
目次
- ■ はじめに
- ■ 貸主(管理会社)の権利と義務、そして管理
- ■ ここがここが境目!「どこまでが貸主の義務?」よくある疑問
- ■ トラブルを防ぐ!駐車場で絶対に守りたいマナー
- ■ まとめ
■ はじめに
はじめに:駐車場は「ただのスペース」ではなく「共同の資産」
私たちが日常的に利用する月極駐車場。車を所有する上で欠かせないインフラですが、実は「ただ白線が引かれた地面」ではなく、多くの人が毎日のように行き交う「共有のスペース」です。
皆様にいつでも安心して、気持ちよく愛車を駐めていただくために、管理会社や貸主は日々、目に見えないところで様々な維持管理(メンテナンス)や、屋外ならではのトラブル対策を行っています。
今回のコラムでは、法律(民法)の基本に基づいた「貸主と借主のそれぞれの権利と義務」から、近年増えている新しい設備トラブル、そして利用者全員がストレスなく快適に過ごすための「これだけは守りたいマナー」について考えてみます。
■ 貸主(管理会社)の権利と義務、そして管理
貸主側の最大の義務は、シンプルに言えば「車を安全に駐められる場所をキープし続けること」です。
1. 貸主の「義務」(しなければならないこと)
使用収益させる義務(スペースの提供):
契約期間中、指定された区画に他の車が停められないようにし、契約者がいつでも自由に車を出し入れできる「土地のスペース」を提供する最も基本的な義務です。
通常の維持管理義務(修繕義務):
駐車場としての基本的な機能(通常の使用)に支障が出るほどの問題が発生した場合、それを直す義務があります。
例:アスファルトに大きな穴が空いてタイヤがパンクする危険がある、白線が完全に消えてどこに停めていいか分からない、車体に木がバサバサと当たって傷がつくレベルで植物が伸びている、といった場合は、貸主側が修繕や草刈りを行う義務を負います。
2.除草の管理
放置された雑草は「見た目が悪い」だけでなく、害虫の発生、ポイ捨ての誘発、さらには見通しが悪くなることによる車上荒らし(治安悪化)のリスクを急激に高めるため、維持管理が必要となります。
借主(ご契約者様)の権利と義務
一方、借主側は「お金を払っているんだから何でも要求できる」わけではありません。法律上、非常に重要な義務を負っています。
借主の「義務」(しなければならないこと)
賃料の支払義務:毎月の利用料を遅れずに支払う義務です。
善管注意義務(ぜんかんちゅういぎむ):
法律上、借主は「社会通念上、一般的に要求される程度の注意を払って、人の所有物を大切に使う義務」を負っています。
隣の車にぶつけないように慎重に駐車する、フェンスや車止めを壊さないようにバックする、ゴミをポイ捨てしない、といった基本的なマナーを守ることがすべて含まれます。もし不注意で駐車場の設備を壊した場合は、借主の費用で弁償(原状回復)しなければなりません。
保管場所としての自己管理義務:
車は借主様の個人財産です。そのため、「車に鍵をかける」「車内に貴重品を置かない」「当て逃げを警戒する」といった防犯・保全の第一の責任は、すべて借主様自身にあります。
■ ここがここが境目!「どこまでが貸主の義務?」よくある疑問
トラブルになりやすい具体的なケースをもとに、どちらの責任(義務)になるのか、その「境界線」を整理してみましょう。
疑問①:車の最新センサーが草木に反応して鳴る場合は?
結論:貸主の義務の範囲外(対応義務なし)
理由:植物が車体に物理的に接触しておらず、傷がつくリスクがないのであれば、駐車場としての機能は十分に果たされています。近年の車両の超高性能なセンサー仕様(個別の事情)に合致するよう、敷地内のすべての環境(外構)を大家様が作り変える義務までは負っていません。どうしても気になる場合は、車側の設定変更(ソナーの一時OFFなど)でご対応いただくようお願いしております。
疑問②:冬場の「雪かき(除雪)」はどちらの義務?
結論:原則として「借主(ご契約者様)ご自身」の責任です
理由:大雪という自然現象(天災)によって車が出せなくなった状態は、貸主の落ち度ではなく「不可抗力」とみなされます。車を利用する所有者自身の管理行為として、各自スノーシャベル等をご用意の上、安全に作業を行ってください。
疑問③:夜間、駐車場が暗くて転びそう。照明の設置は?
結論:状況に応じて対策を講じますが、屋外特有のリスクも存在します
理由:周囲に街灯が一切なく、段差などの危険がある場合は、貸主側として「安全配慮」のために夜間の視認性を高める対策(ソーラーライトの設置、車止めへの反射テープ貼付、あるいは外灯の設置など)を検討・実施しなければならないこともあります。
注意点(鳥の糞害リスク):ただし、大規模な照明設置に伴い電線や支線(ワイヤー)が増えると、そこが「鳥の絶好の足場」となり、駐車車両への深刻な糞害(塗装の腐食など)を引き起こす二次トラブルに繋がることがあります。
そのため、駐車場では、明るさの確保と鳥害防止のバランスを考慮し、物件ごとに最適な防犯対策(あえて鳥がとまらない位置へのライト設置や反射材の活用など)を選択する必要が生じます。
疑問④:駐車場内で「当て逃げ」された。貸主は弁償してくれる?
結論:貸主の義務の範囲外(借主の自己責任、または加害者の責任)
理由:貸主の義務は「スペースの提供」であり、「大切な車を24時間監視して守る警備義務」までは契約に含まれていません。屋外駐車場における盗難や他車による破損は「不可抗力(免責事項)」となります。借主様ご自身の任意保険(車両保険)や、警察への被害届で対応することになります。
■ トラブルを防ぐ!駐車場で絶対に守りたいマナー
全員がストレスなく利用するために、以下のマナーを必ずお守りください。
「枠内への正確な駐車」を徹底する:少しでも曲がっていると感じたら、必ず真っ直ぐに駐め直してください。
無断駐車・目的外の使用の禁止:契約区画であっても、登録していない車を勝手に停めたり、区画内に車以外の私物(タイヤやゴミなど)を放置することは一律禁止されています。
アイドリングのストップと騒音への配慮:長時間のアイドリングは厳禁です。排気ガスやエンジン音は近隣トラブルの最大の原因になります。
勝手に対処せず「管理会社へ連絡」:不満や不都合を感じた際、ご自身で隣の契約者様に直接文句を言いに行ったり、敷地内の植物を勝手にハサミで切ったり(器物損壊罪に抵触する恐れがあります)することは絶対に避け、必ず管理会社へご連絡ください。
■ まとめ
皆様の協力でつくる、安心のカーライフ
貸主・管理会社がいくら除草剤を撒き、環境を綺麗に整えても、利用される皆様の相互理解とマナーがなければ、そこは「使いにくい駐車場」になってしまいます。
自動車の技術が進化し、屋外の環境とミスマッチが起きる過渡期だからこそ、お互いの「権利と義務」を知り、少しずつ配慮し合うことが大切です。
これからも皆様が安全に、そして快適に愛車を停め、心地よく暮らせる環境を維持できるよう、努めていただくことが大切です。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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