的です。

賃貸借契約書にその詳細が記載されているため、必ず確認し解約予告期間を守るとともに、賃貸借契約期間を確認し、賃貸借契約期間を過ぎた解約は更新手続きが必要となりますのでご注意ください。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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