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7.272026

【サラリーマン大家の節税対策】給与+不動産収入、いくらから法人化を検討すべき?損益分岐点と失敗しない戦略を解説

■ 目次

  • ■ 法人化を検討すべき「2つの収入ライン」
  • ■ 法人化で手残りが激変する「4つの最強経費スキーム」
  • ■ 法人化の成否を握る「社会保険料」の算出ロジック
  • ■ 損益分岐点を割り出す「比較シミュレーション」
  • ■ まとめ

サラリーマンとして本業の給与(月給50万円など)を得ながら、副業や本格的な資産形成として賃料収入(家賃収入)を拡大させている「サラリーマン大家」にとって、避けて通れないのが「税金」の壁です。

規模が大きくなるにつれて、「そろそろ法人化した方が得なのだろうか?」という疑問が頭をよぎるようになります。

しかし、ネット上には「家賃収入が800万円を超えたら」「1,000万円から」など、主語(売上なのか利益なのか)が曖昧な情報が溢れており、正しい判断基準が分かりにくいのが現状です。

そこで今回のコラムでは、給与と不動産収入がある方が「本当に法人設立を検討すべき収入ライン」を明確にし、教えたくないレベルの「具体的な経費スキーム」「社会保険料の罠と回避策」「損益分岐点の計算方法」まで、解説します。

■ 法人化を検討すべき「2つの収入ライン」


サラリーマン大家が法人化を検討する際、最も重要なのは売上(家賃収入の総額)」ではなく、諸経費を差し引いた後の「所得(純利益)」で見るということです。目安となるラインは以下の2つです。

①【確実ライン】給与と合算した「課税所得」が900万円を超えたとき

日本の所得税は、収入が増えるほど税率が上がる「累進課税」です。

サラリーマンの場合、「給与所得」と個人事業の「不動産所得」が合算されて税率が決まります(総合課税)。

本業の給与と不動産の利益を合算した「課税所得」が900万円を超えると、所得税と住民税を合わせた税率は33%〜43%という高いレンジに突入します。

一方で、法人の税金(法人税・住民税・事業税を合わせた実効税率)は、利益800万円以下の部分であれば約23%〜25%と非常に低く抑えられています。

この「個人の税率」が「法人の税率」を上回る「合算900万円」が、最も確実な法人化のラインです。

②【不動産単体ライン】不動産所得(利益)だけで年間500万〜800万円になったとき

例えば、本業の月給が50万円(年収約600万〜700万円・課税所得400万〜500万円程度)ある方の場合、不動産だけの利益(所得)が年間500万円を超えてくると、合算で上記の「900万円の壁」を突破し始めます。

特に、給与とは別に「不動産だけの利益(所得)が800万円」ある状態なら、法人化のメリットが非常に大きく、すぐにでも設立を検討すべきタイミングと言えます。

■ 法人化で手残りが激変する「4つの最強経費スキーム」


なぜ法人化するとこれほど有利になるのでしょうか。

それは、個人事業主では認められない、あるいは厳しく制限される支出を、法人の合法的な経費」としてストライクゾーンを格段に広げられるからです。

① 自宅の「事務所化」による固定費の付け替え(持ち家編)

自宅を法人の本店所在地に設定することで、これまで個人の給与から支払っていた生活費(固定費)の一部を法人の経費にスライドできます。

特に「持ち家(戸建て・マンション)」で、デスクやPCがある独立した事務所スペースが確保できる場合は非常に有利です。

経費化の方法

個人(あなた)と法人(あなたの会社)の間で「一部賃貸借契約」を結びます。

按分(あんぶん)の基準

家全体の床面積に対する「事務所スペースの面積比率(例:10%〜20%)」を出します。

経費にできるもの

その面積比率に応じて、「固定資産税」「住宅ローンの利息(元本は不可)」「管理費・修繕積立金」「電気代・水道代・インターネット利用料」を法人の経費(地代家賃や通信費・光熱費)として処理できます。

