全30回連載

【第12回】家賃は毎年下がる。30年間の「家賃下落リスク」をグラフで予測する
こんにちは。不動産コンサルタントの飯島誠です。
毎週木曜日20時。数字と分析の基本を学ぶ【第2章】の締めくくりとなる、第10回目です。
人間の体と同じように、アパートの建物も毎年歳をとります。新築のときはピカピカで、最新の設備がついていて、高い家賃でも入居者が喜んで入ってくれます。
しかし、10年経ち、20年経ったアパートはどうでしょうか?
外壁は汚れ、設備は古くなり、周りにはもっと新しくて綺麗なアパートがどんどん建ちます。
当然、「家賃を下げなければ、誰も借りてくれなくなる」のが自然の摂理です。
なのに、他社の勉強会のシミュレーションシートを開くと、信じられないことに「1年目から30年目まで、家賃収入:年間400万円(一律)」と、時が止まったような計算が平気でされています。
■ 高校のグラフで見る「家賃下落」の現実
一般的に、アパートの家賃は「毎年 0.5% 〜 1% ずつ下がっていく」と言われています。
「たった1%か」と思うかもしれませんが、高校の数学で習う「複利(ふくり)」の逆の計算をしてみると、数十年後に恐ろしいグラフが現れます。
例えば、新築時の家賃が「1部屋 7万円」のアパートがあるとします。
毎年1%ずつ家賃が下がっていくと仮定して、10年後、20年後の家賃を計算してみましょう。
新築時:70,000円
10年後:約 63,300円(約10%ダウン)
20年後:約 57,200円(約18%ダウン)
30年後:約 51,800円(約26%ダウン)
どうでしょうか。30年後には、家賃が2万円近くも下がり、新築時の「約4分の3」になってしまうのです。10部屋あるアパートなら、毎月の売上が約20万円も減る計算になります。
■ 「家賃は下がるが、ローンの返済は下がらない」
ここが一番の恐怖です。
あなたの会社の売上(家賃)は、グラフのように右肩下がりに減っていきます。しかし、銀行への毎月のローン返済額は、30年間「一歩も引かずに同じ金額」のままです。
業者のシミュレーション通りに「30年間、家賃が変わらない前提」でギリギリの資金計画を立てていたサラリーマン大家さんは、10年目〜15年目を過ぎたあたりで売上が返済額を下回り、完全に身動きが取れなくなります。
■ 第2章の総まとめ:他人のシートに、自分のペンで斜線を引こう
ここまで5回にわたり、利回り、キャッシュフロー、デッドクロス、空室率、家賃下落という「数字の現実」を見てきました。
他社の勉強会で綺麗なExcelシートを見せられたら、心の中でニヤリと笑ってください。
そして、そのシートの数字にペンで斜線を引き、以下の「社長の現実ルール」を上書きするのです。
1.利回りは経費を引いた「実質」で見る
2.空室率は5%ではなく「10%〜15%」で最悪を想定する
3.家賃は毎年「1%ずつ下がる」グラフを描く
この厳しい条件をクリアして、それでもなお、あなたの通帳にお金を残してくれる物件こそが、本物の「お宝物件」です。
他人の作った数字に騙されず、自分の手で未来の数字をコントロールしていきましょう。
次回の予告(来週木曜 20:00 配信)
来週からは【第3章:土地と建物の見極め:コンビニの立地に学ぶ】に突入します!
最初のテーマは、【第13回】「自分が住みたい街」は大間違い。データで見る「賃貸需要」の探し方です。
あなたの好みを一切捨てて、データだけで勝つ街選びの極意を教えます。来週木曜20時にお会いしましょう!
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■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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