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8.262024

相続の疑問(揉める家族の特徴)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 家庭裁判所に持ち込まれる事案件数
  • ■ どのような場合に揉めるのか
  • ■ 揉めない家族にする方法
  • ■ まとめ

■ はじめに


相続において相続人同士で相続財産をどのように分ける(遺産分割協議)のか、決める必要があります。

この遺産分割協議において相続財産の分割方法相続割合などをめぐって相続人同士で争いが生じることがあります。

この遺産分割での争いは、遺産の多寡にかかわらず、すべての家族に生じる可能性があります。

そこで、今回は相続で揉める家族の特徴について、実例を踏まえて考えてみます。

■ 家庭裁判所に持ち込まれる事案件数


「財産が多いほど相続は大変」と思われるのは勘違い。相続での争いは相続財産での多寡にかかわらず揉める要因があれば揉めてしまいます。

「揉める」と言うことに敏感になり過ぎてもいけませんが、資料として毎年12月に裁判所から司法統計年報が発表されています。

その中の家事編に1年間にどれだけの「遺産分割事件」が持ち込まれているのかがわかります。

令和5年分は今年の12月に発表されますので、令和4年分の司法統計年報より抜粋しますと、

令和4年に全国の裁判所の遺産分割事件として扱われた件数は、12,981件(のうち東京高裁管内の件数:5,168件)。

国税庁が毎年12月に発表している相続税の申告事績によると令和4年の死亡者数は、1,569,050人で、0.82%の家族が遺産分割がまとまらずに家庭裁判所の力を借りていることになります。

※「0.82%」という数字は高齢者が亡くなっている数字だけではありません。

また、家庭裁判所にて成立した認容・調停件数は、6,857件。

その6,857件の遺産の価格(相続財産額)の割合は、相続財産額が1,000万円以下の件数が2,296件、相続財産額が5,000万円以下の件数が2,935件であり、5000万円以下の合計は、5,231件となります。

この件数は全体の76.2%の割合であり、「財産が多いほど相続は大変」と言うことではない、と言うことがご理解いただけたはずです。

※以上は、裁判所による統計です。実上として相続において揉めている場合でもすべてが裁判所を介して問題解決しているわけではありません。

令和4年司法統計年報 012659.pdf (courts.go.jp)

令和4年分相続税の申告事績の概要 sozoku_shinkoku.pdf (nta.go.jp)

■ どのような場合に揉めるのか


相続でもめる原因は相続分の金額の多さばかりではないということはご理解いただけたはずです。

相続が発生すると、それだけで敏感となる方は少なくありません。

だれがどれくらい相続するかということに敏感になるという側面もあります。

また、相続財産となる自宅をめぐって、売却して現金で分けようとする相続人と、生まれ育った自宅だから数年はそのままにしようとする相続人。または今まで住んでいたのでそのまま自宅はもらいたいと希望する相続人と、考えが異なり、自分の考えを主張する相続人が対立するといったケースです。

相続人の立場の違いにより問題が生じる場合もあります。

故人の生前に介護につくした相続人と介護にかかわらなかった相続人、自宅購入資金を支援してもらった相続人と支援を受けていない相続人など問題が生じる場合があります。

相続の依頼による経験から、相続において揉めてしまう家族の要因は、大きく分けると次の4種類あると考えています。

1.相続人が多数であり、まとまらない場合や相続人間、特に兄弟姉妹の関係が悪いなどの理由による「人間関係」。

2.資金援助を受けていた者といない者、大学まで通わせてもらった者ともらっていない者、親の介護をした者としていない者、先妻との間の子などの理由による「立場の違い」。

3.相続財産が自宅の土地・建物やアパートなどの収益物件が一つだけなど「分割しにくい財産がある場合」です。

では、相続でもめる家族の特徴について見て行きます。

1.人間関係

相続人が多数いる場合

法定相続人が多い場合、異なる考え方や対立する意見が増えるため、遺産分割協議がまとまらない場合があります。

また、相続人である子がすでに亡くなっている場合、その子の子である孫が代襲相続人となります。孫は生存している親の意見を聞きながら遺産分割協議に参加するため、相続人である子と意見が対立する場合もあります。

