全28回連載:全30話
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【第11話】本物っぽく見えたから信じたのに! 〜表見代理(ひょうけんだいり)のワナ〜
こんにちは!藤沢市の不動産屋さんです。
前回の第10話では、頼んでもいないのに勝手にあなたの名前で契約された場合(無権代理)、あなたは原則として無視してよい(無効)というお話をしました。
しかし、民法にはもう一つ恐ろしい例外があります。
勝手にやった人が一番悪いのは当然ですが、「勝手にやられる原因を、あなた(本人)も作っていたとしたら…?」というケースです。
相手から見て「どう見ても本物の代理人にしか見えなかった」という場合、民法はあなたを守るのをやめて、騙された相手を勝たせることがあります。
これを「表見代理(ひょうけんだいり)」(民法第109条など)と言います。今回は、その厳しくも深いルールを解説します!
1. 「表見代理(ひょうけんだいり)」ってどんな意味?
「表(おもて)」に「現れる」と書く通り、「外見上、いかにも本物の代理人のように見えた(表れて見えた)代理」のことです。
実際は無権代理(ニセモノ)なのですが、そう見えてしまった原因が本人(あなた)の不注意にある場合、民法は「相手を騙すような外見を作ったあなたにも責任があるから、契約通りにお金を払いなさい」と命令します。
2. 表見代理になってしまう「3つの代表パターン」
民法では、主に次の3つのケースであなたに責任を取らせます。
① 代理権を与えたと周りにアピールしちゃった場合(109条)
あなたが友達のAくんに「俺の代わりに藤沢のバイク屋で手続きしてよ」と書いた『白紙の委任状』を、まだ頼むか決めていないのに何気なく渡してしまったとします。Aくんがその委任状を勝手に使って、バイク屋で高いバイクをあなたの名前で買ってしまいました。
バイク屋からすれば、あなたのサインがある委任状を見せられたら信じるしかありませんよね。
この場合、あなたは「まだ本当に頼んでない」と言い訳できず、バイクの代金を払わなければなりません。
② 頼んだ範囲を大きく超えて暴走しちゃった場合(110条)
あなたがBさんに「藤沢の私のマンションの『家賃を受け取るだけ』の代理人になってね」と頼み、建物の鍵や書類を預けました。
しかし、Bさんは暴走し、「私はこのマンションの代理人です」と言って、勝手にそのマンション自体を第三者に売却してしまいました。
買った人からすれば、鍵や書類を持っているBさんを本物の売却代理人だと信じるのも無理はありません。この場合も、売却契約は有効になってしまいます。
③ 昔は代理人だったけれど、もうクビにした場合(112条)
あなたが昔、Cさんに土地の売却を頼んでいましたが、怪しいのでクビ(代理権の消滅)にしました。しかし、Cさんはクビになった後も、昔もらった委任状を使って、勝手にあなたの土地を別の人に売ってしまいました。
過去にCさんが本物の代理人だったことを知っている取引相手からすれば、クビになったことなんて知り得ませんよね。これも契約は有効になります。
❌ ただし、相手が「怪しい」と気づけたなら本人の勝ち!
この表見代理が成立してあなたが責任を負うのは、契約相手が「何も知らないクリーンな状態(善意無過失)」の時だけです。
もし相手が「この委任状、なんか怪しいな…」「クビになったって噂で聞いたぞ」と知っていたり、調べればすぐ分かったはずの場合は、表見代理は成立せず、あなたは責任を負わずに済みます。
⚖️ 第11話のまとめ
1.ニセモノの代理人なのに、本物っぽく見える原因を本人が作った場合を「表見代理」という。
2.表見代理が成立すると、勝手にされた契約であっても、本人が責任を負わなければならない!
3.実印、権利証、委任状などの大切な書類を他人に預けるのは絶対にNG!
不動産の世界では、実印や権利証(登記識別情報)は命の次に大切な書類です。
これらを他人に預けるということは、「勝手に家を売られても文句は言えません」という原因を自ら作ることになりかねません。
高校生の皆さんも、将来大人になってから、安易に人に実印を預けたり、白紙の委任状にサインしたりしないよう、肝に銘じておいてくださいね!
次回からは、いよいよ総則を飛び出し、お隣さんとのリアルなルールに関わる第一歩、【第12話:占有権(せんゆうけん)ってなに?泥棒にも権利がある理由】へ突入します。お楽しみに!
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■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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