
目次
- ■ はじめに
- ■ 立ち会いの目的とは
- ■ 立ち合いの法的根拠
- ■ 立ち合いでの問題点
- ■ 立ち合い当日に引っ越しが終わらない場合
- ■ 借主が当日来れない場合
- ■ まとめ
■ はじめに
賃貸借において借主が退去する場合、解約申込書と併せて現状を確認するための立ち会い日を決めることになります。
この退去立会は必ず行わなければならないのか、法的にどうなのか、など借主も何をするのかわからない、という方も少なくありません。
そこで今回は、賃貸借の解約における退去立ち会いについて考えてみます。
■ 立ち会いの目的とは
賃貸物借の退去立ち合いは、貸主・管理会社と借主が事前に借主が室内の残置物をすべて搬出した状態を確認し、原状回復の範囲や費用負担を明確にするための手続きです。
また、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」によれば、退去時の室内確認は双方の認識のずれを防ぐ重要な手続きとされています。
●立ち合いでは主に以下の点を確認します。
①壁や床の傷・汚れの状態
②設備の故障・破損の有無
③鍵の返却
④残置物の確認
■ 立ち合いの法的根拠
賃貸物件の退去立ち会いは、退去時に貸主・管理会社と借主が部屋の損耗状況を確認し、費用負担(原状回復)を決定する重要な過程であり、法律上の義務ではありません。
※トラブルを避けるために実施が強く推奨されています。
立ち合いにおける貸主、借主の主な権利と義務は以下のとおりです。
立ち会いにおける「権利」と「義務」
| 権利 (できること) | 義務 (やるべきこと) | |
| 借 主 | ・立ち会いに同席する権利 ・不明な請求に異議を唱える権利 ・その場でのサインを拒否する権利 | ・部屋を清掃し、 原状回復(故意・過失の修繕)する義務 ・賃貸借契約の解約日までに荷物を搬出する 義務 |
| 貸 主 | ・損耗状況を確認する権利 ・借主の負担範囲を特定し、請求す る権利 | ・国土交通省のガイドラインに基づき適切に精算する義務 ・敷金の精算(返還・控除)を行う義務 |
※原状回復の費用負担ルール
すべての損耗が借主の負担になるわけではありません。基本は国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」にもとづいて決まります。
※借主負担(特約がない場合):
故意・過失によるキズ・汚れ(例:壁に穴を開けた、掃除をせずカビを生やした)、ペットによる汚損、喫煙による壁紙の変色など
※貸主負担(経年劣化・通常損耗):
太陽光による畳の変色、冷蔵庫の後ろの壁の黒ずみ、生活していれば自然にできるキズや汚れ
■ 立ち合いでの問題点
立ち合いでの問題点は貸主・借主の主張が食い違うことがあります。問題となる点は以下の3点が主なものです。
1.「自然な劣化」、「不注意」かの判断
主張が食い違う1番手は、壁紙の汚れや床のキズの扱いです。
借主の主張としては、「普通に住んでいて付いた汚れ(通常損耗)だから責任はありません」一方の貸主の主張としては「これは不注意で付いたキズ(過失)だから修繕費を払ってほしい」この境界線があいまいなため、議論となる場合があります。
2.「入居時からあったキズ」の証明
主張が食い違う2番手は、「キズは入居時からありました」と言っても、証拠がない限り認められることは難しいです。
入居時に貸主、管理会社へ通位置しておかないと「入居時にキズはありませんでした」とされてしまう場合があります。
3.ハウスクリーニング代の負担
契約書に「退去時のクリーニング費用は借主負担」という特約がある場合が多いですが、その金額が相場より高い場合、揉めることがあります。契約時にかならず確認してください。
※揉めないための対応
万一、立ち会いにおいて意見が食い違った場合、以下の対応が考えられます。
原状回復において納得できない場合、「一度持ち帰ってガイドラインと照らし合わせます」と言って、書類に署名せず、後日改めて署名を行うこと。
指摘された箇所を、貸主の目の前で撮影しておくこと。
■ 立ち合い当日に引っ越しが終わらない場合