※注意点(住宅ローン控除への影響)
住宅ローン控除を受けるには、原則として「床面積の2分の1以上が居住用」である必要があります。

そのため、事務所スペースの割合は「全体の1割〜2割程度」に留めておくのが、ローン控除を維持し、税務署への説明もつきやすいベストなバランスです。

② 「4年落ち(3年10ヶ月以上)の中古車」による一発即時償却

今期の法人の利益が多く、一気に税金を抑えたい(利益を圧縮したい)場合に不動産投資家が使う王道のスキームです。

法人の場合、車の減価償却に「定率法」を選択できます。

新車は6年かけてゆっくり償却しますが、3年10ヶ月(約4年)以上経過した普通中古車」は耐用年数が最短の2年となり、定率法を使うと「購入した期に、車両価格のほぼ100%を全額経費(一発償却)」にすることが可能です。

高級車(レクサス、アルファード等)の戦略
リセールバリュー(再販価値)が高いため、4年落ちで購入して一気に数百万〜一千万円の経費を作り、数年後に高く売却して現金を回収するという「キャッシュの最大化・資産防衛」に向いています。

実用車(ハイエース、プリウス等)の戦略
購入価格が安い分、突き抜けた節税にはなりませんが、維持費が安く「物件巡りや清掃などの実務用」として税務署への説明が100%通るため、堅実な事業用資産として銀行評価も高くなります。

※注意点(月割り計算)
全額経費にできるのは、その期を「12ヶ月」まるまる使った場合です。決算の直前月に買うと1/12しか経費にできないため、期のなるべく前半に購入するのが鉄則です。また、プライベート専用と疑われないよう「車両運行記録」をつけておくべきです。

③ 「旅費規程」の作成による出張日当(非課税現金)

法人化したら必ず作成したいのが「役員旅費規程」です。

物件の見学や銀行との打ち合わせ、遠方の不動産業者への訪問などを行う際、交通費や宿泊費の実費とは別に、会社から個人へ「出張日当(1日3,000円〜5,000円など)」を支給できます。

会社側のメリット

支払った日当は全額が「経費(旅費交通費)」になります。

個人側のメリット

受け取った日当は「非課税」となるため、所得税も住民税もかからず、社会保険料の対象にもならない「完全な個人の手取り現金」を増やすことができます。

④ 「役員退職金」という究極の出口戦略

将来、物件を売却して大きな売却益(譲渡益)が出たタイミングや、リタイアする際に、数千万円単位の「役員退職金」を支給して経費化します。

法人側

支払った退職金は一括でその期の「経費(損金)」になり、売却益にかかる法人税を相殺できます。

個人側

退職金には「退職所得控除」という非常に大きな非課税枠があり、さらにそれを「半分(1/2)」にした金額にしか課税されないため、通常の給与(役員報酬)でもらうよりも税金が圧倒的に安くなります。

■ 法人化の成否を握る「社会保険料」の算出ロジック


法人化のシミュレーションで最も誤算が生じやすいのが「社会保険料(健康保険・厚生年金)です。

税金をいくら安くできても、社会保険料の増加分で相殺されては意味がありません。

サラリーマンが副業法人を設立し、その法人からも「役員報酬」を受け取る場合、「二以上事業所勤務」という扱いになり、以下の3ステップで社会保険料が算出されます。

社会保険料が決定する3ステップ

それぞれの報酬を確認

本業の給与(例:月50万円)と、自分の法人の役員報酬(例:月50万円)を確認します。

合算して総保険料を算出

2つを合算した「月100万円」をベースに、世帯(個人)としての合計保険料を算出します。

報酬比率で按分(あんぶん)

今回は50万:50万(1:1)なので、算出された合計保険料を本業の会社と自分の法人で半分ずつ折半して納めます。

「本業50万・法人50万」で支給した場合の具体的な増分

令和6年度(東京都・介護保険なし想定)の料率で試算すると、以下のようになります。

保険種類月額の合計保険料(労使合計)備考
厚生年金118,950円厚生年金は上限(標準報酬月額65万円)で頭打ちになるため、100万円ではなく65万円ベースで固定されます。
健康保険約100,000円100万円ベースで計算されます(上限は139万円)。
合計(月額)約21.9万円2つの会社で支払う総額です。

