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4.222024

コラム

相続対策の注意点(養子縁組)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 注意点1 相続分が減ってトラブルになる
  • ■ 注意点2 控除額や非課税枠には人数制限がある
  •  ー制限される場合と、その人数
  •  ー相続税が2割加算になる
  •  ー2割加算になる人
  •  ー2割加算にならない人
  •  ー代襲相続の孫は加算されない
  • ■ 注意点3 養子が未成年者の場合、養親が亡くなると親権者がいなくなる
  •  ー実親の親権回復
  • ■ まとめ

■ はじめに


相続税対策と言えば、

年間110万円の暦年贈与をする、贈与税のかからない特例で贈与する、相続税がかからない生命保険を契約する、アパート建築などの不動産を活用する、親子で同居する、墓地や仏具などを生前に買って相続財産を減らす、配偶者に居住用不動産を贈与する、相続時精算課税制度で贈与する、養子縁組をすると生前にしておくべき相続税対策が考えられます。

これらの相続対策で常に対象となるのが「養子縁組」です。

養子縁組を行うメリットとしては、相続税の基礎控除額が増えて節税になるという点です。

相続税は、計算するときに、相続税がかからない遺産額として基礎控除という非課税枠があり、この基礎控除額は「3000万円+600万円×法定相続人の数」という計算式となります。

養子縁組をすることにより法定相続人の数が増加し、相続財産から引かれる基礎控除額も大きくなり、相続税の節税に有効とされています。

その他、メリットとしては、生命保険金の非課税控除額や死亡退職金の非課税控除額を増やせることも挙げられます。

【生命保険】

被相続人の死亡によって取得した死亡保険金については、一定の計算式の非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。

500万円 × 法定相続人の数 = 死亡保険金の非課税限度額

この場合も養子がいる場合、法定相続人の数が増加して、非課税限度額が増加します。

【死亡退職金】

被相続人の死亡によって被相続人に支給されるべきであった退職手当金については、一定のの計算式の非課税限度額を超えるとき、その超える部分が相続税の課税対象になります。

500万円 × 法定相続人の数 = 死亡退職基金の非課税限度額

養子がいる場合、法定相続人の数が増加して、非課税限度額が増加します。

このように養子縁組を行うと、相続税の節税となります。しかし、注意しなければならないこともあります。

今回は、「養子縁組」が抱える注意点を考えてみます。

注意点1 相続分が減ってトラブルになる


相続税の養子縁組孫を養子にすると相続人の人数が増えるので、相続人1人あたりが相続する財産が減ってしまいます
養子縁組と言うと、長男の子供を養子にする孫養子のケースが多く、二男や長女などから反感を持たれることも実際にあります。

なぜ養子縁組をするのか、と考えた場合、相続税の節税のほか孫に相続することにより一代飛ばして相続させることが大きなメリットです。

しかし、他の相続人や子供がいない相続人から不満があるとトラブルになる恐れがあるので注意が必要です。

対応としては公正証書遺言を作成し、万一遺言が作成されていなければ孫養子の相続分をその親の相続分から分けるなどの対応が考えられますが、相続が開始する前に事前に養子縁組のことは伝えておくことが最善ではないでしょうか。

注意点2 控除額や非課税枠には人数制限がある


すでに説明しましたが、相続財産から引かれる基礎控除額・生命保険・死亡退職金は養子を迎えることにより法定相続人が増え非課税限度額を増やすことができます。

ただし、税務上養子の数には制限があります。

●制限される場合と、その人数です。

(1)被相続人に実子がいる場合
法定相続人に含める養子の数は、1人までです。

(2)被相続人に実子がいない場合
法定相続人に含める養子の数は、2人までです。

亡くなられた方に2人の実子と2人の養子がいた場合、民法にもとづく法律上の子の数は5人となります。しかし、2人の養子のうち1人は法定相続人に含まれません。

※税法上、養子の数には制限が設けられていますが、民法上陽子の数には制限はなく、相続財産も分けることができます。

制限なく実子として取り扱われる養子縁組の例外として、次の4つがあります。

  • 被相続人との特別養子縁組により被相続人の養子となっている人
  • 被相続人の配偶者の実の子どもで被相続人の養子となっている人
  • 被相続人と配偶者の結婚前に特別養子縁組によりその配偶者の養子となっていた人
  • 相続人と配偶者の結婚後に被相続人の養子となった人

