お問い合わせ・お見積りはこちらから

0466-82-5511

NEWS

7.312026

賃貸の「ハウスクリーニング済み」はどこまで綺麗?トラブルを防ぐ確認ポイントと実務で使える「確認書」の重要性

目次

  • ■ はじめに
  • ■ なぜ「綺麗」の基準にズレが生まれるのか?業界の構造と3つの理由
  • ■ 【場所別】標準の清掃範囲と「対象外」になりやすいグレーゾーン
  • ■ 【 間取りの盲点】アパートで特に汚れが残りやすい要注意スポット
  • ■ トラブル発生!法律上の責任はどこにある?入居者が行うべき「防衛策」
  • ■ 自分でお掃除する場合の実践テクニックとおすすめアイテム
  • ■ トラブルを100%防ぐ「確認書・オプション制度」のすすめ
  • ■ まとめ

■ はじめに


新しく住む賃貸物件が決まり、契約書や募集図面に「ハウスクリーニング済み」という文字を見ると、多くの人が「新築のようにピカピカな状態」を想像するものです。

しかし、いざ楽しみにしていた入居日を迎えて部屋に入ってみると、

「下駄箱を開けたら前の住人の砂だらけだった」

「トイレのタンクを開けたら黒カビがびっしり…」

「エアコンをつけたら酸っぱいニオイがする」

といったトラブルや落胆の声は、賃貸業界において後を絶ちません。

なぜ、プロの清掃業者が入っているはずなのに、このような認識のギャップが生まれてしまうのでしょうか。

そこで、今回は、不動産業界におけるハウスクリーニングの「現実の範囲」と構造的な背景を解き明かし、特にアパートなどに多い間取り特有の盲点を詳しく解説します。

さらに、トラブルを防ぐための具体的な防衛策や法律上の考え方、そして近年先進的な管理会社が導入し始めている「承諾書・オプション制度」のメリットまで考えてみます。

なぜ「綺麗」の基準にズレが生まれるのか?業界の構造と3つの理由


入居者が考える「綺麗」と、不動産業界や清掃業者が実際に行う「クリーニング」の間には、構造的なギャップが存在します。

これには、賃貸業界ならではの「予算」「法律」「目的」に絡む3つの理由があります。

① 業界共通の「必須・対象外」を定めた法律やルールがない

多くの人が「国のルールや業界の法律で、清掃しなければならない範囲がカチッと決まっているのでは?」と考えがちですが、実はハウスクリーニング業界や不動産業界において、「ここまでは絶対に必須、ここからは対象外」という厳格な統一基準は定められていません。

国土交通省が定めている「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」は、退去時の費用負担のルールを示す公的な指標ですが、そこには以下のような大まかな表現しか書かれていません。

「通常の清掃(具体的にはゴミの撤去、掃き掃除、拭き掃除、水回り、換気扇、レンジ周りの油汚れの除去等)」

このように「水回り」や「拭き掃除」といった、ざっくりとした場所しか指定されていないため、

「トイレのタンクを開けて中まで洗うか」

「ブレーカーのフタを開けるか」

「洗濯機パンの排水口の奥までブラシを入れるか」

といった細かい部分の判断は、すべて個々の管理会社や貸主さん、そして依頼された清掃業者の判断(裁量)に委ねられているのが現状です。

② クリーニングの目的は「新品に戻すこと」ではない

賃貸の退去後・入居前クリーニングの目的は、あくまで「次の入居者が一般的な生活を問題なくスタートできる状態(使用可能な状態)にすること」です。

そのため、長年の使用による設備の変色、日焼けによる壁紙の黄ばみ、プラスチックの劣化、洗っても落ちない頑固なサビやシミなどは、クリーニング後も「そのまま」残ることが基本です。

