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9.82025

【司法書士コラム】どうする?後見制度!任意後見制度と法定後見制度とは

執筆者プロフィール 司法書士 木村 光太朗

お客様が慣れない法的手続きに直面した時、「何から手を付けたらいいのかわからない」
「誰に相談したらいいのかもわからない」といったことはあると思います。
そのような時は、木村光太朗司法書士事務所へご相談ください。
問題が解決し、「依頼して本当に良かった」と言われる事務所づくりを目指しています

木村司法書士を詳しくお知りになりたい方へ

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 任意後見制度・法定後見制度
  • ■ 遺言書の活用で相続争いを予防
  • ■ 司法書士によるサポート内容
  • ■ まとめ

■ はじめに


湘南地域では高齢化が進み、認知症の親を介護する家族も増えています

認知症が原因で起こりがちな相続トラブル

茅ヶ崎市や寒川町、平塚市、藤沢市といった湘南エリアは高齢化率が高く、令和8年には寒川町で28.5%に達すると予測されています。

高齢の親が認知症になると、財産管理や相続手続きでさまざまなトラブルが起こりがちです。典型的な例として、以下のようなケースがあります。

【銀行口座の凍結・預金の引き出し困難】

 親の判断能力が低下すると、たとえ実の子どもでも親名義の預金を勝手に引き出すことはできません。

銀行は本人の判断能力が不十分な場合、詐欺防止のため口座を凍結することもあります。

その結果、介護費用や生活費を立て替えざるを得なくなり、家族に経済的負担が生じるケースがあります。

【同居家族による財産の使い込み】

 認知症の親と同居している子どもが、親から預かった通帳や現金を無断で使い込んでしまうケースもあります。

親は信頼して任せていますが、亡くなった後に使い込みが発覚し、他の兄弟姉妹と争いになることがあります。

こうした事態は親族間の不信感を生み、相続分を巡るトラブルに発展しかねません。

【遺言書が無効になるリスク】

 認知症が進行した親が遺言を書こうとしても、判断能力が失われた状態では法律的に有効な遺言書を作成できません。

遺言が有効かどうかのカギは「遺言能力」の有無であり、判断力がある状態でないと遺言は無効になってしまいます。

そのため、「親が遺言を残してくれたと思ったのに、認知症のために効力が認められなかった」という事態も起こり得ます。

また遺言が無い場合、相続人間で遺産分割協議が必要になりますが、相続人の中に判断能力が不十分な方がいると協議自体が進められません。

結果的に、遺産分割が滞ったり家庭裁判所での争いに発展する恐れがあります。

事前の備え:任意後見制度・法定後見制度の活用

こうしたトラブルを防ぐには、親御さんが元気なうちに対策を講じておくことが大切です。

代表的な対策が「成年後見制度」の活用です。成年後見制度には、ご本人の判断能力の状態によって法定後見制度任意後見制度の2種類があります。

■ 任意後見制度・法定後見制度


【任意後見制度】

 将来認知症になるなど判断能力が低下した場合に備えて、本人がまだ判断力のしっかりしているうちに、

分の財産管理や生活支援を任せたい信頼できる人と契約を結んでおく制度です。

誰にどのような支援をしてもらうか、本人の希望に沿って自由に決めることができます。

契約内容は公正証書にし、将来本人の判断能力が衰えた時に家庭裁判所の監督のもとで任意後見人による支援がスタートします。

任意後見契約を結んでおけば、自分が認知症になった後も信頼できる人に財産管理を任せられるので、家族も安心です。

【法定後見制度】

 すでに認知症が進んで判断能力が十分でない場合には、家庭裁判所に申し立てて後見人(または保佐人・補助人)を選任してもらう必要があります。

選ばれた法定後見人が本人に代わって財産管理や必要な契約手続きを行い、本人を法律的に保護します。

ただし、法定後見では後見人を家庭裁判所が決定するため、必ずしも親族が選ばれるとは限りません。

専門職後見人として弁護士や司法書士など家族以外の第三者が選任される可能性も高く、その場合は家族が資産を自由に動かせなくなります。

また、申立てに費用がかかるほか、選任された後見人には継続的に報酬を支払う必要があります。

このように手間や費用の面から、現状では法定後見の利用はあまり進んでいないのが実情です。

➡任意後見契約はあらかじめ備える方法で、法定後見は最終手段ともいえます。

近年は家族信託(民事信託)など新しい手法も注目されていますが、まずは「判断力があるうちに遺言書や任意後見契約を準備し、万一に備える」ことが肝心です。

重度の認知症になってからでは遺言書作成や任意後見契約はもはや利用できず、法定後見制度を使うしかなくなってしまいます。

将来起こり得るリスクに備え、早めに家族で話し合っておきましょう。

遺言書の活用で相続争いを予防


認知症対策と併せて重要なのが遺言書の作成です。

特に、自宅で親の介護を担ってきた子どもと、遠方に住む他の子どもたちがいるようなご家庭では、

親の死後に「誰がどの財産を相続するか」で意見が分かれ、争いになりやすい傾向があります。

日本の法律では親の介護をしていた子どもに余分な相続分を与える規定はなく(※寄与分が認められる場合も限定的です)、

長年尽くしてきた長男夫妻と何もしていない弟、といった組み合わせでも法定相続分は原則平等です。

