全30回連載

第5回:財産って「現金」だけじゃない?(プラスの財産とマイナスの財産)
第3回、第4回と、「誰が」「どれくらいの割合で」財産をもらう権利があるのか、法律の基本ルールを解説してきました。
家系図や数字が出てきて少し頭を使ったかもしれませんが、みなさんバッチリついてきてくれていますか?
権利と割合が分かったら、次に知るべきなのは「分ける財産そのものの中身」です。
多くの人は「財産=銀行に入っているお札(現金)」と考えがちですが、実は相続する財産には、目に見えるお金以外にもたくさんの種類があります。
今回は、相続のバトンの中に入っている「プラスの財産」と、実はセットで入っている恐ろしい「マイナスの財産」の正体について、分かりやすく仕分けしていきましょう。
宝箱の中身:ハッピーな「プラスの財産」たち
まずは、もらって嬉しい「プラスの財産」です。これは大きく分けて3つのグループがあります。
① 現金・預貯金(王道の財産)
銀行に預けてあるお金や、お家の金庫にある現金です。1円単位できれいに割り算ができるため、最もトラブルになりにくい「優等生」な財産です。
② 有価証券(スマホで見る投資のあれこれ)
亡くなった人が会社を応援するために買っていた「株式(株)」や、投資信託などです。これらは毎日値段が変わるため、「分ける瞬間にいくらの価値があるか」を計算し直す必要があります。
③ 不動産・動産(切り分けられない財産)
これが、不動産会社である私たちが最も注目するポイントです。みなさんが今住んでいる「実家(建物や土地)」のことです。他にも、お父さんが乗っていた車、高級な腕時計、美術品などもここに含まれます。
特に「不動産(お家や土地)」は、現金と違ってハサミで切って分けることができません。
例えば「お家を半分ずつに分けよう」と言って、リビングとお風呂で切り分けるわけにはいかないですよね。
この「不動産はきれいに分けられない」という特徴が、日本の相続トラブルの原因第1位になっています。
カウントダウン開始:知らなきゃヤバい「マイナスの財産」
第2回でもチラッと触れましたが、相続のバトンには、引き継ぎたくない「マイナスの財産(借金や義務)」も丸ごと含まれています。
自動車ローンや住宅ローンの残り
クレジットカードの未払い分(スマホの分割払いの残りなど)
生前に支払っていなかった税金や、病院の入院費
誰かの借金の「保証人(ほしょうにん)」になっていたという地位
例えば、大好きな祖父が亡くなって、「3,000万円の豪華な一戸建て(プラス)」を遺してくれたとします。喜んだのも束の間、実は祖父が裏で「5,000万円の借金(マイナス)」を抱えていたことが判明したらどうなるでしょう。
何も知らずに相続のバトンを受け取ってしまうと、差し引き2,000万円の借金を、残された家族(あなたや親)が自分のポケットマネーから一生かけて返済していかなければならなくなります。
法律は「良いところだけもらう」という都合の良いつまみ食いを許してくれません。
「引き継ぐなら、天国も地獄も全部セットで」というのが相続の鉄のルールなのです。
高校生のみなさんも無関係じゃない「スマホの分割払い」
身近な例を出しましょう。みなさんが使っているスマートフォン、本体代金を「24回払い」や「48回払い」などの分割で買っていませんか?
もし、その契約名義人(お金を払っている人)である親に万が一のことがあった場合、そのスマホの「残りのローン(端末代金の未払い分)」も、立派なマイナスの財産として相続人に引き継がれます。
借金というと大きなビルを建てるための何千万円というイメージがありますが、実は私たちの生活のすぐ隣にも、小さなマイナスの財産は隠れているのです。
まとめ:だからこそ「財産のリストアップ」が必要
人が亡くなったら、まずやるべきことは「お父さん(亡くなった人)は、一体どこに、何を、どれだけ遺したのか?」をすべて洗い出して、プラスとマイナスの「財産目録(リスト)」を作ることです。
中身が分からない不気味な宝箱を開けるのは怖いですよね。
リストを作って全体像をハッキリさせることで、初めて家族は「このまま相続しても大丈夫か?」を冷静に判断できるようになります。
もし、マイナスの財産(借金)のほうが圧倒的に多かったらどうすればいいのでしょうか?
次回は、その絶望的なピンチを切り抜けるための法律の救済措置、第6回「借金も引き継がなきゃいけないの?(『相続放棄』という選択肢)」をお届けします。
家族の身を守るための超重要回です。次回もぜひチェックしてくださいね!
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■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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