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9.132026

藤沢の不動産屋さんが教える!コンビニの買い物から一人暮らしまで。高校生のための民法(総則編) ②

全28回連載:全30話

こんにちは!藤沢市の不動産屋さんです。

初回の連載(第1話〜第3話)では、民法の基本や「契約」が成立する仕組み、そして18歳成人のお話をしてきました。

お互いの「売りたい」「買いたい」という気持ちが合致すれば、書類がなくても契約は成立するのでしたね。

では、もしその言葉が本心ではなく、ただの「冗談(ジョーク)」や「お世辞」だったらどうなるでしょうか?

「そんなの冗談に決まっているじゃん!」と言い訳したくなりますが、民法では「口先だけで嘘や冗談を言って、相手を振り回す人が一番悪い」という厳しいルールが存在します。

今回は、そんな意思表示(気持ちの表し方)のトラブルから、「心裡留保(しんりりゅうほ)」という重要ルールを、藤沢の不動産実務の話も交えてじっくり深掘りしていきます!

まず、この漢字だらけの難しい法律用語を分解してみましょう。

心理(しんり): 心の中

留保(りゅうほ): とどめておく、隠しておく

つまり、「自分の本当の気持ち(本音)を心の中に隠したまま、それとは違うことを口に出して相手に伝えること」を言います。

高校生の皆さんの日常で言えば、まさに「冗談」「お世辞」「ハッタリ」がこれに当たります。

高校生のAくんは、片瀬海岸の湘南の海が見えるお洒落なカフェで、友達のBくんに見栄を張ってこう言いました。

「俺、親から藤沢駅近くのマンションの一室を譲り受けたんだよね。お前、いつも勉強教えてくれるから、そのマンションあげるよ!」

もちろんAくんはただの冗談(ウソ)のつもりです。しかし、Bくんは「え!まじで!?ありがとう!」と大喜びで信じてしまいました。

さて、この「マンションをあげる契約(贈与契約)」は成立するでしょうか?

「冗談なんだから無効でしょ」と思いきや、民法第93条1項にはこう書かれています。

(心裡留保)
第93条 意思表示は、表意者がその真意ではないことを知ってしたときであっても、そのためにその効力を妨げられない。

法律用語をカットして超簡単に言うと、「冗談であっても、口に出して言った以上、その約束は有効だよ」ということです。

つまり、Aくんは「冗談だよ」という言い訳が通用せず、原則としてBくんにマンションを渡さなければならなくなります。

民法には「取引の安全」という大原則があります。

もし「冗談だったからセーフ」という言い訳を簡単に認めてしまうと、世の中の契約はめちゃくちゃになってしまいます。

例えば、家を買う契約をした後で「やっぱり売るのやめたいな…あ、あれ冗談だったってことにしよう!」という悪賢い言い訳が通ったら困りますよね。

そのため民法は、「自分の言葉を信じて『ありがとう』と言ってくれた相手(Bくん)を保護するために、お調子に乗って冗談を言った本人(Aくん)に責任を取らせる」というスタンスを取っているのです。

「じゃあ、一言でも冗談を言ったら人生終わりなの!?」と怖くなるかもしれませんが、安心してください。民法はちゃんとバランスを取っています。同じ93条の後半(但書)にはこう書かれています。

ただし、相手方がその意思表示が表意者の真意ではないことを知っていたとき、又は知ることができたときは、その意思表示は無効とする。

ここで、法律の世界の超重要キーワードが2つ登場します。

悪意(あくい): その事実を「知っている」こと(※意地悪という意味ではありません)

過失(かしつ): 不注意。ちょっと注意すれば「気づけたはず」ということ

もし、Aくんがニヤニヤしながら話していたり、普段から大ボラ吹きで有名だったりして、Bくんも「こいつ、またいつもの冗談言ってるよ(悪意)」と分かっていた場合、または「普通に考えれば、高校生がマンションをタダでくれるわけないって気づくだろ(有過失)」という場合には、契約は無効(最初からなかったこと)になります。

そりゃそうですよね。冗談だと分かっていて乗っかった人を、わざわざ法律が守る必要はないからです。

不動産の実務では、この話がさらに恐ろしいドラマに発展することがあります。

もし、Bくんが「Aからマンションをもらえることになった!」と完全に勘違い(善意・無過失)したまま、そのマンションを何も知らないCさんに「3,000万円で売るよ」と契約してしまったらどうなるでしょうか?

この場合、本物の持ち主であるAくんの親やAくんは、Cさんに「あれは高校生の冗談だったから、マンションを返して!」と言うことはできません。

民法では、「何も知らずに登場したクリーンな第三者(善意の第三者)」には、冗談を言っていた本人は絶対に勝てないというルールがあるからです(民法93条2項)。

不動産の取引では、何千万円、何億円という大金が動きます。だからこそ、私たち不動産業者は、お客様が「本当に売る気があるのか」「ただのお世辞やノリで言っていないか」を、書面や面談を通じて徹底的に確認します。

「言った・言わない」のトラブルを防ぐために契約書を作るのも、この民法のルールがあるからなんですね。

1.心裡留保(冗談)は、口に出した以上は原則として有効!言った通りに責任を持たされる!

2.相手が「冗談だな」と知っていた(悪意)か、気づけたはず(過失)なら無効になる。

3.でも、冗談を信じた人が何も知らない第三者(善意の第三者)に売っちゃったら、もう取り戻せない!

高校生の皆さんも、辻堂や藤沢の街で友達と約束をするときは、たとえノリであっても慎重に言葉を選んでくださいね!

次回は、自分一人で冗談を言うのではなく、「相手とグルになってウソの契約をする」という、さらにスリリングなテーマ【第5話:虚偽表示(きょぎひょうじ)】について詳しく解説します。お楽しみに!

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■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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