立ち会い当日に引越しが終わっていない場合、原則として「その日の立ち会いは成立しない」と考えることが一般的です。
立ち会いの本来の目的は、荷物がない状態で壁や床の傷を確認することだからです。
万一、引っ越しが終わらない場合、以下の3つ選択肢から選ぶことになります。
1.立ち会い時間を遅らせる(数時間で終わる場合)
万一、あと1〜2時間で運び出しが終わることが確定できるのであれば、時間を調整もらえるか確認をとる。
※管理会社は1日に何件も立ち会いを詰め込んでいることが多いため、断られる可能性もあります。
2.立ち会い日を翌日ないし後日に延期する
当日中の完了が無理な場合、日を改めて設定し直すことが賢明です。
※契約期間(解約日)を過ぎてしまうと、解約日から立ち合い日までの賃料相当額(日割り)や遅延損害金が発生します。また、次の入居者の入居日によっては損害賠償を請求される場合もあります。
3.荷物がある状態で見てもらい、後日「鍵」を返却する
貸主の承諾が条件となりますが、荷物がある場所を除いて現状の確認を行ってもらうこともあります。
※ 荷物を搬出後、隠れていた傷が発見された場合、原状回復費用を請求をされる原因となります。
また、鍵を返却しない限り、明け渡しの完了とはみなされず、賃料が引き続き発生することになります。
■ 借主が当日来れない場合
借主が何らかの理由にて立ち合い当日来れない場合、以下の3点を検討することになります。
1.代理人を立てる
親族や友人などに代理として立ち合いをお願いする方法です。
この場合、事前に貸主、管理会社へ「本人が行けないため、代理として〇〇(続柄など)が立ち会います」と事前に伝えておきます。
また、委任状は必ず必要となるため、管理会社にある程度余裕のある日数を確保し、確認してください。
2.借主立ち会いなしで進める
立ち会い自体は法律上の義務ではないため、欠席して貸主側だけで確認してもらうことも可能です。
ただし、貸主や管理会社は合鍵などで室内立ち入りはできませんので事前に鍵を返却(郵送や管理窓口への持参など)しておく必要があります。
また、貸主側の言い分だけで修繕費が決まるリスクがあるため、必ず荷物を搬出した後の室内写真を撮って保存してから鍵を返却してください。
※借主不在の立ち合いを認めている管理会社は限られていますので、事前に確認が必要です。
3.日程を延期する
万一、契約期間(解約日)までに余裕がある場合、後日改めてもらうこと最も確実です。
※解約日ギリギリで延期すると、明け渡しが遅れた分だけ日割り家賃や、次の入居者が決まっている場合は損害賠償が発生する可能性があります。
●借主の行っていただきたい行動
管理会社へ連絡のうえ上記1〜3のどの方法が可能か相談してください。
立ち会わない場合、床・壁・水回り・建具など、後で「ここが汚れていた」と指摘されないように、写真などで記録を残してください。
■ まとめ
1.立ち会いは「義務」ではないが「権利」
立ち会わなくても罰則はないが、欠席すると貸主側の言いなりで修繕費を決められるリスクがある。
自分の身を守るため、「荷物を全部出した後の写真」を証拠として必ず残す。
2.「立ち会い」と「合意」は別物
立ち会いには出席しても、提示された費用に納得できなければその場で合意しなくてよい。
「一度持ち帰ってガイドラインを確認します」と言って保留する権利がある。
3. 荷物が終わらない・立会できない時の鉄則
まずは即電話: 無断欠席や遅刻はトラブルの元。すぐに管理会社へ連絡し、日程変更か「鍵返却のみ」にするか相談する。
鍵を返せば完了: 立ち会えなくても、鍵を返却(郵送等)した時点で「明け渡し」は成立する。ただし、解約日を過ぎると追加家賃が発生する。
一言でいうと、「立ち会いはなるべくした方がいいが、納得いかない請求にはサインせず、証拠(写真)で対抗する」のが正解です。
立ち合いといってもいくつかの問題が生じることもあります。状況が変わった場合、至急管理会社へ相談をするようにしてください。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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