
目次
- ■ はじめに
- ■ 漢数字で記載する理由
- ■ 固有名詞とは何か
- ■ 契約書は漢数字でなければならないのか
- ■ 不動産の売買契約書ではどう記載する?
- ■ 住所に「の」が入っているのは何?
- ■ まとめ
■ はじめに
法人の履歴事項証明書をご覧になると、本店所在欄には、藤沢市〇〇一丁目1番1号。
代表取締役の住所にも藤沢市〇〇一丁目1番地1号と〇丁目には漢数字、そのほかの記載には算用数字が使われています。
これは、不動産の売買における不動産の登記事項証明書(土地の場合)でも所在欄を見ると、藤沢市〇〇一丁目 地番には、1番1と所在には漢数字が使われ、地番には算用数字が使われています。
法務局に備え付けられている法人の履歴事項証明書、不動産の登記事項証明書の所在については、〇丁目まで漢数字ということです。
では、なぜ?この所在の〇丁目の漢数字問題は、法務局だけなのでしょうか。疑問に残るところです。
そこで、今回は、この〇丁目がなぜ?漢数字なのか、そしてその他が算用数字なのか、を考えてみます。
■ 漢数字で記載する理由
法人の登記(本店所在地)において「〇丁目」までを漢数字で書く理由は、「〇丁目」までが町名の一部(固有名詞)、一つの地名(町名)として扱われるからです。
※「銀座四丁目」のように、「四丁目」までを含めて一つの地名(町名)とみなされます。
例えば、人名の「飯島一朗」を「飯島1朗」と記載はしません。
これと同様に、地名も固有名詞であるため漢数字で表記するのが正式となります。
その他にも住居表示のルールがあります。
多くの自治体では「住居表示に関する法律」に基づき、町名を漢数字で、その後の街区符号(番)や住居番号(号)を算用数字で表記することを基本としています。
では、どこまでが漢字を使用するのか?
町名(丁目まで)は、原則として漢字(漢数字)です。そして、番地・号: 算用数字(1番1号)で表記するのが一般的ですが、登記実務ではこれらも「一番一号」のように漢字で記載することも可能です。
マンション名やマンションの部屋番号は、登記上、ビル名や部屋番号の記載は必須ではありませんが、記載する場合は算用数字が使われることが多いです。
ここで疑問ですが、算用数字では書類の提出などの場合、受理されないのでしょうか。
結論から言うと、法人の登記申請において算用数字(1丁目)で記載しても受理されます。
実務上の扱いとして法務局のシステムでは、申請時に算用数字を使っても、最終的な登記簿上の表記は職権で正式な漢数字に変換されることが一般的です。
また、利便性の問題として住民票や印鑑証明書などの行政書類では、横書きの利便性を考慮して算用数字が使われることも多く、どちらで書いても誤りとはされません。
● マンションの場合
マンション名や部屋番号が含まれる場合、以下の書き方が最も一般的で「間違いのない」形式です。
1.間違いのない書き方
〇丁目までは漢数字、マンション名、ビル名・部屋番号は算用数字とするのが基本です。
例: 〇〇市△△一丁目1番1号 □□マンション101号
2.部屋番号は算用数字(101)でいいのか?
法務局での登記記載の基本は、〇丁目は「町名」なので漢数字としてマンション名や部屋番号は「建物の名称」や「専有部分の番号」という扱いです。
これらは登記において算用数字で登録されています。
※101号室を「百一号」と記載するより「101号」と書くほうが、読み間違いが少なく、実務書類として適切と判断されています。
3.注意すべきポイント
不動産売買において最も重要なのは、「登記事項証明書(登記簿)」の【一棟の建物の表示】の欄にある「建物の名称」をそのまま書き写すことです。
マンション名が入っていない場合: 登記簿にマンション名が登録されていない(例:〇〇マンション101 ではなく 101 のみ)こともあります。その場合は、契約書もマンション名を入れずに数字だけに揃えるのが、登記手続き上は正確です。
■ 固有名詞とは何か
「固有名詞」とは、簡単に言うと「この世に一つしかない特定のものを指すための名前」のことです。
他のものと区別するために付けられた専用のラベルのようなもので、以下のような特徴があります。
1.具体的な例
地名: 東京、富士山、銀座四丁目
人名: 夏目漱石、田中太郎
国名: 日本、アメリカ
施設名: 東京スカイツリー、国立競技場
商品名・会社名: iPhone、トヨタ、Google
2.「普通名詞」との違い
固有名詞と対照的なのが「普通名詞(同じ種類のものをまとめて呼ぶ名前)」です。
普通名詞: 「山」「川」「街」「会社」
固有名詞: 「富士山」「信濃川」「銀座」「ソニー」
※「山」は世界中にたくさんありますが、「富士山」はその中の特定の1つだけを指します。
3.なぜ「〇丁目」が固有名詞なのか?
