お問い合わせ・お見積りはこちらから

0466-82-5511

NEWS

8.92024

不動産売買の注意点(境界越境のリスク)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 越境とは何か
  • ■ どのような越境があるのか
  • ■ 越境がある場合のリスク
  • ■ 売買におけるリスク
  • ■ リスクの回避策
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産売買において売買対象地から隣接地へ越境していたり、反対に隣接地より売買対象地へ越境していたりする場合があります。

この越境がある状態で不動産の売買を行うと当事者間、または隣接地所有者との間にてトラブルに発展してしまう可能性があります。

そこで今回は、越境がある場合の対処法などを含めた「越境」についての注意点を越境している側からを中心にご紹介いたします。

■ 越境とは何か


越境とは家屋の一部や樹木の枝葉、ブロック塀、給排水管やガス管などの所有物が隣接地に侵入していることをいいます。

越境物は目視で判別できるものもあれば、土地の測量において境界杭を確認したときや土地の掘削などを行ったときに初めて気がつく、と言うこともあります。

■ どのような越境があるのか


越境として起こりやすい事例としては立木の枝の越境があります。

境界線付近に立木を植える方と言うのは多く、植えたときには境界線まで余裕があったが、年月が経つにつれ、気付かないうちに境界線を越えてしまっている、というような場合です。

その他には以下のよう場合があります。

● 建物の屋根・庇・雨どい

● 外構・フェンス・・・・外構自体越境していなくとも、その後化粧用に吹付を行って越境している場合もあります。

● 上水・下水道の配管

越境がある場合のリスク


例えば、売買対象地から隣接地へ建物の設備の一部が隣地に越境している場合、その越境により隣接地の土地所有権を侵害していることになります。

隣接地所有者から土地所有権が侵害されていることを理由として、越境物の撤去を求められる場合あります。この場合、越境について故意または過失は問題となりません。

また、この越境が故意または過失によって生じている場合には、隣接地所有者から、土地所有権の侵害によって被った損害について損害賠償を求められるリスクがあります。

越境の種類によって違いいますが、越境により、不動産の「瑕疵」に該当する場合があります。
瑕疵とは傷や欠点のことであり、瑕疵のある不動産は評価額を下げることにもなります。万一、金融機関により「瑕疵」と判断された場合、住宅ローンの審査に問題が発生する場合もあります。
また、建築基準法には「一敷地一建物の原則」があり、同一敷地には1つの建物しか建築できないと定められています。


越境しているものが隣接地からの建築物の場合、同一敷地に2つの建物が存在しているとして扱われる可能性があり、買主が建築物の新築や建替えを申請した場合、許可がおりない場合もあります。
もし認められた場合においても、越境部分を敷地面積から覗かなければならず買主の希望どおりの家を建てられない場合もあります。


売買におけるリスク


リスクのある越境が存在している対象不動産を隣地所有者との間で何ら対策をせず、売買した場合、対象不動産の所有権移転後においても、その越境の問題が現実化し、買主が隣接地所有者から越境の撤去等を求められるなど紛争が生じる場合があります。

その場合、買主は売主に対して、売主から越境について説明義務違反などの損害賠償請求をや契約不適合責任の追及をする可能性があります。

※ 契約不適合責任

■ リスクの回避策


越境における解決は手間や時間を要し簡単なことではありません。

対象不動産の売買契約を締結する前に越境を解消してから売買契約を締結することが最も適切といえます。

しかしながら、越境の内容や売主や買主が希望する売買の時期などのタイミング等によって売買契約の締結前に越境を解消することが難しいことがあります。

この場合、やむを得ず、越境が解消されない状態のまま売買契約を締結せざるを得ません。
このように越境が解消されない状態のまま売買契約を締結する場合には次の方法をとる必要があります。

● 隣接地所有者との関係では、越境の処理等に関して合意しておき、書面にて残す方法。

● 売買契約の締結前に、買主に対して、越境物に関する事実を正確かつ明確に説明し、もし過去に隣地所有者との間で越境物に関する交渉や紛争の経緯等があれば、それについても説明を行うこと。

※隣接地との間にて越境があり、その越境を直ぐに取り除くことができない場合、将来撤去の合意書を当事者間で交わします。ただし、合意書を締結したことで越境問題を解決したことにはなりませんので注意してください。ただし、この将来撤去の合意書を当事者間で交わすことは隣接地との間での認識のずれによるトラブルを防ぐことが可能です。

まとめ


このように、隣地への越境物がある不動産を売却するに当たっては、隣地所有者との関係や買主との関係で注意しなければならない問題が多く発生します。万一、越境が存在している不動産を売却する場合、専門家にご相談されることをオススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

#不動産 #売買 #不動産売買 #手付金 #内金 #残代金 #現金 #預金小切手 #振込 #不動産売買の注意点 #瑕疵担保責任 #契約不適合責任 #設備表 #物件状況等説明書  #経費 #諸経費 #印紙代 #登録免許税 #司法書士報酬額 #測量代 #越境 #損害賠償請求 #建築不可