
目次
- ■ はじめに
- ■ 入居人員とは
- ■ 入居人員が必要な理由
- ■ 注意事項
- ■ 違反した場合には
- ■ まとめ
■ はじめに
お部屋を借りる場合、仲介会社や管理会社より入居申込書に借主の住所・氏名・勤務先・年収と併せて入居される方の氏名・年齢・続柄などの記載を依頼されるはずです。
また、募集図面において入居人員の指定がされているはずです。

単身者向けの賃貸借物件では入居人員1名であり、ファミリー向けの賃貸物件であれば4名や5名など間取りや建物の大きさで決められています。
しかし、建物賃貸借契約において、単身者専用と定められているにもかかわらず、借主が無断で他人を同居させてしまうことがあります。
また、婚約者が同居し、その後婚姻(結婚)したり、子供が産まれてしまうこともあります。
そこで今回は、入居人員が増えた場合の問題点などを、考えてみます。
■ 入居人員とは
賃貸借契約における「入居人員」とは、借主が借り受けるお部屋に入居(居住)できる人数のことを言います。
募集図面に記載されている入居人員は、原則としてその入居人員を超えて入居することはできません。
特に単身向け物件であれば、原則1人のみの入居となります。ただし、最近では面積の広いワンルームなどもあり、2人以上で入居可能なお部屋もあります。
また、特定のお部屋に入居を希望する場合、「入居申込書」において「入居者」という欄が設けられていることがあります。
【入居申込書:居住一般用】

この項目にはそのお部屋に入居(居住)する予定の人数を記載することになります。
この項目が必要な理由としてそのお部屋が一人一人のスペースが過密とならず、適切に使用されることを確認するために設けられています。
しかし、これはあくまで契約時における予定人数であり、将来的な変更については賃貸借契約書に記載された規定により手続きを行う必要があります。
よって、入居(居住)人数に変更が生ずる場合には、貸主や管理会社に連絡を行い、手続きを行うことが重要となります。
■ 入居人員が必要な理由
募集図面で「入居人員」という記載がある場合、その部屋に居住(入居)できる人数の上限として考えておく必要があります。
これは、そのお部屋の広さや構造から見た制限から決められる場合が多く、入居人員を定めておかない場合、そのお部屋の老朽化を早めるだけでなく、隣接するお部屋の入居者や近隣住民への迷惑となることもあるためです。
また、入居者に変更が生じた場合、貸主や管理会社が気が付かない間に転貸(又貸し)となっている場合も考えられます。
このケースは今ではほとんど聞かなくなっていますが、契約当時の入居者ではなく、外国人労働者やシェアハウスになっていおり、トラブルに発展したケースもあります。
このようなことからも、募集図面などのより入居人員、入居申込書により入居者全員の氏名・続柄などを記載する必要があり、入居人員に変更が生じた場合、貸主や管理会社へ届出のうえ、了承を得る必要があります。
■ 注意事項
賃貸借契約による入居開始後、婚姻(結婚)したり、子供が産まれてしまうことにより人数が変更になった場合、貸主や管理会社に連絡を行うことが大切です。
しかし、婚姻(結婚)したり、子供が産まれてしまうことにより人数が変更になった場合とは異なり、当初の予定以外の家族が居住したり、同居人を増やしたりする場合には事前に貸主や管理会社へ相談することが大切です。
この場合には貸主の許可を得ることが求められ、勝手に人数を増やすことは自体、契約違反となる場合があります。
また、人数変更が生じる場合、敷金の増額や賃料の増額が生じる場合がありますので、勝手に物事を進めることは避けるべきです。
■ 違反した場合には
賃貸借契約書に、そのお部屋の使用目的を「本物件は単身者専用につき、入居者は借主1名限りとします。」という規定が明確に定められている場合、貸主は、原則として当該契約を解除し、借主および同居者に対し建物の明渡しを求めることができる可能性が高いと判断できます。
理由として、借主の契約違反の場合、その違反の内容が契約目的の達成に重大な影響を与えてしまう場合、貸主は契約を解除することができると解されており、建物全体の維持管理の面から、貸主が単身者用として賃貸することを前提としているにもかかわらず、借主がその貸主の前提に反する使用方法をとった場合には、その借主の違反行為が貸主の契約目的達成に重大な影響を与えるものになると考えられているからです。
では、婚姻(結婚)などによって、同居人が増える場合、賃貸人の許可をあらかじめ得ておかなければならず、それを怠れば、賃貸借契約を解除される、と言う内容の特約が定められている場合には解除されるのでしょうか。
1LDKなどの場合、婚姻(結婚)したり、子供が産まれてしまう場合、事前に賃貸人に許可を取っている人などまずいないと考えられます。
このような場合に、賃貸借契約を解除できてしまうとすると、それはどのようなものかと思います。
結論として上記のような約束が賃貸借契約に記載されていた場合、合理的な理由がない限りは、承諾なく同居人が増えても、賃貸借契約を解除することはできない、と考えるべきです。
賃貸借契約には、「借地借家法」が適用され、賃貸借契約の解約申し入れ等について、「正当な事由」が必要であると規定しています・
結婚や出産などで同居人が増えた場合には、この「正当な事由」がないものと考えるべきだからです。
しかし、無限定に何人もの入居者が同居してしまうような状況の場合、隣接するお部屋の入居者や近隣住民への迷惑となり、建物が傷みやすくなったり、共用部分の管理が不十分になってしまったりするなど、問題も多く発生すると思われます。
この場合には、借主から見て賃貸借契約を解除されてもやむを得ないと判断されてしまう場合もあります。
■ まとめ
単身者向けのお部屋の場合、2人以上で住むことを想定していないため認めてもらえない可能性が高くなり、「本物件は単身者専用につき、入居者は借主1名限りとします。」という規定が明確に定められている場合、貸主は、原則として当該契約を解除し、借主および同居者に対し建物の明渡しを求めることができる可能性が高いと考えられます。
対象となるお部屋がファミリー向けや大人数向けのお部屋の場合、事前に事情を説明できれば認めてもらえる可能性は高くなります。
入居人員が不ある場合、貸主や管理会社に入居人数が増えることを伝えることが大切となります。
事前に相談を行い、許可を得れば問題は生じません。
しかし、許可を得ず無断で住み続けてしまうと契約違反となり、強制退去となる場合もあります。
借主は、入居人数が増える場合、貸主へ報告することは義務となりますのでご注意ください。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。


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