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6.242024

不動産売買の注意点(売買契約書と37条書面)

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 37条書面とは
  • ■ 37条書面は不動産の契約書ではない
  • ■ 注意点
  • ■ 媒介業者として
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産売買において、売買契約書を作成し、保管しておくことは誰でも理解されているはずです。

しかし、宅地建物取引業法の第37条(書面の交付、以下、「37条書面」という。)をご存じでしょうか。

実は、不動産売買において保管されている売買契約書にはこの37条書面が含まれています。

売買契約書に37条書面?売買契約においてもこの違いを説明することはされません。

そこで、今回は37条書面とは何か、売買契約書とは何が違うのかを含めて「売買契約書と37条書面」の注意点を紹介いたします。

■ 37条書面とは


37条書面とは、不動産の売買契約を締結する際、宅地建物取引業者が売主および買主に対し、交付が義務づけられている「契約内容の記載書面」です。なお、賃貸借契約も同様となりますが、今回のご説明では不動産売買を中心とさせていただきます。

(1)宅地建物取引士の署記名が必要

37条書面は、不動産売買契約の媒介を行う宅地建物取引業者が作成のうえ、売主および買主に対し、交付をします。

37条書面の作成および交付は宅地建物取引士である必要はありません。しかし、37条書面への記名は宅地建物取引士が行わなければなりません。

(2)交付する時期

37条書面を交付する時期は、不動産の売買契約締結に遅滞なく交付しなければなりません。

また、交付する相手は、買主・売主、貸主・借主の不動産売買契約および不動産賃貸借契約に関係する双方の当事者に交付する必要があります。

(3)37条書面に記載する内容

37条書面には、「必要的記載事項」と「任意的記載事項」があります。

●必要的記載事項

必要的記載事項とは、必ず記載しなければならない事項のことです。

1.当事者の氏名・住所
2.物件の特定に必要な表示
3.物件の引渡時期
4.移転登記申請時期(売買・交換のみ)
5.代金・交換差金の額、支払時期、支払方法など
6.構造耐力上主要な部分等の状況について当事者の双方が確認した事項(中古住宅の売買の場合のみ)

●任意的記載事項

取り決めに関する記載事項が、任意的記載事項です。

1.代金・交換差金・借賃以外の金銭の額、授受時期、授受目的
2.契約解除の内容
3.損害賠償額の予定、違約金の内容
4.天災その他不可抗力のよる損害の負担(危険負担)に関する内容
5.瑕疵担保責任の内容
6.公租・公課の負担に関する内容
7.代金、交換差金に関する金銭の貸借のあっせんが不成立のときの措置

■ 37条書面は不動産の契約書ではない


不動産の売買契約書(賃貸借契約書を含む)は、契約書へ記載する内容について定められた事項はありません。

要するに記載する内容は自由となり、「AはBに対して、3000万円で、甲土地を売却し、AとBはその旨合意した。」のみの契約書でも問題はありません。

しかし、この契約書の内容では、宅地建物取引業法の37条で定められた「必要的記載事項」と「任意的記載事項」が記載されておらず、37条書面ではありません。

実務では不動産の売買契約書を宅地建物取引業法第37条の規定に従って作成し、売主および買主に対し、交付が義務づけられている「契約内容の記載書面」、37条書面としているのです。

結果、「売買契約書」と「37条書面」を別々に作成することではなく、1つの書類として作成し、不動産の売買契約書兼37条書面としているのです。

■ 注意点


不動産の売買契約において不動産売買契約書を通常2部作成ものを1部のみ作成し、原本は買主、その写しを売主とする場合があります。

これは、売主・買主の一方か、または双方が不動産売買契約書に所定の印紙を貼付しなければならないものを節約または払いたくない、という理由にて行っているようです。

このように不動産売買契約書に所定の印紙を貼付しない場合、印紙税・証拠力等の問題が発生しますので次の4点をご確認しておいてください。

① 不動産売買契約書の写しに加除修正や押印など行わない場合、印紙を貼付する必要はなく、税法上特に問題は発生いたしません。

② 写しに「本書は原本と相違ありません」と記入のうえ、記名押印し、奥書をした場合には、写しとはいえ、税法上では印紙が必要な文書として取り扱われます。写しであればすべて印紙税の対象から外れると考えるのは、誤りです。

③ 宅地建物取引業法において37条書面作成に当たり、宅地建物取引士の記名押印をした書面を、売主および買主(貸主・借主)に対し、交付しなければならないとされ、写しを渡すということは、宅地建物取引士の押印(赤い朱肉をつかった印鑑)がなく、37条書面としては要件を満たさず違法となります。

④ 万一、係争に発展することを考えた場合、原本を所持していることに比べその写しでは証拠力が劣ります。

■ 媒介業者として


宅地建物取引業法に定める37条書面を適法に取り扱うためには、万一、契約書を1通作成、取引の相手方がその写しを保管する場合、売主が宅地建物取引業者および媒介業者の取引士による記名および赤い朱肉を使った印章で押印しなければなりません。(現在は押印は不必要となりました。)

また、契約内容についての証拠力が契約書の原本に比べその写しは劣ります。

よって、媒介業者は、契約当事者のいずれか一方または双方が宅地建物取引業者であるか、ないか、別として契約書は2部作成のうえ、契約当事者双方が平等に印紙を負担して交わすことを勧めることが責務となります。

■ まとめ


宅地建物取引業者は、宅地又は建物の売買、交換に関して、自ら当事者として契約を締結したときはその相手方、当事者を代理して契約を締結したときはその相手方及び代理を依頼した者、媒介により契約が成立したときは両当事者に、それぞれ契約の成立後、遅滞なく所定の事項を記載した37条書面を交付する義務を負っています。

実務においては、宅建業者が宅地建物取引業法(以下「宅建業法」という)第37条第1項に基づく書面の交付義務を果たしていることを明確にするため、宅地建物取引業者が記名押印した「売買契約書」の交付をもって、宅建業法の定める「37条書面」の交付に代えているのが通例となっています。

不動産に関する契約の当事者である売主・買主、貸主・借主も以上のことは把握し、契約書の確認を行ていただくようお願いいたします。

また、注意点においてもお伝えしましたとおり、売主・買主、貸主・借主においても被害を被る場合もありますので契約書についてご不明な点、ご質問がありましたら媒介業者へ必ずご質問・ご確認を行ってください。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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