先ほどの住所の話に戻ると、たとえば「銀座」だけでは範囲が広すぎます。
そこで「銀座一丁目」「銀座二丁目」といった具合に、場所を特定するための固有の名前として「丁目」までをひとまとめにして扱っているのです。
そのため、数字部分を勝手に算用数字に変えるのは、人の名前の漢字を勝手に変えてしまうのと同じように「正式な名前ではない」とみなされることがあります。
■ 契約書は漢数字でなければならないのか
法的には、契約書において「〇丁目」を必ず漢数字で書かなければならないという決まりはありません。
算用数字(1丁目)で書いても、契約の効力には全く影響しません。
ただし、状況によってどちらが望ましいかが変わります。
1.算用数字(1丁目)でも良い理由
実務上の有効性: 契約書で最も大切なのは「場所が特定できること」です。
「一丁目」でも「1丁目」でも場所は特定できるため、法的トラブルになることもなく、横書きの契約書が主流となってきているため、算用数字の方が一見して判別しやすいというメリットがあります。
2.漢数字にしたほうが良い場合
法人登記の住所変更や不動産売買など、その契約書をそのまま法務局への申請書類として使用する場合、登記簿上の表記(漢数字)に合わせておくと審査がスムーズです。
また、銀行や公的機関、歴史のある企業との取引では、正式名称である漢数字を用いるのが「礼儀・マナー」とされることがあります。
3.注意点
一番避けるべきなのは、「一箇所では漢数字、別の箇所では算用数字」と混在させることです。表記の揺れは、ミスや偽造を疑われる原因になりかねないため、どちらかに統一するのが基本です。
■ 不動産の売買契約書ではどう記載する?
不動産売買であれば、「登記簿(登記事項証明書)」に記載されているとおり、漢数字で書くことが基本です。
理由として以下の3点が挙げられます。
1.登記申請のミスを防ぐため
不動産売買契約において、売買契約締結後、所有権移転登記を行います。
登記申請書や原因証書の住所が登記簿と1文字でも違うと、法務局から補正(修正)を求められる場合があります。
2.「地番」と「住居表示」を混同しないため
不動産売買では、普段使っている住所(住居表示)ではなく、土地の番号である「地番」で物件を特定します。
住居表示: 〇〇一丁目 1番 1号(普段の住所)
地番: 〇〇一丁目 100番 1(不動産固有の番号)
地番において「一丁目」は町名の一部ですので、登記簿上も漢数字で記録されています。
3.本人確認書類との整合性
売主の印鑑証明書や、買主の住民票上の表記とも合わせるのが一般的です。
これらが漢数字であれば、契約書もそれに合わせるのが最も確実な作成方法です。
■ 住所に「の」が入っているのは何?
住所に「の」が入っている場合があります。藤沢市〇〇1丁目〇〇番地の1という場合です
「の」が入る、入らないは、その住所が「住居表示」か「地番」か、あるいはその自治体の「歴史的な慣習」によって決まっています。
主に以下の2つのパターンがあります。
1.「住居表示」の実施による違い
現代的な住所(住居表示)では、数字の間に「の」を挟まないのが基本となっています。
「の」なし: 藤沢市〇〇1丁目〇〇番地1
しかし、古い住所の表し方(地番)をそのまま使っている地域では、数字の間に「の」が入ることがあります。
「の」あり: 藤沢市〇〇1丁目〇〇番地の1
2. 自治体ごとの「正式名称」の違い
さらに、市町村が「町名」をどう決めたかによっても分かれます。
※藤沢市は、「の」が入る市となります。
3.不動産売買での注意点
不動産売買では、「住民票」と「登記簿」で「の」の有無が異なるケースがよくあります。
住民票(住居表示): 1番1号(「の」がない)
登記簿(地番):100番地の1(「の」がある)
契約書には「物件の表示」として登記簿のとおりにするのが鉄則です。
■ まとめ
一般的なビジネス契約の場合、一丁目でも1丁目でもどちらでも問題はありません。(読みやすさ優先なら1丁目)。
ただし、不動産登記や法人登記が絡む契約の場合には漢数字(一丁目)の方が無難です。
また、自治体でも「住居表示に関する法律」に基づき、町名を漢数字で、その後の街区符号(番)や住居番号(号)を算用数字で表記することを基本としています。
算用数字を使用しても間違いではありませんが、知って損、ということはありません。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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