このうち、新設した法人が按分して負担する分(本人負担+会社負担の合計)は月額 約10.9万円年間で「約131万円」の社会保険料がコストとして上乗せされることになります。

社会保険料は累進課税ではない(逆進性がある)

所得税は高くなるほど税率が上がりますが、社会保険料の料率は常に一定(健康保険約10%、厚生年金18.3%)です。

さらに上記の通り「厚生年金は月65万円」「健康保険は月139万円」という上限(天井)が設けられています。

上限を超えて報酬を高くすればするほど、収入に対する社会保険料の負担率は下がっていく性質(逆進性)があります。

■ 損益分岐点を割り出す「比較シミュレーション」


法人化すべきかどうかの損益分岐点は、以下の数式で簡易的に割り出すことができます。

個人の所得税・住民税率―法人の実効税率×移転する所得>法人の維持コスト

法人の維持コストには、「税理士報酬(年間約30万〜50万円)」「法人住民税の均等割(毎年最低7万円)」「上記の社会保険料の増加分」が含まれます。

不動産所得(利益)が800万円あるサラリーマン(本業月給50万円)を例に、役員報酬の設定次第で損益分岐点がどう変わるかを比較してみます。

パターンA:自分への役員報酬を「月50万円(年600万円)」支払う場合

個人の税金

給与所得控除などのメリットはあるが、本業と合算されて所得税率が高い。

社会保険料コスト

按分計算により、法人側で年間約131万円の負担増。

法人維持費

税理士代+均等割で約50万円

【判定】× 損益分岐点を下回り、個人のままの方が手残りが多くなる可能性大。

役員報酬を中途半端に高く設定してしまうと、社会保険料という重いコストが節税メリットを食いつぶしてしまいます。

パターンB:自分への役員報酬を「0円(または月数万円)」にし、法人に貯める場合

個人の税金・社会保険料

本業(月給50万円)のままで変動なし(追加コスト0円)。

法人の税金

不動産所得800万円に対して法人税率(約23%〜25%)が適用される。個人で33%〜43%払うより、これだけで年間約100万円近く税金が安くなる。

法人維持費

税理士代+均等割で約50万円

【判定】 〇損益分岐点を余裕でクリア。年間で数十万円〜100万円以上の純利がプラス。

このように、生活費が本業の給与だけで足りているのであれば、「個人には一切報酬を出さず、利益をすべて法人の中に貯める(内部留保する)」のが最も効率的で「得」になります。

社会保険料を完全にシャットアウトし、税率の差額分をまるまる次の物件購入の頭金(自己資金)として法人名義で蓄積できるため、資産拡大のスピードが劇的に加速します。

■ まとめ


失敗しないための法人化のステップ

今回のコラムのまとめとして、サラリーマン大家が法人化で成功するためのチェックリストを提示します。

「売上」ではなく「利益(所得)500万〜800万円」を目安にする

自分の役員報酬は「ゼロ」か「低額」に抑えて社会保険料を回避する

本業のない家族(専業主婦の配偶者など)がいれば、そちらに報酬を分散して税率を下げる

持ち家事務所、4年落ち中古車、旅費規程をフル活用して法人経費を作る

そして最も大切な鉄則は、「新しい物件を買う前に法人を設立すること」です。

個人で一度登記した物件を後から法人に移転しようとすると、不動産取得税や登録免許税、司法書士費用が「二重」にかかり、それだけで数十万〜数百万円の大きな損失を被ることになります。

「そろそろラインに到達しそうだ」「次に買い増したい物件がある」という方は、まずは信頼できる税理士などの専門家に、本業の源泉徴収票と不動産の収支内訳書を持ち込み、正確な手残りのシミュレーションを依頼することから始めてみてください。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

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