プロの技であっても、物理的に「素材そのものが劣化・変色しているもの」を新品同様に戻すことはできません。

この「汚れ」と「経年劣化」の違いを理解していないと、入居時に大きなショックを受けることになります。

③ 予算と作業時間の圧倒的な制限

退去時の敷金精算や、契約時の「定額クリーニング費用」として借主が支払う金額は、間取りごとに相場が決まっています。

例えば、ワンルームであれば3万〜4万円、ファミリー向けや部屋数の多い3DKアパートなどでも5万〜7万円程度が一般的です。

この限られた予算の中から、清掃業者の人件費や洗剤代を支払うことになります。

予算が限られているということは、業者がその部屋にかけられる「作業時間(人件費)」も自ずと決まってしまうということです。

ワンルームであれば半日〜1日、3DKなどの広い間取りであっても1日〜1日半程度で全ての作業を終えなければ利益が出ません。

そのため、時間がかかる分解洗浄や、目に見えない奥まった場所の掃除は、標準プランから除外されるケースがほとんどなのです。

■ 【場所別】標準の清掃範囲と「対象外」になりやすいグレーゾーン


トラブルを防ぐためには、「どこが綺麗にされて、どこが残されるのか」の標準的なライン(業界の常識)を把握しておくことが重要です。一般的な賃貸物件における仕分けは以下のようになります。

基本料金に含まれる「標準」の場所

水回り(キッチン・浴室・トイレ・洗面台)

シンクや蛇口の水垢、ガスコンロや換気扇(フード・カバー)の油汚れ、便器の輪じみ、浴室の表面的なカビや鏡の軽い曇りなどは、最も時間をかけて清掃されます。

居室の床・壁

すべての部屋に掃除機が掛けられ、フローリングは水拭きや簡易ワックス(物件による)が施されます。壁紙(クロス)のホコリもブラシ等で落とされます。

窓・サッシ

ガラスの両面拭きと、サッシレールに溜まった泥やホコリの除去が行われます。

収納(下駄箱・クローゼット)

扉や内部の棚板を全て拭き上げ、砂ホコリやゴミを取り除きます。

基本料金では「対象外」になりやすい場所

トイレタンクの内側

便器はピカピカにしますが、タンクのフタを開けて内部の防露材や器具についた黒カビを落とす作業は、構造を壊すリスクや手間の観点から標準外となります。

エアコンの内部洗浄

フィルターの埃は落としますが、高圧洗浄機を使った内部のアルミフィンやファンのカビ取りは、別途「エアコン洗浄費」というオプション費用が発生します。

バルコニー・ベランダ

ゴミの掃き掃除や、軽い水流での洗い流しは行われますが、床面にこびりついた頑固なコケや、排水口の奥に詰まった泥の掻き出しなどは対象外とされることが多いです。

ブレーカー(分電盤)の内側

カバーの外側のホコリは拭きますが、フタを開けた内部は電気配線が露出しており、漏電や破損のリスクがあるため、業者は手を触れません。

洗濯機パンの排水口の奥

目に見える受け皿は掃除しますが、排水ホースとつながる奥のトラップ部分まで分解して高圧洗浄することは稀です。

■ 【間取りの盲点】アパートで特に汚れが残りやすい要注意スポット


部屋数が多い間取りは、単身向けのワンルームに比べて床面積が広く、ドアや窓、収納の数が圧倒的に増えます。

そのため、清掃業者の作業負担が大きく、以下のような場所で「仕上がりのムラ」や「見落とし」が発生しやすくなります。

① 下駄箱(シューズボックス)の内部

ファミリー向けアパートの場合、下駄箱も大型のものが設置されていることが多いです。

棚板の枚数が多いため、業者が1枚ずつ外して拭く時間を十分に取れず、棚板の「裏側」や「四隅の奥」に前住人の靴から落ちた砂ホコリが残ったままになるケースが目立ちます。

また、長年蓄積された靴のニオイやカビ臭さが木材に染み付いている場合、拭き掃除だけではニオイが消えないこともあります。

② バルコニー・ベランダの床と排水口

アパートのバルコニーは、洗濯物を干すために横に長く作られていることが多いです。

しかし、バルコニーは「室外」として扱われるため、ハウスクリーニングにおける優先順位は最も低くなります。

ほうきでホコリを掃く程度の簡易清掃で終わることが多く、雨風でこびりついた緑色のコケや、排気ガスによる黒ずみ、排水口の周辺に溜まった泥や落ち葉などはそのまま残されがちです。

③ 複数ある居室のカーテンレールと巾木(はばき)

