目次
- ■ はじめに
- ■ 売却をされた方の「後悔」
- ■ 売出価格と成約価格
- ■ 販売活動とスケジュール
- ■ 不動産会社の選定
- ■ まとめ
■ はじめに
不動産の売却において、誰もが「納得のいく売却をしたい」と考えているはずです。
そして相談をした不動産業者、依頼した不動産業者の担当者も「納得のいく売却をしてもらいたい」と願っているはずです。
しかし、結果的に「疑問の残る売却」だったという方は少なくありません。
そこで今回は、不動産の売却をする場合、どうすれば「納得のいく売却」ができるのか、についてお伝えいたします。
■ 売却をされた方の「後悔」
不動産の売却について「後悔した」と考えられている方のその理由として以下のようなことが挙げられると思います。
1.売出価格を高く設定し過ぎたので近隣の物件の方が高く売れた。
2.査定金額が高い不動産業者に依頼したが想定していた価格より低かった。
3.高く売れると思い込んでいたのが失敗。
4.売却期間が短く安すぎたのではないか。
5.売却期間が長すぎて疲れた。目的を忘れた。
6.販売スケジュールがわからず、イライラした。
7.大手の不動産会社のため、チラシやホームページなど幅広く活動していただいたが、2ヶ月ぐらいでやる気が伝わらなくなった。
8.地元の不動産業者に依頼したがチラシやホームページなど大手とは違い寂しかった。
9.不動産会社のやる気が感じられなかったので大手にしなければよかった。
10.地元の不動産業者に無事契約できたが税金などが不得意だった。
11.不動産業者の営業マンの言っていることが正しかったが、信用できずに後悔した。
12. 大切な事項をその都度、急に言われたので腹が立った。
など。
この12項目を分類すると、「売出価格と成約価格」「販売活動とスケジュール」「不動産会社の選定」の3つのキーワードとなるようです。
では、「売出価格と成約価格」「販売活動とスケジュール」「不動産会社の選定」のキーワードについてどのように対応すればよいのか、依頼者の立場から考えてみます。
■ 査定価格と売出価格
不動産を売却する場合、まずは不動産業者に査定を依頼します。そのときに提出される金額を「査定金額」といいます。
次に所有者は所有者自身の希望価格を不動産業者に相談すると思います。この希望価格を「売却希望価格」といいます。
不動産業者が提示する「査定価格」と所有者が希望する「売却希望価格」を相談し、売りに出す金額を決めることになります。この売りに出す金額を「売出価格」と言います。
そして売却活後において無事に売買契約のはこびとなった場合の売買代金を「成約価格(取引価格・売却価格)」と言います。
売却の相談を依頼してから売買契約までの間に状況により、4つに変化していくことになります。
査定価格→売却希望価格→売出価格→成約価格(取引価格・売却価格)
この価格でご注意いただきたいのは、「後悔した理由」でも挙げました「査定金額が高い不動産業者に依頼したが想定していた価格より低かった」という話もあります。
不動産会社には、とにかく媒介契約の締結が優先事項となり、査定金額を敢えて高く提示する会社もあります。
しかし、査定額を高く設定していても、近隣での成約した事例はどの不動産会社が調べても変わるはずがありません。査定額=成約価格ではないと言うことです。
そのため、査定額を高くしている根拠について納得がいく説明を受けることが大切です。
■ 販売活動とスケジュール
売出価格が決まりますと、販売活動へ移ります。しかし、売出価格が決まったので「これで大丈夫」と言うことではありません。
販売活動のスケジュールを所有者と不動産会社との間にて決めていかなければなりません。
※今回のコラムでは省いていますが、ここまでの間に売却する不動産の権利関係・法令関係・近隣との問題(境界など)から税金、契約・決済までの流れ、実際売却した場合の撤去物・残置物の確認などを確認は必ず説明を受けるようにしてください。
どのようなことでも「スケジュール表」は大切です。
売却活動も同様に「スケジュール表」の作成は大切なことだと言えます。
不動産を売却する場合、所有者の売却事情は、「早く売却したい」と考えている方もいれば、「希望の価格で売りたいのでゆっくりでもいい」など、個別に違います。
まず、所有者の売却理由はどのようなことなのか、どのようにしたいのか、を不動産会社の営業担当者に伝え、協力しながら販売活動を行うことが大切です。
「スケジュール表」を「販売スケジュール表」と呼ぶのですが、この「販売スケジュール表」は、「セールスポイント」・「マイナスポイント」・「販売促進のターゲット」・「販促計画予定表」・「売主様からのご希望・要望」・「当社からのアドバイス」・「規制を受ける内容等」・「価格変更の予定表」などの項目からなり、所有者と不動産会社の営業担当者と相談しながら決めていきます
例えば、売出価格だけを考えた場合、早く売却したいのであれば、査定価格に近い価格から売却を始め、販促活動(ホームページ掲載、店頭図面掲載、折込チラシ)などがひととおり終わる2週間はこの価格で販売活動を行い、その状況により売出価格の変更を行うという提案になるかと思います。
反対に希望の価格で売りたいのでゆっくりでもいい、のであれば半年後などを目途に販促活動を考えていきます。また、売出期間が長ければ売買物件の流通量や価格に変化が生じますので時期を見ながら売買物件の流通量や価格の変化を踏まえ、状況を判断することになります。
■ 不動産会社の選定
不動産売却において、不動産会社の営業担当者との連携は非常に大切です。
売却のために媒介契約を結ぶ相手である不動産会社次第では、売却がスムーズに進むのか、納得のいく売却ができるかが決まります。
不動産会社を選ぶポイントは、対応の丁寧さ、実績などではないでしょうか。
不動産会社によっては得意とする分野は異なります。実績が豊富かどうかは直接、営業担当者に尋ねればわかります。
また、販売活動において「囲い込み」をする不動産会社には注意する必要があります。この囲い込みとは、売却を依頼された物件の情報を意図的に他社へ紹介せず、売主・買主両方から手数料を受領したいがために自社内での売買を成約しようとすることです。
売却を依頼するために媒介契約を不動産業者と締結しますが、「専任媒介契約」「専属専任媒介契約」を結ぶ場合は、定められた期日内に不動産業界向けデータベース(レインズ)に物件情報を登録する必要があります。
この「囲い込み」を行うことは売主の「早期売却を目指す」という目的を阻害することになり、信頼できる不動産会社を見極めるポイントになります。
また、手数料の割引やインターネットの口コミや知人の紹介は参考程度にされることや重複となりますが査定額の高さだけで判断しないことです。
■ まとめ
「売出価格と成約価格」「販売活動とスケジュール」「不動産会社の選定」別にお伝えしましたが、売却を行う場合、不動産会社任せにすることは「納得のいく売却」はできないということをご理解いただけると思います。
売却は、所有者と不動産会社が一つになり、売出価格から販売のスケジュールを協力して決めていかなければなりません。
売却に慣れていない所有者にとって「協力」すること自体大変かと思います。しかし、不動産業者は「プロ」ですので、わからないことは理解できるまで確認を求めるべきであり、理解できない、と言うことは不動産業者が「プロ」として失格と言うことです。
これから、売却をお考えの方は、以上を踏まえて不動産業と接することをオススメします。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠
私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。
●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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