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9.92024

相続の疑問(死後離縁とは)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 死後離縁とは
  • ■ 死後離縁後の効果
  • ■ 姻族関係終了との違い
  • ■ 「死後離縁」の手続き
  • ■ 申請するうえでの注意事項
  • ■ まとめ

■ はじめに


相続において、養親の一時相続(養親・両親のいずれか一方が亡くなったときに発生する相続)後、配偶者と離婚をされ、養親が亡くなった後に離縁する「死後離縁」と併せて配偶者が亡くなったあと、配偶者の姻族関係を解消する「死後離婚」がここ数年で増加傾向にあります。

今回は、「死後離縁」とはどのようなものなのか、実務経験を踏まえ、注意点などをお伝えさせていただきます。

■ 死後離縁とは


死後離縁とは、普通養子縁組の当事者の一方が死亡した後に、生存当事者が家庭裁判所の許可を得て、養子縁組を解消することをいいます。

当事者の一方が亡くなっても、当然のようには養子縁組は終了しません。

死後離縁の手続きによって死後離縁をすると、養子と養親の間の親子関係は法的に消滅することになります。

離縁の方法として「協議離縁」「裁判離縁」の2種類があり、当事者の一方が死亡した後に、生存当事者だけでは「協議」することが出来ないため、生存当事者が離縁を求める場合には家庭裁判所への許可が必要となります。

■ 死後離縁後の効果


死後離縁をすると、次のような効果が生じることになります。

1 養子縁組を結んだ場合、養子は、養親および養親の血族との間に、血族間と同様の親族関係が生じることになります。

そのため養子は養子縁組によって、養親の親とは祖父母・孫の関係に、養親の実子と兄弟姉妹の親族関係となり、扶養する義務を負うことになります。この親族関係は養親が死亡後において継続します。

この親族関係も負担となることから、親族関係を解消する「死後離縁」が増加して理由のひとつと言えます。

2 当事者の一方が死亡した時点では養子縁組は有効に成立しており、これが死後離縁をしたとしても、死亡した時点に遡って消滅することにはなく、死後離縁の許可を得た後も遺産を相続することはできます。

3 死後離縁により、養親の血族との親族関係が消滅するため、相続関係もなくなります。そのため、親族関係が生じる血族の相続および養子の互いの相続においても承継されることはありません。

4 離縁をすると養子の姓は原則として縁組前の姓に復氏することになります。例外として、養子縁組から離縁まで7年が経過し、かつ、離縁の日から3ヶ月以内に役所に届出をすれば、離縁後も養親の姓を名乗ることができることになります。

■ 姻族関係終了との違い


配偶者が死亡し、死亡した配偶者の配偶者の姻族関係を解消する「死後離婚」という手続きがあります。
この「死後離婚」は、「姻族関係終了届」を役所に提出し、死亡した配偶者の親族との関係を法的に終了する手続きとなります。

死亡した配偶者と離婚することはできません。
死亡した当事者の親族との関係を終了するという点で「死後離縁」と似てはいますが、

「姻族関係終了届」は役所に戸籍の届を提出するのみで家庭裁判所の許可は不要であるのに対し、「死後離縁」は家庭裁判所の許可を得て、その書類を添えて役所に届出を提出する必要があります。

なぜ、「死後離縁」は家庭裁判所の許可を得なければならないのか、という理由は、

「姻族関係終了届」は死亡した配偶者との親族との間に相続権や祭祀の承継などは関連しないのに対して、「死後離縁」は、相続権や祭祀の承継が生じることに加え、扶養の義務もあることなどから法的義務が大きいことがあげられます。

では、法的義務が大きい「死後離縁」について、家庭裁判所がどのようなことを踏まえて許可をするのでしょうか。

■ 「死後離縁」の手続き


その前に「死後離縁」の手続きを大まかにお伝えします。

死後離縁の手続きとして次の3段階の手続きとなります。

①家庭裁判所への死後離縁許可の申立てを行う

②確定証明書の申請

③役所への離縁届出

①家庭裁判所への申立

家庭裁判所へ死後離縁許可の申立てを行う必要です
亡養子との離縁の場合は養親、亡養親との離縁の場合は養子が申出人になります。
申立をする家庭裁判所は、申出人の住所地の家庭裁判所となります。

申立書類としては、標準的な申立添付書類、養親の戸籍謄本(全部事項証明書)、養子の戸籍謄本(全部事項証明書)。また、審理のために必要な場合は,追加書類の提出を依頼される場合があります。

その他収入印紙800円分(子1人につき)、連絡用の郵便切手(申立を行う家庭裁判所へ確認)をご用意いただきます。

②確定証明書の申請

家庭裁判所への申出をした約1ヶ月経過後に申立人に対し結果報告として審判書の謄本が届きます。

※混在している場合、1カ月では届きません。過去にご依頼をいただいたケースでは3カ月要した場合もありました。

「離縁を許可する」旨の審判された場合、審判の日から2週間は他の関係者が異議を申立てることができるため、審判書が届いても、審判が確定した、と言うことではありません。
審判の日から2週間経過後に再度、家庭裁判所に対し、「確定証明書」という書類を請求することになります。

※審判書と併せて確定証明交付依頼書が同封されてきます。その用紙にて申請することになります。

③役所への届出

「確定証明書」取得後、養子離縁届出と併せて生存している養親との養子離縁届出を提出することになります。

■ 申請するうえでの注意事項


法的義務が大きい「死後離縁」について、家庭裁判所がどのようなことを踏まえて許可をするのか。死後離縁の問題となる点として養子が亡養親の親族ではなくなるため、親族側からすれば相続権や祭祀の承継が生じることに加え、扶養の義務について影響が出る点にあります。

今までの裁判例や経験からして家庭裁判例は、恣意的な離縁でないか、申し立てが真意に基づくものかを調査するのではないか、という点です。

相当性の判断の際に、以下のような事情が考慮されることが多いようです。

①養子縁組の目的や経緯

②養子と養親の間の関係や事情

③養子と実親の間の関係や事情

④養子の年齢や意思

⑤養子の経済的な状況や将来の見通し

⑥亡養親の遺言や遺族の意向

⓻死後離縁の動機

家庭裁判所の許可が必要なのは、養親子間や養親族間の道義に反するような恣意的な離縁を防ぐためと言われており、養親の死亡後に養子が多額の相続をしながら、養親の親族に対する扶養義務を免れることのみを意図した離縁のように、親族の扶養義務を免れる目的での離縁が該当しやすいため、許可の前提として、申立の動機も問われるようです。たとえば、扶養義務を避けるためとか、法事が嫌だとかの理由だと否定されてしまうことがあるようです。

死後離縁は、不当な目的でない、と言うことが判断基準となるようです。また、確実に許可されるチェックリストがないため、ケースバイケースで判断されることが多いと言われています。

※家庭裁判所が判断材料が足りないと感じた場合には、「照会書」が送られ、質問に回答する「回答書」の提出が必要となる場合があります。

■ まとめ


離縁とは手続きをとればすべて離縁ができるわけではなく、家庭裁判所の許可が必要です。

養親の死亡により、養親に負債があった場合、死後離縁により負債の相続をしなくて済むということはありません。この場合には「相続放棄」などの手続きとなります。

このように相続に関する事案は法的な解釈がずれてしまうと大変なことになります。

死後離縁を検討される方を含め相続に関する不明な点などは専門家に相談することをオススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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