全28回連載:全30話
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【第10話】頼んでないのに勝手に私の名前で契約された! 〜無権代理(むけんだいり)の恐怖〜
こんにちは!藤沢市の不動産屋さんです。
これまでは、正しく頼まれた「本物の代理人」のお話でした。
では、あなたが「全く頼んでもいないのに、勝手にあなたの代理人だと嘘をついて契約してきた人」がいたらどうなるでしょうか?
「そんなの100%無効に決まってる!」と思いますよね。基本的にはその通りなのですが、民法(第113条など)では、勝手に契約されたあなたや、騙されて契約してしまった相手を救うために、いくつかの選択肢を用意しています。
今回は、この「無権代理(むけんだいり)」のルールをじっくり解説します!
1.「無権代理(むけんだいり)」ってなに?
代理権(頼まれた資格)が無いのに、勝手に代理人として契約することを「無権代理」と言います。
🏠【事例】親の土地を勝手に売り飛ばした息子
藤沢市内に先祖代々の土地を持っている高齢のAさんがいました。
Aさんの息子であるBは、ギャンブルの借金に困り、父親の土地を勝手に売ってお金を作ろうと考えました。
息子Bは、父親に内緒で実印や権利書を盗み出し、何も知らない不動産買い取り業者Cに対して、「父親のAから、この土地を売る代理権をもらってきました」と嘘をついて、勝手に売買契約を結んでしまいました。
2. 民法の答え:原則は「効果は発生しない(本人は無視してOK)」
頼んでいない契約の責任を負わされたら、父親Aさんはたまったものではありませんよね。
そのため民法第113条1項では、「本人が後から認めない限り、本人には一切の責任は生じない(無効)」と決めています。
ですから、Aさんは業者Cから「土地を引き渡してください」と言われても、「そんな契約は知らない。息子が勝手にやったことだ」と完全に無視して突っぱねることができます。
3. 勝手にされた契約を、自分のものにできる? 〜追認(ついにん)〜
しかし、ここで面白いルールがあります。
もし、息子Bが勝手に売ってきた金額が、相場よりもはるかに高い「超ラッキーな大金」だったとします。
父親Aさんは「えっ、そんなに高く売ってくれたなら、結果オーライだからその契約に乗っかっちゃおうかな」と思うかもしれません。
民法では、本人が後から「その契約、有効でいいよ!」と認めることを「追認(ついにん)」と言います(民法113条1項)。
本人が追認をすると、その契約は「最初から本物の代理人が正しく契約したのと同じ」になり、完全に有効になります。
4. 騙された相手(業者C)はどうなるの?
息子Bの嘘に騙されて契約してしまった業者Cさんも可哀想ですよね。民法は、騙された相手方にも次の武器(権利)を与えています。
催告権(さいこくけん): 本人(父親A)に対して、「あの契約、追認するの?しないの?ハッキリして!」と返事を迫ることができます。期間内に返事がなければ「追認を拒絶した(契約は無効)」とみなされます(民法114条)。
取消権(とりけしけん): 本人が追認する前であれば、業者Cの方から「騙されたからこの契約は無かったことにする!」とキャンセルできます。ただし、業者C自身も最初から「この息子、怪しいな(無権代理だと知っていた)」という場合は取り消せません(民法115条)。
息子への責任追及: 契約が完全に無効になった場合、業者Cは勝手に嘘をついた息子Bに対して、「代わりに契約を実行しろ!」または「騙された分の損害賠償を払え!」と牙をむくことができます(民法117条)。
⚖️ 第10話のまとめ
1.資格がないのに勝手に契約されることを「無権代理」という。
2.本人は原則として無視してOK(無効)。ただし、ラッキーな内容なら後から認める「追認」もできる。
3.騙された相手は、本人に返事を迫ったり、嘘をついた本人に損害賠償を請求できる。
実務でも、ご高齢の親御様の不動産を、お子様が「親の代わりに売りに来ました」というケースがあります。
私たちは本当に親御様の意思があるのか(無権代理ではないか)、ご自宅へ直接ご挨拶に伺うなどして徹底的に確認をしています。
次回は、無権代理なのに、なぜか本人が責任を負わされてしまう特殊なワナ、【第11話:表見代理(本物っぽく見えた罪)】について解説します。お楽しみに!
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■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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