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10.102025

「初日不算入」とは、何?

目次

  • ■ はじめ
  • ■ 有効期間の定め方と期間の計算方法
  • ■ そのほかの計算方法
  • ■ 不動産関係での適用例
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産業務において、売買、賃貸、賃貸管理には常に契約日や契約期間、宅地建物取引業者の免許年月日など日付に関する確認を行い、そのことが重要事項説明書・契約書に記載されていると思われます。

例えば、賃貸借の場合には契約日:令和7年10月10日、契約期間:令和7年10月5日から令和9年10月4日の2年間と記載され、この場合、契約期間は令和7年10月5日から令和9年10月4日の2年間と記載されているので誰でも理解が可能と思われます。

しかし、同じ賃貸借契約においても、本契約の有効期間は、令和7年10月10日から2年間とする。と記載されていた場合では、契約の始期と終期が異なることになります。

今回は、この契約日と契約期間についてどうして同じ表現なのに契約の始期と終期が異なるか、などを考えてみます。

■ 有効期間の定め方と期間の計算方法


● 有効期間の定め方

不動産業務はもちろんのこと、契約期間を定める場合には、

①契約期間:令和7年10月5日から令和9年10月4日の2年間という「始期」と「終期」を定める方法

②契約期間:令和7年10月10日から2年間とする。とした「始期」を決めておいてそこからの期間」

を決める方法があります。

①の契約期間:令和7年10月5日から令和9年10月4日の2年間とした場合、始期と終期の日付が定められているため誰でもわかりやすく令和7年10月5日が始まり、令和9年10月4日が終わりとなります。

②の契約期間:令和7年10月10日から2年間とする。とした場合、令和7年10月10日が始期であり、2年後の令和9年10月9日が終期となります。

● 期間の計算方法

機関の計算方法を注意しなければならない点として民法には次の「初日不算入の原則」というものがあります。

第百四十条 日、週、月又は年によって期間を定めたときは、期間の初日は、算入しない。ただし、その期間が午前零時から始まるときは、この限りでない。

この民法140条とは、条文そのまま、日、週、月、年を単位をして期間を定めたときは、初日は算入しないのが原則ということであり、初日が端数になる場合、その端数は切り捨ててその日は含まない。となります。

ただし、午前0時から始まるときは、端数が出ないので、この場合は例外的に初日を算入するとしています。

この民法140条の原則から上記②の和7年10月10日から2年間とする。とした場合、始期は10月10日となります。

10月10日と記載したのであれば10月10日は、午前0時から始まるため、民法140但し書が適用され、10月10日が例外的に始期として認められることになります。

ここで、ご注意していただきことは、「契約日から2年間」、「契約締結日から2年間」とした場合、契約を締結する時間は、その契約日中となるため、その契約日は不算入となります。よって「契約日から2年間」、「契約締結日から2年間」とした場合の始期は10月11日となります。

※契約締結日を契約期間に入れたい場合には、「契約締結の日から起算して2年間とする」と記載することになります。

■ そのほかの計算方法


●終期の考え方

始期があれば終期があり、この周期の定めについては民法141条および142条に記載されています。

(期間の満了)

第百四十一条 前条の場合には、期間は、その末日の終了をもって満了する。

第百四十二条 期間の末日が日曜日、国民の祝日に関する法律(昭和二十三年法律第百七十八号)に規定する休日その他の休日に当たるときは、その日に取引をしない慣習がある場合に限り、期間は、その翌日に満了する。

この民法141条のとおり、契約期間は、定められた日の(午前12時)をもって満了するということになります。

ただし、定められた終期の日が日曜日・祝日など取引が不可能な場合に限り、定められた終期の翌日が終期となります。

●期間の取り方

暦には、365日ではなく、うるう年の場合366日、月には31日、30日または2月の日数に違いがあります。

この場合などは、民法143条に次のとおり定められています

(暦による期間の計算)

第百四十三条 週、月又は年によって期間を定めたときは、その期間は、暦に従って計算する。

2 週、月又は年の初めから期間を起算しないときは、その期間は、最後の週、月又は年においてその起算日に応当する日の前日に満了する。ただし、月又は年によって期間を定めた場合において、最後の月に応当する日がないときは、その月の末日に満了する。

これにより期間を計算するときは、1日は24時間、1週は7日、1か月は30日、1か月は365日というように、時間や日に換算して計算せずに、暦に従って計算するため、月の日数が、30日であろうと、31日であろうと、期間の計算には関係ないことになります。

例えば、終期が令和9年10月4日と定めていた場合、

令和9年が通常の365日であるか、うるう年の366日にかかわらず、令和9年10月4日が終期となります。

また、期間を令和7年10月10日から6か月とした場合、月の日数にかかわらず、令和8年4月9日が終期となります。

まとめると、

月の初日が始期となる場合

 1月1日から起算して2か月は,平年なら2月28日,閏年なら2月29日が満了日となります。
 1月1日から起算して3か月は,3月31日が満了日となります。

月の途中が始期となる場合

1月20日から起算して2か月は,3月19日が満了日となります。

1月31日から起算して2か月は,3月30日が満了日となります。

月の途中が始期となり,終期に応当日がない場合

 1月31日から起算して1か月は,通常年であれば2月28日,うるう年であれば2月29日が満了日となります。
 3月31日から起算して1か月は,4月30日が満了日となります。

■ 不動産関係での適用例


不動産業における具体的な適用例

① 宅地建物取引業の免許年月日

宅地建物取引業者の免許の「有効期間」は5年ごととなります。この有効期間のほか免許年月日も取引を行ううえで通知しなければなりません。この免許年月日の計算にも、初日不算入の原則が適用されます。

例えば、令和7年10月10日から令和12年10月9日の有効期間の場合、免許の有効期間の初日の前日をいうことになります。よって免許年月日は、令和7年10月9日となります。

② 媒介契約の期間

宅地建物取引業法では、一般媒介契約、専任媒介契約、専属専任媒介契約にそれぞれ有効期間が定められています。この期間の計算にも、初日不算入の原則が適用されます。 

例えば、令和7年10月10日に「3ヶ月の専任媒介契約」を締結した場合、期間は10月11日から令和8年1月9日となります。 

③ 指定流通機構(レインズ)への登録

宅地建物取引業が媒介契約を締結した物件をレインズに登録する場合、契約日から一定期間内に登録する義務があります。この登録期間も、契約締結日を初日とせず、その翌日から計算します。 

④ 手付金解除

売主、買主共に合意により定めた手付解除期日までであれば、理由を問わず手付放棄、手付倍返し(手付金を返したうえで、手付金と同額の金員を支払うこと)をすることによって不動産売買契約を解除する期間も、同様に計算されます。

例えば、売買契約書に「契約締結日から3か月」と記載されている場合、契約締結日が10月10日であれば、初日不算入により10月11日が起算日となり、3か月後の翌年の1月10日までが期限となります。 

※売買契約書に「契約締結日を含む」などの特約があれば、特約が優先されることになります。売買契約など契約では、契約後のトラブルを避けるためにも、期間の起算点について契約書で明確に定めておくことが重要です。

■ まとめ


契約書等に記載される契約期間と契約日。

民法に定める「初日不算入の原則」とその例外規定は宅地建物取引業にかかわる者としては必ず知っておかなければならない知識です。

取引をされる方も「初日不算入の原則」を知っておかないと、後でトラブルの元となることもあります。

契約期間と契約日。後でトラブルとならないためにも確認は必要です。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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