部屋数が多くなると、カーテンレールの数も多くなります。

目線より高い位置にあるカーテンレールの「上」は、非常にホコリが溜まりやすい場所ですが、業者の拭き忘れが多発するスポットです。

また、床と壁の境目にある木目の帯「巾木(はばき)」の上にも薄くホコリが積もりやすく、ここが白いままだと部屋全体がなんとなくくすんで見えてしまいます。

④ ダイニングキッチン(DK)と居室を仕切る引き戸のレール

ダイニングと隣の和室や洋室が「引き戸」で仕切られている構造が一般的です。

この引き戸が走る床面のレールや、引き戸自体の上の溝は、日常の生活ホコリや髪の毛が非常に溜まりやすい場所です。

掃除機でサッと吸っただけでは、レールの溝の隅に固まったホコリが取りきれていないことがあります。

■ トラブル発生!法律上の責任はどこにある?入居者が行うべき「防衛策」


もし入居した部屋のクリーニング状態に納得がいかなかった場合、法律的にはどのような扱いになるのでしょうか。また、トラブルを大きくしないために、入居者が取るべき具体的なステップを解説します。

法律上の考え方:「民法上の民法第559条・第562条(契約不適合責任)」

賃貸物件の貸主(管理会社)は、借主から賃料をもらう代わりに、「目的物を通常の状態で使用収益させる義務」を負っています。

つまり、あまりにも不衛生で生活に支障が出るような汚れ(前住人のゴミの残置、大量の髪の毛、耐えがたい異臭など)がある場合、貸主は「契約内容に適合した状態にする義務」を怠っているとみなされます。

これを民法では「契約不適合責任」と呼び、借主は管理会社に対して「再清掃の要求(追完請求)」を求める法的な権利を持っています。

しかし、この権利を主張するためには、入居者側も「正しい手順」を踏まなければなりません。

荷物を入れた後になってから文句を言っても、「それはあなたが生活して汚したのでは?」と言い返されてしまうからです。

● 入居者が行うべき「3つのステップ」

ステップ1:荷物を搬入する「前」の、部屋が空っぽの状態でチェックする

家具や家電を運び込んでしまうと、床や壁の元々の汚れが見えなくなります。

必ず引っ越し業者が来る前、あるいは自分で荷物を運び込む前の「鍵を受け取った当日」に、何もない部屋に入って全体をチェックしてください。

スマートフォンのライトを使い、下駄箱の奥やシンクの下、浴室の換気扇などを照らして確認します。

ステップ2:気になる汚れは「日付入りの写真」で記録に残す

口頭で「汚かった」と伝えても、管理会社には伝わりません。

必ずスマートフォンで、汚れの箇所がはっきり分かるように写真を撮影してください。

引きの全体写真と、寄りのアップ写真を両方撮っておくと、その場所がどこなのか管理会社が把握しやすくなります。

ステップ3:入居後「7日以内」に管理会社へ書面(メール)で連絡する

不備を見つけたら、すぐに管理会社へ連絡します。

電話だけでなく、撮影した写真を添付してメールやLINEなどの「形に残る方法」で送りましょう。

「ハウスクリーニング済みと聞いていましたが、〇〇の箇所に著しい汚れが残っています。引っ越し前ですので、ご対応をお願いできますでしょうか」と冷静に伝えます。

まともな管理会社であれば、すぐに清掃業者を手配して手直し(再清掃)をしてくれます。

自分でお掃除する場合の実践テクニックとおすすめアイテム


管理会社の保証範囲外(対象外)と言われた場所や、自分でササッと綺麗にしてしまいたい場所について、プロ並みに綺麗にできるお掃除のコツとアイテムをご紹介します。

① トイレタンクの内側:放置するだけの「酸性・塩素系洗剤」

タンクを開けてブラシでこするのは、内部の浮き球などの器具を壊すリスクがあり危険です。

おすすめアイテム:市販の「トイレタンク用洗浄剤(粉末タイプ)」

やり方:手洗いの穴から粉末を流し込み、指定の時間(数時間〜一晩)放置して、あとは水を流すだけです。これだけで、内部の黒カビや水垢が分解され、トイレの嫌なニオイの元を断つことができます。