そのため「自分は親を支えてきたのに報われない」と感じる相続人が出てしまい、紛争に発展することがあります。

➡こうした事態を防ぐには、親御さんが遺言書で財産の分け方を指定しておくことが有効です。

例えば「自宅は介護を担ってくれた長男に相続させる」等の遺言を残せば、他の兄弟も納得しやすくなりますし、

法定相続分どおりに分ける場合と比べてトラブルを避けやすくなります。

また遺言書があれば、後に残された相続人たちはわざわざ遺産分割協議を行わずに相続手続きを進めることも可能です。

遺言があるだけで家庭裁判所の関与を減らし円滑に相続手続きができるため、専門家も「とりあえず遺言を書いておきましょう」とアドバイスします。

遺言書は公正証書で作成しておけば形式の不備による無効リスクもほぼありません。

元気なうちに遺言を準備しておくことで、万一認知症が進んだ場合や亡くなった後の相続でも、お子さんたちが揉めずに済む可能性が高まります。

■ 司法書士によるサポート内容


相続や認知症対策については、専門家である司法書士に相談するのがおすすめです。

司法書士は相続手続きや成年後見手続きのプロフェッショナルであり、以下のような支援が可能です。

成年後見の申立てサポート:

親が認知症になり法定後見制度を利用する場合、家庭裁判所への申立書類の作成や手続き代行を司法書士がサポートできます。

実際、司法書士の業務には家庭裁判所に提出する成年後見開始申立て書類の作成が含まれており、手続きをスムーズに進めるお手伝いが可能です。

また必要に応じて、親族が後見人候補になるための書類整備や手続きについてもアドバイスしてくれます。

遺言書作成のサポート:

遺言書を作成する際も司法書士が心強い味方になります。

遺言の方式や文言には法律上の厳格なルールがあるため、専門家の助言を得ながら作成することが重要です。

司法書士は依頼者の希望を丁寧にヒアリングし、適切な文面や遺産分割の内容を一緒に考えてくれます。

公正証書遺言を作成する場合は公証役場との調整も代行可能ですし、自筆証書遺言を書く場合も法改正により法務局での保管制度がありますので、

その利用も含めてサポートします。

弊所では、司法書士が遺言執行者に就任し、遺言どおりに財産を引き継ぐ手続きまで担うこともできます。

成年後見人への就任:

家族に適任者がいない場合や、利害関係の調整が難しい場合には、司法書士が専門職後見人として家庭裁判所に選任されることもあります。

司法書士は全国で8,000名以上が成年後見業務に携わっており、法律と財産管理の専門知識を活かして被後見人(認知症の方)の利益を守る役割を担っています。

司法書士が後見人に就任した場合、公平中立な立場で財産を管理し、親族では対応が難しい不動産の売却や施設入所費用の捻出なども適切に判断・実行してくれます。

弊所でも任意後見人、成年後見人どちらも承っておりますので、お気軽にご相談ください。

地域特有の事情にも配慮を

茅ヶ崎・寒川・平塚・藤沢地域は温暖で住みやすい反面、人口構成は全国平均より高齢化が進んでいます。

例えば茅ヶ崎市や藤沢市の空き家率は約9%と全国平均(約13.8%)より低いものの、数千戸規模の空き家が存在しており、

高齢者の死亡や施設入所に伴う空き家が増加傾向にあります。

寒川町でも将来的な空き家増加が懸念され、市町村それぞれで空き家バンクの開設や利活用支援策など対策を進めています。

相続の現場でも「親が亡くなった後、実家が空き家のまま放置されている」「相続人が遠方在住で家の管理ができない」といった相談が珍しくありません。

司法書士はこうした空き家問題に対しても、相続登記の手続きや売却処分の支援、必要に応じて財産管理人として物件を管理するといった形で関与できます。

また、このエリアでは親世代と子世代が同居する二世帯住宅も見られます。

親と同居して介護を尽くした子どもがいる場合、前述のように他の兄弟との間で相続分への不満が生じやすいため、やはり遺言書で明確にしておくことが大切です。

高齢者のみの世帯や一人暮らし高齢者も増えており、判断能力が低下しても身近に支援者がいないケースも懸念されています。

地域包括支援センターや専門職と連携し、見守り契約(定期的な安否確認サービス)や財産管理委任契約などを活用することも視野に入れておくと安心でしょう。

■ まとめ


湘南地域のように高齢化率の高いエリアでは、認知症による相続トラブルは決して他人事ではありません.

親が元気なうちに遺言書を作成し、必要に応じて任意後見契約を結んでおくことで、将来のリスクに備えることができます。

もし判断能力が低下してしまっても、法定後見制度を利用すれば財産を守ること自体は可能です。

しかし手続きの負担や費用もかかりますから、できるだけ事前の対策を講じておくのが理想です。

湘南エリアで相続や認知症対策に不安がある方は、ぜひ弊所にご相談ください。

専門家のサポートを得ることで、大切なご家族の財産と円満な相続を守る一助となるでしょう。 各市町村でも高齢者支援や空き家対策の窓口がありますので、併せて活用しながら安心できる相続準備を進めてください。


■木村司法書にご質問等ございましたら、お気軽にご相談ください。

〒253-0056 茅ヶ崎市共恵一丁目4番20-401号

木村光太朗司法書士事務所 TEL 0467-84-8945

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