相続人同士の関係が悪い

被相続人の配偶者は無条件で相続人になりますが、子がいる場合は子も相続人になります。

子供数人がいれば独立してから疎遠になってしまうことや、何らかのきっかけで仲たがいしているようなケースもあるでしょう。

相続人同士が疎遠であったり仲が悪かったりすると、遺産分割協議でもめやすくなります。

遺産分割協議は相続人全員が参加しなければなりませんが、疎遠な人とは連絡がつかない場合、遺産分割協議を始められません。

また、遺言書がない場合は法定相続で兄弟姉妹館では相続が均等になることが定められていますが、仲が悪ければ互いに相続への割合について主張などを行ない、揉めることになります。

遺言の内容が不公平である

遺言書の内容が不公平な場合、相続で問題となる場合があります。

特定の相続人のみ相続財産の大変を残すなど他の相続人の遺留分を侵害した場合には遺留分侵害額請求が行われる可能性があります。

また、相続人から「遺言書は無効」と主張する遺言無効確認調停や訴訟に発展する場合もあります。

2.立場の違い

特定の相続人が親の介護負担がある

特定の相続人に親の介護負担を任せていた場合、相続でもめやすい傾向にあります。

被相続人の生前に献身的に介護を行った相続人には「寄与分」が認められています。

寄与分が認められると、本来の法定相続分よりも多く、相続財産を相続することができます。

ただし、相続人によって介護が行われていた場合でも他の相続人がその介護による寄与分を認めない場合や寄与分を認める場合でもいくらの相続財産を加算すべきかで意見が対立する場合があります。

相続人の配偶者の親の介護負担がある

相続人の配偶者の親の介護負担がある場合にも相続で揉める場合があります。

相続人の親の介護負担があまりにも大きい場合、施設等に入所させたいと考える場合は当然あります。

そのようなとき、相続が発生した場合に相続する財産分を法定持分のとおり、またはそれ以上に相続したい、と考え、意見が対立する場合があります。

特定の相続人へ生前贈与がある

生前に特定の相続人へ高額な生前贈与が行われていた場合、問題となる場合があります。

相続人が複数いる場合、特定の相続人が生前贈与や遺贈などを受け取ることは、被相続人から特別に受け取る利益である「特別受益」に該当し、相続する財産を減らされる場合があります。

また、具体的にいくらを相続する財産分から差し引くかについて意見が対立する場合があります。

④認知症や所在不明な相続人がいる

相続人のうち一人でも認知症の相続人や連絡が取れない相続人や行方不明の相続人がいる場合、問題となります。

遺産分割協議には相続人全員の同意が必要のため、認知症の相続人や連絡の取れない相続人や行方不明の相続人がいるケースでは、遺産分割協議を行うことはできません。

遺産分割協議を行うため、家庭裁判所に対し、認知症の相続人は成年後見人の選任、行方不明の相続人は不在者財産管理人の選任の申し立てなどを行う必要があります。

この手続きにおいて弁護士などが成年後見人・不在者財産管理人として選任され、法定相続分は必らず取得させなければなりません。このため、財産の取得について意見が対立する場合があります。

※未成年者がいる場合にもご注意が必要となります。

相続人以外の子どもがいる

被相続人に家族以外の子どもがいる場合、相続分をめぐり問題となります。

家族以外の子の例としては、婚外子(婚姻外で生まれた子)や前妻との間で生まれた子どもが考えられます。
婚外子と前妻との間で生まれた子どもは、法定相続人に該当するため、第一順位で遺産相続できる立場です。

婚外子や前妻との間で生まれた子は、遺産の配分をめぐり現在の家族と対立関係になりやすいため、財産の取得について意見が対立する場合があります。

被相続人に内縁の配偶者がいる

被相続人に婚姻届を提出していない内縁の配偶者がいる場合、問題となります。

内縁の配偶者には相続権が認められていませんが、内縁の配偶者が自宅に居住している場合の退去要求、内縁の配偶者の今後の生活資金の工面などや内縁の配偶者から特別縁故者として遺産の分与を求められる場合などには意見が対立する場合があります。