●相続税が2割加算になる

相続というのは、親から子へ承継され、子から孫へと承継されるものを原則としているため、親から孫への承継や第三者への承継については、相続税が2割加算されるというルールがあります。

養子縁組をすると、民法上では実子と同じ一親等の血族(法定血族)となりますが、相続税では、孫を養子とした場合、亡くなった方の子の相続税を1回免れることになるため、2割加算の対象となります。

養子縁組をすると法的には亡くなった人の配偶者や実子と同じ「一親等の血族」になりますが、いわゆる孫養子のケースで、子が生前の際は、税法では孫養子に対して相続税への2割加算が適用されるので注意が必要です。

●2割加算になる人

次の、一親等の血族及び配偶者以外の人です。

祖父母(二親等) 兄弟姉妹(二親等) 孫(二親等) おい、めい(三親等) 内縁関係の配偶者 血族関係以外) 友人知人などの第三者(血族関係以外)

●2割加算にならない人

次の、一親等の血族及び配偶者です。

配偶者 子供 父母 養子縁組をした人

●代襲相続の孫は加算されない

代襲相続する孫の場合は2割加算されません。

代襲相続する孫とは、亡くなった方の子が先に死亡していたときに、その子にかわって「子の子である孫」が相続する場合をいいます。

この場合、孫として相続しているのではなく、子に代わって相続し、相続税を納めることになるため2割加算されません。

注意点3 養子が未成年者の場合、養親が亡くなると親権者がいなくなる


養親である養父も養母も死亡した場合、自動的に実親に親権が戻るわけではありません。この時点で子どもの親権者がいないということになります。

亡くなった養親の相続手続きも未成年者である養子ではできません。

そのため、養親が亡くなった場合は、原則として未成年後見人の選任申立てが必要となります。


未成年後見人とは、未成年者の監護養育や財産管理、契約などの法律行為などを行う法定代理人のことであり、家庭裁判所に選んでもらうことが原則です。
※親権者が生前に遺言書を作成することで、未成年後見人を指定することもできます。

親権者の作成した遺言書で指定された場合や裁判所によって適任であると判断されれば、実親が未成年後見人となることは可能です。

●実親の親権回復

裁判所の許可を得て養親と死後離縁すれば実親の親権が回復します。

この場合、家庭裁判所の許可を得て養子と養親が死後離縁をすることで、実親の親権を回復させることが可能です。なお、死後離縁をしても相続権には影響がなく、子どもは養親の相続人として取り扱われます。

■ まとめ


孫との養子縁組により、相続発生時に孫が相続人になり財産を遺せることは代飛ばしで非常にメリットがあります。
ただし、孫養子は相続税が2割加算されることや子供がいない相続人が孫養子に不満を持ちトラブルに発展する可能性もあり注意が必要です。

孫を養子にするのはメリットとデメリットがあるので、相続税負担がどう変わるかなどをシミュレーションし、慎重に行わなければなりません。
養子縁組により結果的に節税効果があるケースがあることから、意図的に養子縁組をする場合もあると思います。ただし、明らかに相続税対策の名目で養子縁組をしてしまうと、否認のリスクもあります。養子縁組の趣旨やメリットデメリットをしっかりと理解したうえで検討することが大切です。

孫に財産を遺したい場合には今回ご紹介した注意点を避けるために、孫との養子せずに遺言書の作成や生前贈与などを行えば、孫に財産を遺すことができます。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

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