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10.272023

タワーマンション相続税評価改正へ

目次

  • ■ マンションの相続税評価の改正について
  • ■ タワーマンションの主義
  • ■ タワマンの相続税・贈与税の評価方法
  • ■ なぜ?改正されるのか
  • ■ なぜ?マンションの乖離が大きくなのか
  • ■ 評価方法改正時期・改正点

■ マンションの相続税評価の改正について


令和5年の税制改正大綱に明記されていたタワーマンションの相続税評価の見直しについて、国税庁が評価方針を固めました。

タワマンの定義


タワーマンション(タワマン)とは一般的には階数が20階以上、高さが60mを超える超高層マンションを指しています。

ただし、この定義は法的には決められていません。

タワマンそのものに定義はなく、建築基準法で構造上厳しい規定である高さ60メートル超の建築物をいわゆるタワマンと呼び、おおよそ地上20階以上のマンションを指しています。

■ タワマンの相続税・贈与税の評価改正


令和6年(2024年)1月1日以降の相続発生や贈与分からマンションの相続税評価方法が改正されます。 ※1棟マンションや区分所有オフィスビルは改正の対象外です。

現行の区分所有マンションの相続税評価額は、自用(賃貸しておらず居住用)の場合、概ね実勢価格の3割程度です。

しかし、今回の改正により従来の相続税評価額の1.2倍(築古)~2.0倍(築浅)程度に上がる予定です。

■ なぜ?改正されるのか


マンションの市場価格(売買される価格)と相続評価額の乖離が今まで問題視されていました。

国税庁が出している資料によると、マンションの乖離率(市場価格と相続評価額の乖離)は2.0以上が約65%であり、相続税評価額が市場価格の50%以下となっています。

※一戸建の乖離率は、1.66

そこで、国税庁はタワーマンションを含むマンションの相続税評価を適正にする法改正を行うことになりました。

令和5年(2022年)4月19日には、過度な評価額の圧縮を行ったとして財産評価基本通達のとおりに相続財産を路線価や固定資産税評価額で評価したにもかかわらず、その評価方法が否認されるという最高裁判決が下されました。

■ なぜ?マンションの乖離が大きくなのか


マンションの市場価格と相続税評価と一戸建の市場価格と相続税評価では乖離が異なり、マンションの乖離が大きくなるのでしょうか。そこには現行の相続税評価方法に問題があるのです。

【現行のマンション相続税評価方法】
現行のマンションの評価方法(自用)は、

①区分所有建物の価額+②敷地(敷地利用権)の価額なります。

 ①区分所有建物の価額  

  建物の固定資産税評価額×1.0

 ②敷地(敷地利用権)の価額 

  敷地全体の価額(路線価方式又は倍率方式)×共有持分(敷地権割合)

タワーマンションをこの算式に当てはめて考えると、建物の固定資産税評価額は低層階・高層階であっても同等な評価となります。

しかし、実際の市場においては、一般的に高層階の方が眺望等の理由から資産価値が高く評価され、低層階に比べ高額な価格で取引がされています。

そのため、所在階が高くなればなるほど評価額と市場価格は乖離していくことになります。


また、土地の評価額は、マンションの場合、敷地の所有権は各住戸の床面積に応じて按分される為、戸数が多いほど1戸当たりの土地の持分は小さくなります。

この評価方法により、所在階が高くなるほど、低層階の物件や一戸建と比べて「相続税評価額」と「市場売買価格」の差が大きくなり、相続税の負担が抑えられることになります。

 ※平成29年度(2017年)に税制改正がおこなわれ、高層階になるにつれ、固定資産税も高くなる仕組みに改正されています。

■ 評価方法改正時期・改正点


2024年1月1日、財産評価基本通達の改正が行われます。

改正後は、次のような計算式でマンションの相続税評価額となります。

現行の相続税評価額×当該マンション一室の評価乖離率×0.6(最低評価水準

※ 評価乖離率 

①×△0.033+②×0.239+③×0.018+④×△1.195+3.220

① 当該マンション一室に係る建物の築年数
② 当該マンション一室に係る建物の「総階数指数」として「総階数÷33(1.0を超える場合は1.0)」
③ 当該マンション一室の所在階
④ 当該マンション一室の「敷地持分狭小度」として、
「当該マンション一室に係る敷地利用権の面積÷当該マンション一室に係る専有面積」により計算した値

※評価水準

評価水準=1 ÷ 評価乖離率
この計算の結果から以下の3パターンで計算することになります。

(1)評価水準 > 1
この場合、現行の相続税評価額が市場価格よりも高いことを示します。
評価水準=現行評価額 × 評価乖離率で計算します。

(2)0.6 ≦ 評価水準 ≦ 1
この場合、現行の相続税評価が市場価値と大きく差がないことを示します。
評価水準=現行評価額で計算します。

(3)評価水準 < 0.6
この場合、現行評価額が市場価格より大幅に低いことを示します。
税制改正大綱では、この(3)に該当する部分を是正する目的があったと考えられています。
評価水準=現行評価額 × 評価乖離率 × 0.6で計算します。

■ まとめ


今回の改正で、注意していただきたいのは、マンション相続税評価の改正後の計算方法について市場価格相続税評価額の「乖離率」で判断されるということです。

これは、「タワマン」に限り、評価方法を改正するのではなく、その他の低層マンションなどにも適用するということであり、乖離率が高ければ、改正の影響を受けることになります。

また、近年、マンションの市場価格と相続税評価額の乖離を使った節税方法に対する引き締めが厳しくなり、以前ほどの節税効果が見込めない状況です。

今後、生前対策をしたい場合には、生命保険・生前贈与・養子縁組など、他の対策を検討した方が良いと言えます。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

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