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12.262025

2026年度の税制改正大綱(不動産関連への影響は?)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 主な不動産関連改正点
  • ■ 不動産に係る財産評価の見直し(相続税・贈与税)の改正点
  • ■ 対応策
  • ■ まとめ

■ はじめに


自民党と日本維新の会の与党は今月19日、税制改正の基本方針を示す2026年度の「税制改正大綱」を発表しました。

令和8年度与党税制改正大綱

大綱ではいわゆる「年収の壁」について課税最低限を160万円から178万円に引き上げるほか、企業オーナーや富裕層に関連する「極めて高い水準の所得に対する負担の適正化措置の見直し」、「不動産に係る財産評価の適正化(相続税・贈与税):貸付不動産の評価の見直し・新築マンションの短期売買)」、「ふるさと納税の見直し」、「暗号資産取引の分離課税化」など、気になる改正点などもあります。

そこで今回は、不動産関連の改正と不動産に係る財産評価の見直し(相続税・贈与税)の改正点について考えてみます。

■ 主な不動産関連改正点


1.住宅ローン控除

住宅ローン控除の延長

住宅ローン控除とは返済期間が10年以上の住宅ローンを利用し、一定の要件を満たした自己居住用のマイホームを購入した場合に、所得税などから所定額が控除される制度であり、この住宅ローン控除は時限立法であるため、2025年12月末で期限と」なっています。この期限を5年間延長する要望を出しており、2030年(令和12年)まで延長されます。

住宅ローン控除も拡充

対象となる住宅の最低面積が従来の50㎡から40㎡に緩和

子育て世代などに対して借入限度額が上乗せされる措置を中古住宅に対しても上乗せ

新築住宅の固定資産税軽減措置の延長

老朽化マンション再生措置の拡充

2.新築住宅の固定資産税軽減措置

新築住宅の固定資産税軽減措置の延長

新築住宅には、一定期間、固定資産税が半額になる軽減措置があります。
現行の制度では、この減額措置は2026年3月31日までであり、今回の税制改正で2年間延長されました。

老朽化マンション再生措置の拡充

国の老朽化したマンションの建て替えを円滑化させるための政策として、マンションを建て替える際、売却時に発生する所得税や権利変換時の登録免許税について、税金の軽減や免税の措置が設けられています。

■ 不動産に係る財産評価の見直し(相続税・贈与税)の改正点


1.貸付不動産の評価方法の見直し

相続税に関するcの評価の見直し

2026年の税制改正では、相続税法の時価主義のもと、貸付用不動産の市場価格と相続税評価額(通達)との乖離を踏まえ、取引の実態を考慮のうえ、見直しが行われます。

どのように改正されるのか。

①なにをどうするのか

相続・贈与開始時期より5年以内の対価を伴う取引により取得又は新築した一定の貸付不動産について課税時期における通常の取引価格に相当する価格によって評価することになります。

②どのようになるのか

課税時期における通常の取引価格に相当する価格とは、課税上の弊害がない限り、被相続人等が取得した貸付用不動産に係る取得価格をもとに地価の変動等を考慮して計算した価格の80%で評価することになります。

③いつからなのか

2027年1月1日以後の相続が対象となり、現時点ですでに購入している不動産においても相続が5年以内に発生した場合は対象となります。

※貸家建付地等の評価併用については2026年夏頃に予定される実務者協議会にて議題されると予想されます。

※被相続人がその所有する土地を5年前より所有している場合には、その土地上に建物を新築しても適用されません。

※不動産バブル期において市場価格と評価額(通達)の乖離を利用した事案に対処するため、1988年~1996年改正まで、相続開始前の3年以内の被相続人が取得した不動産の評価を取得価格により評価する法令がありました。しかし、バブル崩壊により地価の下落により生じた不合理により廃止された経緯もあります。

2.不動産小口化商品の評価見直し

どのように改正されるのか。

①なにをどうするのか

ここ数年のマンション価格の高騰の原因として都心マンションの短期売買の増加によるものが一因とされています。

このような取引は、本来あるべき不動産取引とはかけ離れた投機的取引であり、資産価値への影響を踏まえ、必要な措置をとることになりました。

②どのようになるのか

不動産特定共同事業契約又は信託受益権に係る金融商品取引契約のうち一定の事業にもとづく権利の目的となっている貸付用不動産(不動産小口化商品)についてその取得時期にかかわらず課税時期における通常の取引価格によって評価することになります。

③いつからなのか

2027年1月1日以後の相続が対象となり、現時点ですでに購入している不動産においても相続が5年以内に発生した場合は対象となります。

■ 対応策


駆け込み贈与

今回の改正における改正点が適用されるのは2027年1月1日以降の相続・贈与となります。このため、2026年12月31日までの贈与であれば、現行の評価額で資産を移転ためです。

相続時精算課税の活用   

「基礎控除110万+特別控除2,500万」の限度額を利用することにより、小口化商品を子へ贈与することが考えられます。これは、基礎控除枠部分は持ち戻しを受けず、それを超える部分は贈与時点2026年の評価額で計算されるためです。

暦年課税の活用

法定相続人ではない孫などへの贈与の場合は、2026年に持分を現行評価のうちに暦年贈与で移転しておくことも有効です。

その他、生命保険への組み換え、建て替え・既存物件のリノベーション、法人化スキームなどが考えられます。

■ まとめ


2026年度の税制改正大綱は、資産税を見る限り、相続税評価を時価評価に近づける方向性に明確に舵を切った感があります。

相続対策は相続直前での対策は節税効果が縮小する方向にあり、時間をかけた計画的な相続対策、資産承継が一層重要となり、資産の価値や保有の目的を考え、長期的な設計で行うことをおススメします。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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