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4.82024

賃貸物件の「火災警報器の設置・交換、電池交換」は借主に義務があるのか、を考える

目次

  • ■ はじめに
  • ■ 法改正が行われた経緯
  • ■ 住宅用火災警報器と自動火災報知設備の違い
  •  ー住宅用火災警報器
  •  ー自動火災報知設備
  • ■ 火災警報器を設置しないリスク
  • ■ 火災警報器の管理責任
  • ■ 設置・交換は誰が行うのか
  • ■ 電池交換は誰がおこなうのか
  • ■ まとめ

■ はじめに


賃貸住宅において、煙や熱を感知して、火災の発生を警告する火災警報器が設置されているはずです。

煙や熱を感知して、火災の発生を警告する火災警報器は、消防法の改正に伴い、2006年に新築住宅、2011年には既存住宅も含む全国すべての住宅で設置が義務化されました。

この法改正により賃貸住宅においても例外ではありません

火災警報器の寿命は概ね10年程度なので交換の時期を迎えている方もいるはずです。

火災警報器が万一、電池切れになったり寿命を迎えたりした場合、その費用や手間は貸主が負担すべきなのか、または借主が負担すべきなのか、迷うはずです。今回は、この火災警報器の電池交換、寿命による取替の費用負担について考えてみたいと思います。

■ 法改正が行われた経緯


消防法は、大規模な火災が発生するたび議論されてきました。特に百貨店(デパート)、病院、ホテルなど多くの不特定多数の出入りがある建物についての規制が強化されてきた経緯があります。

この法規制の強化により百貨店(デパート)、病院、ホテルなど多くの不特定多数の出入りがある建物における火災による死者は大幅に減少してきたといわれています。

しかし、消防法は住宅については規制をかけていなかった経緯があります。実は、住宅火災では毎年約1,000人が死亡しており、その理由の多くが火災・煙からの逃げ遅れであり、犠牲者の7割が65歳以上の高齢者と言われています。

また、住宅火災が発生しする時間帯は、就寝時間帯が多く、火災警報器の設置により火災の早期発見、消火及び避難につながり、命や財産を守ることになるため法改正がなされました。

■ 住宅用火災警報器と自動火災報知設備の違い


●住宅用火災警報器

火災警報器は、配線の必要がなく簡単に取り付けができ、警報器そのものが警報音などを出して火災発生を知らせるものです。

●自動火災報知設備

自動火災報知設備は、配線工事によって建物全体に感知器を設置し、火災発生時に火災報知設備の受信機やベルを鳴らしたり、警備会社などに通報したりするものです。

自動火災報知設備は延べ面積500m2以上のマンションなどに設置義務があり、感知器を設置する基準なども消防法で規制されています。

■ 火災警報器を設置しないリスク


賃貸住宅において火災警報器の設置義務はありますが、万一、設置していない場合の罰則規定があるわけではありません。

そのため、現在の賃貸住宅における火災報知器の設置率は100%ではないのが現実です。

しかし、貸主にとって火災警報器を設置していなかったために火災の被害が拡大した場合には、瑕疵または過失と判断され、民事上の損害賠償責任や業務上過失致死傷罪の責任を負う可能性があります。 また、火災警報器を設置しなければ、火災保険の補償を受けられない可能性もあり、火災警報器を設置せずに放置しておくリスクは非常に高くなります。

■ 火災警報器の管理責任


2004年の消防法改正にて賃貸住宅のも火災警報器の設置が義務付けられ、住宅の「所有者、管理者または占有者」が設置義務者に定められたため、火災警報器の設置に関することは貸主、借主そして管理会社も管理責任を負う当事者となります。

■ 設置・交換は誰が行うのか


実際は貸主が設置費用を負担することがほとんどです。賃貸借契約の契約期間は2年単位が多く、火災警報器は10年で取替えが生じるため、借主が火災警報器を設置して引越しのたびに撤去していくのは現実的ではなく、貸主が入退去のたびに点検を行い、必要に応じて火災警報器を交換することがほとんどです。

■ 電池交換は誰がおこなうのか


電池交換については誰が負担をするのでしょうか?

電池切れによる警報音などが鳴った場合、実際に入居している借主が電池切れに気づき、交換をしてしまう場合もあると思います。

賃貸借契約の場合、照明などの電球、エアコン・テレビなどのリモコンの電池切れは借主負担と取決めされていることが多く、火災警報器の電池切れについても借主の費用負担と言うことも考えられます。

万一、借主が電池交換をせずに放置した結果、火災が起こり拡大してしまった場合なども考えられます。

そのため、管理会社や貸主が主体となって定期的に点検を行い、必要があれば電池や本体の交換を行うように取り決めておくことがベストであり、交換や点検、電池後れの場合の借主の通知義務についても、賃貸借契約書に明記しておくことが望まれます。

■ まとめ


火災報知器を設置しない場合でも罰則はありませんが、火災警報器を設置することにより火災発生時の死者数を大幅に減らすことができます。

火災警報器の設置により火災による死亡リスクを大幅に減らすことができます。

大切な借主の命と貸主の財産を守るためにも、火災警報器の定期的に点検、電池交換を行い、適切か作動ができる状態に保っていただきたいものです。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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