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6.212024

コラム

賃貸物件で「居住用を事業用として使用する」ことはできるのか、を考える

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 法律上の制限
  • ■ 賃貸借契約にもとづく用法違反と管理規約による規約違反
  • ■ 契約解除は可能なのか
  • ■ 居住用と事業用に区別する理由
  • ■ まとめ

■ はじめに


賃貸住宅において、「この物件は居住用です。」、「この物件は事業用です。」と言われたことがあるという方おいでになると思います。

賃貸物件をお探しの際にも、「居住用」と「事業用」を分けてお探しになるはずです。

しかし、「居住用」と「事業用」どうして区別されているのでしょうか。また、「居住用」は「事業用」として借りることはできないのでしょうか。

今回は、どうして「居住用」と「事業用」どうして区別されているのか。「居住用」は「事業用」として借りることはできない、のかについて考えてみたいと思います。

■ 法律上の制限


法人登記を行う場合、本店所在地は申請する側の自由に設定することができます。

法人の本店所在地は、自己所有であるのか、賃貸借による賃借している物件のであるのか、という要件はなく、登記申請の際に賃貸借契約等の内容を確認されることはありません。

よって、賃貸物件の住所を本店所在地とすることについて、法律上は特に制限がない、ということになります。

したがって、問題となるのは、賃貸借契約や管理規約により違反となるのか、と言う点となります。

この賃貸借契約や管理規約により賃貸物件を法人の本店所在地として登記が可能なのか、または店舗・事務所として利用可能かが決まることになります。

■ 賃貸借契約にもとづく用法違反と管理規約による規約違反


賃貸物件には「居住用」と「事業用」の2種類があり、用途によって区別されています。

居住用賃貸物件は、借主または指定した者が「住居」のみを目的とした物件であり、事業用の賃貸物件は、「主にビジネス」のみを目的とした物件となります。

賃貸物件は、賃貸借契約書や管理規約によって使用制限が明記されており、募集図面にも定められた用途目的が記載されています。

よって、賃貸借契約にもとづく用途目的が「居住用」である場合には、事務所利用は認められないため契約違反となります。また、分譲マンションの一室を管理規約に違反して賃貸物件を事務所として利用した場合、賃貸借契約の解除や損害賠償を受けることになります。

■ 契約解は可能なのか


民法では、賃貸借契約が締結されている場合、賃借人は契約によって定められた用法に従って目的物件を利用すべき義務を負うと定めています。

【民法】

使用貸借

(借主による使用及び収益)

第594条 借主は、契約又はその目的物の性質によって定まった用法に従い、その物の使用及び収益をしなければならない。

第二款 賃貸借の効力

(賃借人による使用及び収益)

第616条 第594条第1項の規定は、賃貸借について準用する。


借主が用法に違反して物件を利用することは契約違反ですから、貸主は、基本的に賃貸借契約を解除できます。
しかし、賃貸借契約は、貸主と借主の信頼関係に支えられた契約であると考えられています。そこで、違反内容が軽微な場合には、当事者間の信頼関係を破壊するものとはいえず、契約の解除までは認められない可能性があります。

■ 居住用と事業用に区別する理由


では、賃貸物件では利用目的が限定されているのでしょうか。

これにはキチンとした理由があります。

理由は以下のことが挙げられ、借主が賃貸物件を利用することを防ぐことが意図されているのです。

①居住用として貸した賃貸物件を借主が人の出入りの多い事業を行った場合、同じ賃貸物件に居住する借主は様々な面で迷惑を被ること。(他の入居者への迷惑行為等)

②家賃等の設定について居住用より事業用の方が賃料の設定が高くなります。そのため初期費用併せて高くなること。(賃料等の見直し)

③消費税および地方消費税について居住用は非課税であり、事業用が課税対象となること。(消費税および地方消費税の転嫁および消費税の申告の問題) 

※敷金・保証金の預り金を除き賃料・礼金などに課税されます。

④入居審査について事業用賃貸物件の場合、居住用とは異なり、業の内容や規模、創業年数、売上などの審査が必要となること。(再審査の問題)

⑤多くの人の出入りにより、賃貸物件の汚損・破損が居住用と比較して多く発生すること。(原状回復の問題)

⑥固定資産税・都市契約税について居住用の建物の敷地として利用されている土地は、「住宅用地の特例措置」で土地の固定資産税や都市計画税が軽減されているため、軽減が適用できない場合が生じること。(軽減税率不適用による損害賠償請求)

⑦建物の火災保険について居住用の建物は「住宅物件」、事業用の区画が1つでもあれば「一般物件」として区別されるため、保険の種類も異なり、保険料も異なること。(保険料の差額の賠償請求)

【その他参考】

①建築基準法・都市計画法

建築基準法・都市計画法では、建築物をその用途に応じて適した場所に配置するための規制が設けられ、用途地域が指定されています。
用途地域は13種類に区分され、用途地域の種類ごとに建築可能な建築物が定められたいます。

第一種・第二種低層住居専用地域、第一種中高層住居専用地域では、事務所は基本的に建築できない規制となったいるため、居住用として建てられた建物を事務所として使用することは出来ません。

②消防法

消防法について居住用から事務所用に用途を変えた場合、消防法も問題となる場合があります。

消防法では建物の用途や使用する人によって建物を防火対象物として10数項目に分類化しており、設置すべき消防設備が定められています。

共同住宅は「5項ロ」、事務所ビルは「15項」に分類されます。

居住用だった賃貸住宅に事務所用の区画が出来る場合、主用途である居住用区画の床面積に対し、事務所用の区画の面積が10%未満かつ300㎡を越えない場合は共同住宅のままですが、事務所用区画が増えていくと複合用途防火対象物の「16項」に区分され、必要な消防設備や点検項目が変わる場合があります。

■ まとめ


賃貸物件のうち居住用の賃貸物件は事業用の賃貸物件としての利用は難しいと考えた方が無難です。

ダメもとで管理会社などにご相談をされてみるのも良いと思います。

問題を起こすことになったらご自身が大変なことになりますので自分の考えを通さず、ご相談をされることをオススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

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