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2.232024

賃貸物件の「火災保険加入」は必要なのか、を考える

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 加入義務はありませんが、加入する必要性があります
  • ■ 貸主が加入する保険は建物火災保険
  • ■ 借主の加入する理由
  • ■ 申し込む保険会社は変更できる
  • ■ まとめ

■ はじめに


賃貸住宅において火災保険の加入はもはや必須となっています

いつ、火災や風災、水災が起こるのかはかわかりませんが、災害には備えておく必要があります。

しかし、この火災保険って加入する義務はあるのでしょうか。

そこで今回は、賃貸住宅において火災保険の加入の必要性・加入の義務が必要なのか考えてみます。

■ 加入義務はありませんが、加入する必要性があります。


賃貸住宅に入居する際には火災保険に加入する必要がありますが、正確には義務ではありません

しかし、義務がないからと言って火災保険に加入しない場合、賃貸物件の所有者である貸主にもリスクが発生するめ、賃貸借契約において火災保険の加入は必須としているケースがほとんどです。

では、消費者保護の観点からどうでしょうか。

消費者保護の観点から見て、「著しく消費者の利害を損なう」と証明することにより無効にできる可能性はあります。

しかし、火災保険は貸主だけでなく借主にとっても消費者に著しく一方的に不利益がある契約とは言えず、消費者保護の観点からも法的に問題ないと解釈されています

■ 貸主が加入する保険は建物火災保険


賃貸住宅の建物は、通常貸主の所有であり、貸主は事故や災害に備えて火災保険に加入する必要があります

【賃貸借契約の条文】

第●●条(貸主の火災保険加入)

貸主は自己の負担において本物件につき火災保険に加入しなければなりません。

貸主の所有する賃貸住宅が火事や事故が発生した場合には、加入している保険でその損害が補償されることになります。

では、なぜ?借主が保険に加入しなければならないのでしょうか。それにはキチンとした理由があるのです。

■ 借主の加入する理由


借主が保険に加入しなければならない理由のひとつとして、失火責任法という法律にあります。

民法では、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。この民法の解釈からすれば、火災による損害もこの原則からすると火元の人に損害賠償請求できるはずです。

しかし、失火責任法には「重大な過失がない限り」火元に損害賠償責任がないと定められています

つまり、隣の部屋からの失火により部屋や家財が損害を受けても火元(隣の部屋)には賠償請求ができないことになります。

そこで火災保険(家財補償)に加入する必要が生じることになるのです。

次に挙げられる理由は、借主は貸主に対し、賃貸借契約にもとづき退去する場合、原状回復義務の責めを負っています

火災などで借りている部屋に損害が発生した場合、借主は原状回復義務の責めを負うことになります。

原状回復義務とは、隣の部屋からの失火が原因であり、借主に過失がない場合でも免れることはできません。この原状回復義務を怠った場合、民法の定めにより賠償責任が生じることになります。

貸主は建物の火災保険に加入する必要があるとお伝えしましたが、たとえ貸主の保険で修繕を行ったとしても、借主は原状回復義務を免れることはできないのです。また、借主は、貸主の保険会社から賠償請求されることもあり得ますので火災保険(借家人賠償責任補償)に加入する必要が生じることになります。

3つ目に挙げられる理由は、第三者に対する賠償責任です。

賃貸物件などの共同住宅では、共用階下や隣接する入居者に対して損害賠償責任を負うことがあります。

例えば洗濯機のホースが外れ、漏水により階下の入居者の家財を濡らしてしまった場合やベランダから物を落としてしまい、歩行者にケガをさせてしまった場合などです。

このような借主の責任には貸主の火災保険を適用することが出来ません。そのため、借主は火災保険(個人賠償責任補償)に加入しておく必要が生じることになります。

以上ご説明のとおり借主は貸主に対し、賠償を補償する「借家人賠償責任補償」と、第三者に対する賠償を補償する「個人賠償責任補償」となります。これらの補償は、単独では加入することができず、必ず借主の家財補償と併せて加入しなければなりません。

【賃貸借契約の条文】

第●●条(借主の火災保険加入)

表記賃貸借期間中、借主または入居者は自己の負担において甲の指定する代理店(飯島興産)を通じて借家人賠償責任担保特約・修理費用担保特約・個人賠償責任担保特約付の賃貸住宅総合保険特に加入しなければなりません。

■ 申し込む保険会社は変更できる


賃貸物件に入居する場合、その賃貸物件を管理している管理会社指定の火災保険の加入を勧められます。

借主は、保険に加入することで出費が増えてしまうことを抑えるため、自分で保険料の安い保険を探してくることも出来ます

その場合には、管理会社に理由を説明して保険会社を変更してもらうように頼むこともできます。

【保険会社を変更する場合の特約】

(火災保険に関する確認)

第●●条(借主の火災保険加入)の定めにかかわらず借主または入居者は自己の負担において借家人賠償責任担保特約・修理費用担保特約・個人賠償責任担保特約に(以下、「本件保険」という。)加入しなければなりません。なお、賃貸借期間更新後も同様とします。

2  借主は、本契約締結後、前項に定めた本件保険の加入手続きを完了するものとし、●●●●●●(以下、「丁」という。)を通じて甲へ保険証券の写しを提出するものとします。

■ まとめ


賃貸物件の場合、借主が迷惑をかける可能性もあり、反対に迷惑をかけられる可能性もあります。

同じ賃貸住宅にお住いの入居者と問題を起こさず安心に生活するためにも、保険の加入をする必要があります。

賃貸物件に入居する場合、募集図面から火災保険の加入義務が謳われています。

保険加入は義務です。説明がされた場合には「この部屋に入居するためには、火災保険の加入が義務付けている」という意味として捉えておくべきです。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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