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2.22024

不動産売買の注意点(融資利用の特約の適用条件)

目次

  • ■ 融資利用の特約とは
  • ■ 融資利用の特約が適用される条件
  • ■ 買主の努力義務
  • ■ 融資利用の特約の注意点
  •  ー重要事項説明書と売買契約には必要な事項を記載する
  •  ー融資利用の特約は解除の申出が必要
  •  ー融資利用の特約の融資承認取得期日を疎かにしない
  • ■ ローン解除・特約に関する解除に関する紛争事例
  • ■ まとめ

■ はじめに


不動産を購入する場合には金融機関より融資を借りて購入するのが一般的です。不動産の売買契約においてこの金融機関より借入する場合に融資利用の特約というものが設定されます。

不動産の購入をご検討されたことがある方は「融資利用の特約」を耳にされたことがあります。

今回は、融資利用の特約に関する基本的な内容や、適用される条件、実際の注意点などを紹介いたします。

■ 融資利用の特約とは


融資利用の特約とは、不動産売買契約後において、買主が金融機関から融資承認を受けることができず、融資が受けれないときに売買契約を解除し、売主に支払った手付金の返還を求めることができることを定めた特約をいいます。

この場合、売主に支払い済の手付金、仲介業者に支払い済の仲介手数料は全額返還されます。

買主は、不動産を購入する場合には金融機関より融資を受けて売買代金を支払うことが一般的です。

買主側から見て融資を受けることが出来ると思い売買契約を締結したが、何ら落ち度がないにもかかわらず、融資を受けることができなかった場合に手付金を放棄しなくてはならないのは、買主にとって不合理です。その買主の不合理を排除するために設けられているのが融資利用の特約です.

■ 融資利用の特約が適用される条件


融資利用の特約を設定することは買主にとっては売買契約を締結するうえで非常に安心できる特約となります。しかし、その反面、売主にとっては一定のリスクを背負うことにもなります。

売買契約を締結し、ある一定の期間買主の融資の承認をまたなければなりません。そのため、仲介業者は契約に至るまで買主の属性等を把握して、金融機関と事前に打ち合わせをしておくことが重要となります。

では、融資利用の特約はどのような場合に適用されるのでしょうか。

融資特約が適用されるのは次の2点です。

  • 予定していた金額や金利での融資が下りなかったとき
  • 融資特約で指定していたすべての金融機関に断られたとき

■ 買主が負う努力義務


また、買主は売買契約締結後、融資成立に向けての「誠実に努力すべき、信義則上の義務」を負い、これを怠った場合には、融資利用の特約による解除はできないとされています。

 買主の努力義務としては、次の2点です。

売買契約締結後すみやかに融資申込書及び必要書類を提出すること

融資審査手続において、金融機関からの照会があれば、誠実に対応すること

■ 融資利用の特約の注意点


●重要事項説明書と売買契約には必要な事項を記載する。

融資利用の特約の内容について法律で定められていません。よって売主と買主の合意により記載事項の内容で問題はありません。ただし、予め確認しておくべきこととして、以下のような点があげられます。

【重要事項説明書】

  • あっせんの有無
  • 金融機関
  • 融資金額
  • 融資承認取得期日
  • 金利
  • 借入期間
  • 返済方法

【売買契約書】

  • 融資利用の有無
  • 借入先
  • 融資金額
  • 融資承認取得期日
  • 融資利用の特約に基づく契約解除期日
  • 融資利用の特約に関する条文

●融資利用の特約は解除の申出が必要

不動産の売買契約において融資利用の特約は、買主が融資利用の特約に基づく契約解除期日(※特約の融資承認取得期日とは別に定めます。)までに仲介業者と売主に対し、契約解除の申し出をしない限り、売買契約を解除することはできません

ところが、金融機関の審査が通らず、自動的に解除になると思い込んで解除の意思表示をしなかった、ということがあります。

●融資利用の特約の融資承認取得期日を疎かにしない

不動産の売買契約において融資利用の特約は、買主が融資利用の特約に基づく契約解除期日までに仲介業者と売主に対し、契約解除の申し出をしない限り、売買契約を解除することはできないことはお伝えしました。

そして、金融機関の金融機関の審査が通らなかった場合、すみやかに仲介業者と売主に通知をしなければなりません。

この通知期間(融資利用の特約に基づく契約解除期日)を過ぎた場合には、融資利用の特約による解除は適用できなくなり、売主に対し、手付金を放棄して解除する手付解除が適用されます。

※手付解除による解除の場合、仲介業者に支払い済の仲介手数料も返還されません。

また、手付解除の期日をも過ぎた場合の解除では、契約違反による解除により違約金が発生することになります。

※違約金は売買代金の20%を上限として、売買契約契約書に記載されています。

■ ローン解除・特約に関する解除に関する紛争事例


融資の関する紛争事例もあります。参考のためにご覧ください。

一般財団法人 不動産適正取引推進機構 | RETIO判例検索システム

■ まとめ


金融機関からの融資を利用して不動産を購入する際には、融資利用の特約を利用することが一般的です。
融資利用の特約は買主を保護するものです。しかし、重要事項説明書や売買契約書の記載内容が不十分ですと、思わぬトラブルに発展してしまう可能性があります。

買主が融資利用の特約に関するトラブルを避けるためには、仲介業者と綿密に打ち合わせを行い、仲介業者に金融機関との手続きを依頼することも重要となります。


■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)パイオニア(先駆者)を目指しています。

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。

●ご売却をご検討の方は、こちらをご参照ください。

●賃貸をご検討の方は、こちらをご参照ください。

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