目次
- ■ はじめに
- ■ 住宅・土地統計調査とは
- ■ 賃貸用の空き家が約半数を占める結果
- ■ 空室率上昇の背景
- ■ 空室リスク
- ■ 空室の発生原因
- ー人口減少
- ー賃貸物件の供給過多
- ー空室対策を行えていない
- ■ まとめ
■ はじめに
総務省が4月30日に5年に1度行っている住宅・土地統計調査の速報集計結果を発表した。最新調査結果から全国の空き家数は900万件、空き家率は13.8%とどちらも過去最高の数値に。前回調査の2018年分と比較すると空き家数は51万戸件増加し、空き家率は13.6%から0.2ポイント上昇した。
住宅・土地統計調査は、賃貸経営をされている方にとって、空室率等参考とする指標が多く、今回は、住宅・土地統計調査の速報集計より公表された空室率を踏まえ、空室について簡単にまとめてみました。
■ 住宅・土地統計調査とは
住宅・土地統計調査は、我が国における住宅及び住宅以外で人が居住する建物に関する実態並びにこれらに居住している世帯に関する実態を調査し、その現状と推移を全国及び地域別に明らかにすることにより、住生活関連諸施策の資料を得ることを目的としています。
簡単なポイントは、
●空き家対策の重要性が年々高まっていることを踏まえ、引き続き、空き家の所有状況等を把握すること。
●超高齢社会を迎えている我が国における高齢者の住まい方をより的確に把握するため、「サービス付き高齢者向け住宅」や老人ホーム等の「高齢者居住施設」の居住実態を新たに把握すること。
です。
この調査は、昭和23年以来5年ごとに実施しており、令和5年住宅・土地統計調査はその16回目に当たります。
※結果の概要につきましては、9月頃公表されます。
令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 (stat.go.jp)
■ 賃貸用の空き家が約半数を占める結果
空き家の総数がついに900万戸(937.6万戸)を超え、前回調査平成30年(2018年)の879.1万戸より6.6%(58.5万戸)増加しました。
空き家の増加に伴い、その背景には、住宅の総数の増加も関係しています。
住宅の総数も調査ごとに増加しており、今回の調査は過去最多の総数となっています。
令和5年(2023年)10月1日現在における我が国の住宅の総数は6502.1万戸と平成30年(2018年)の6240.7万戸と比べ、4.2%(261万戸)増加しています。
住宅の総数と同時に空き家の総数も増加し、前回調査と比較して58.5万戸増えているが、住宅の総数はその4.4倍のペースで新たな住まいが提供されていることになります。
また、空き家の937.6万戸のうち、賃貸用の空き家は443.3万戸。割合は、49.3%となっています。
この空き家における賃貸用の空き家の割合は、過去半数以上割合を占めていましたが、住宅の総数の伸びが大きく過半数を若干切る形となりました。
■ 空室率上昇の背景
空室率が増加している背景には以下の2つの事項が外的要因と言われています。
●少子高齢化問題
●賃貸住宅の供給過多
前回の調査結果となりますが、東京でさえ住宅の総数767万戸のうち空き家数は81万戸にのぼり、空き家率は10.6%でした。
首都圏では空き家率が横ばいに推移しているため空き家が増えていないように見えますが、実際は供給量が多いだけです。
首都圏においても空き家の総数は増えているため今後さらに厳しい状態になると考えられます。
■ 空室リスク
空室リスクとは入居者が退去した後、新たな入居者が決まらず、家賃収入を得られなくなる可能性のことです。
不動産経営を行ううえで「空室リスク」はついて回るものです。
不動産経営では、家賃収入の一部をローン返済に充てることが多く、損益分岐点を切ると、手持ち資金をローン返済に充てなければならなくなります。
このため、安定した賃貸経営の実現に向け空室リスクには対策が必要です。
■ 空室の発生原因
空室の発生原因を理解することで、空室リスクをおさえる対策ができます。
空室の発生する主な原因は、以下の3点と言われています。
●人口減少
●賃貸物件の供給過多
●空室対策を行えていない
人口減少
対象物件があるエリアの人口が減少すると空室率は高まります。
過去から現在。そして将来の人口予測を行う必要が生じます。
将来、人口が減少した地域では賃貸需要が低く、空室リスクが高まる傾向となります。
賃貸物件の供給過多
賃貸物件の供給過多の地域では競合物件が増えるため空室リスクが高まります。
競合物件が増えた場合、その競合物件と差別化を図り、入居者にあればれなければなりません。
差別化する方法は競合物件と比較して対策をしなければなりません。
空室対策を行えていない
空室対策は不動産経営を成功させるために大切なマネジメントであるため、おろそかにすると入居者も見つからなくなってしまいます。万が一、空室対策に手が回らない場合は賃貸管理会社などのプロに頼ることをおすすめします。空室の放置は空室リスクの最大の原因であるため放置せずに適切な対策を心掛けましょう。
■ まとめ
不動産経営において、空室の発生は常について回るものです。
空室が発生すると家賃収入が減り、ローン返済との損益分岐点を下回る恐れもあります。
しかし、適切な空室対策を行えば軽減できることは言うまでもありません。
適切な対策をするために、空室の原因を特定し、その原因に対し、コスト面を考えながら対応することが必要です。
空室リスクを軽減するためにも不動産管理会社と協力して空室リスクの少ない物件を造っていくことをおススメします。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠
私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。
●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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