3.分割しにくい財産がある

相続財産が自宅の土地・建物である

相続人が複数人いるものの遺産が自宅しかないような場合、誰が自宅を相続するかという点でもめやすくなります。

被相続人の配偶者がいる場合は配偶者が相続することで丸く収まりますが、兄弟姉妹で相続することになれば分割方法でもめる可能性があります。

この場合、特定の相続人が自宅を相続する代わりに代償金を支払うか、自宅を売却して売却金を分配する方法で解決することになるでしょう。

相続財産に自宅以外の不動産がある

複数の不動産が相続に含まれる場合、誰がどの不動産を取得するのか、代償分割するのか換価分割するのか、意見が合わない。又は不動産の評価方法で合意ができず意見が対立する場合があります。

不動産は立地や広さ、利用状況により資産価値が異なるため、取得する不動産によって相続人間で不公平が生まれる可能性があり、意見が対立する要因となります。

被相続人が事業をしていた

被相続人が経営者だった場合、事業に関する相続で問題となる場合があります。

財産が複雑でわかりにくいという点や相続人の誰が後継者になるのか。また、後継者になる相続人とそれ以外の相続人とで意見が合わない場合など遺産分割が紛糾し、後継者が必要な株式や資産を承継できず事業が停止してしまう場合があるため、相続人同士だけでは意見が対立する要因となります。

特定の相続人が財産管理をしている

アパートなど収益物件を複数所有し、特定の相続人が財産管理をしている場合、相続で問題となる場合があります。

被相続人の財産を管理していた相続人以外は財産の収支など詳細を理解しておらず、財産内容の開示をする必要があります。その場合、多額の金額の引落や不明金などがあった場合、疑念などが生じてしまう場合があるため、意見が対立する要因となります。

揉めない家族にする方法


相続でもめる家族の特徴についてお伝えしました。

相続で揉めるない家族にするには相続を向かえるまでの対策により解決が可能です。

揉めない家族にするには、次のような方法が挙げられます。

①遺言書を作成する

遺言書の作成は、相続で揉めない家族にするためには最善の方法と言えます。
遺言書の作成により、相続が発生した場合にはその内容に従って相続手続きが行われることになります。

公正証書で遺言書を作成することにより、破棄や改ざんされることを防止し、相続トラブルを回避することができます。

※遺言の内容により相続人同士で揉める要因となりますので注意が必要です。

②家族信託を利用する

家族信託で家族に財産の管理・処分を任せることにより、遺言作成と同様の効果を得ることができます。

家族信託とは、信頼できる家族に不動産や預貯金などの資産を託し、管理や処分を任せる財産管理方法です。

家族信託は遺言と異なり、二次相続に対しても財産の流れを自分の意思で決めることができます。

家族信託を活用し、二次相続時の遺産配分まで決めることが可能であるため相続トラブルを回避することが可能です。

③家族で話し合う機会を持つ

生前から家族同士で相続が発生した後の分割方法などを口頭でも相続人に伝え、意見を聞くことは大切です。この話し合う機会を持つことにより、被相続人の考えが伝わり、相続人の考えもわかりますので揉める要因は限りなく少なくなるはずです。

話し合って遺言書を作る

相続人の考えが反映された遺言書は、相続人同士の争いから回避する手段となります。

遺言の内容により、遺言書があっても揉める要因がある場合があります。

要因の中でも遺留分を侵害している遺言内容には特に注意が必要です。

遺留分に反する遺言書の作成は遺留分の主張を招き、訴訟に発展する恐れがありますので公平性やバランスが大切です。

相続人の意向を反映して内容の公平さに気をつける限り、遺言書の存在は遺産相続トラブルを避ける一番の手段となります。

■ まとめ


相続で揉める家族にいくつかの要因があります。

高額な財産がなくとも、争いに発展します。

揉めない家族にするには「決して他人事ではない」という自覚を持っていただくことです。

そして、生前から対策をしておく必要があります。

揉めない家族にするには、専門家の知識を借りながら行うことが大切です。かならず相談のうえ行ってください。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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