② バルコニー・ベランダ:マンションでも使える「ウタマロ+デッキブラシ」

高圧洗浄機がない場合や、隣の部屋への水跳ねが気になるアパートでもできる方法です。

おすすめアイテム

ウタマロクリーナー(中性洗剤)、デッキブラシ、新聞紙

やり方

床全体に軽く水を撒き(スプレーボトルでも可)、ウタマロクリーナーを吹き付けてデッキブラシでこすります。中性洗剤なので床を傷めず、コケや泥汚れがみるみる浮き上がります。

汚れた水は、濡らした新聞紙で拭き取るように集めると、排水口を詰まらせずに綺麗に処理できます。

③ 下駄箱のニオイとカビ対策:「アルコールスプレー+重曹」

前の住人の靴のニオイが気になる場合の徹底ケアです。

おすすめアイテム

消毒用エタノールスプレー、キッチンペーパー、重曹(粉末)

やり方

棚板をすべて外し、アルコールスプレーを吹き付けたキッチンペーパーで全面を拭き上げます。

アルコールは揮発するため水拭きのように木を傷めず、カビ菌を死滅させます。

しっかり乾かした後、小さな容器に入れた重曹を隅に置いておくと、湿気と残ったニオイを強力に吸収してくれます。

トラブルを100%防ぐ「確認書・オプション制度」のすすめ


ここまでは入居者側の視点で解説してきましたが、実は「貸主や管理会社にとっても、入居前のクリーニングは最大の頭痛の種」です。

良かれと思ってプロの業者にお金を払って掃除をしても、入居者のこだわりが強いとクレームになってしまい、対応に追われてしまうからです。

そこで今、先進的な管理会社や賢いオーナーの間で急速に導入が進んでいるのが、契約時に「ハウスクリーニングの範囲に関する確認書」を交わし、同時に「追加の有料オプション制度」を設けるという仕組みです。

● 契約時に「確認書」を交わすメリット

契約書とは別に、

「当社の標準クリーニングはここまでです」

「エアコンの中やタンクの中は対象外です」

「汚いと感じる箇所があれば7日以内に言ってください」

という内容が分かりやすく書かれた書面に、借主から事前にサイン(確認)をもらいます。

これにより、入居後に借主(入居者)も確認書にもとづきお部屋のチェックができます。

また、貸主、借主の互いの考えているハウスクリーニングの範囲というものが統一され、入居後に互いに嫌な気持ちにならずに済みます。

●「有料オプション制度」という選択肢

「ここは掃除の対象外です」と突っぱねるだけでなく、「もし気になるようであれば、入居前に以下の追加料金でプロの業者に徹底洗浄させることができますが、いかがですか?」と提案します。

※金額はあくまでも推定の金額です

トイレタンク内部洗浄(相場:3,000円〜5,000円)

換気扇シロッコファン分解洗浄(相場:8,000円〜15,000円)

バルコニー高圧洗浄(相場:8,000円〜13,000円)

※金額は、確定されているものではありません。

このように選択肢を用意しておくと、綺麗好きな入居者は費用に支出は発生しますがオプションを検討することもできます。

管理会社にとっては、「入居前の頭痛の種を減らすことができる」という、形ができます。

まとめ


賃貸物件におけるハウスクリーニングは、決して「どんな汚れも消し去る完璧な魔法」ではありません。

業界の構造や予算の制限上、どうしても手の届かないグレーゾーンや、経年劣化による限界が存在します。

しかし、借主側が「どこまでが標準なのか」という知識を持ち、内見時や契約時にしっかりと確認を行えば、入居後の「こんなはずじゃなかった」という後悔は未然に防ぐことができます。

また、貸主(管理会社)側も、これまでの「綺麗にしておきました」というざっくりとした言葉での引き渡しを改め、書面(確認書)を使って範囲を明確にし、オプションという付加価値を提案していくことが、これからの賃貸経営におけるスタンダードになっていくでしょう。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

#賃貸 #ハウスクリーニング #お部屋探し #引っ越し #入居準備 #賃貸トラブル #入居前 #内見チェック #現状回復 #新生活スタート #お掃除記録 #暮らしの知恵 #ウタマロクリーナー #ズボラ掃除 #賃貸経営 #空室対策 #不動産管理