
目次
- ■ はじめに
- ■ 分譲マンションの1室を借りる場合
- ■ 賃貸借物件を借りる場合
- ■ 区分所有者法の管理規約と賃貸借契約の規約の違い
- ■ 賃貸物件での管理規約はなぜ?少ないのか
- ■ まとめ
■ はじめに
賃貸物件を借りる場合、契約日に賃貸借契約に署名捺印をされるはずです。
この賃貸借契約とは別に管理規約・使用細則を作成している管理会社もあります。
多くの管理会社は賃貸借契約のみにとどめており、管理規約・使用細則を作成していない会社が多数を占めているようです。
では、この賃貸借における管理規約・使用細則とはどのような位置づけとなるのでしょうか。
今回は。この「管理規約・使用細則」について考えてみます。
■ 分譲マンションの1室を借りる場合
1.賃貸借契約書は民法上の契約となります。
これは貸主と借主との間における当事者間の合意となります。
法的には「債権債務関係」を発生させることになります。賃貸借契約は、契約自由の原則に基づき、公序良俗に反しない限り、当事者同士で自由に内容を決められ、貸主、借主どちらかが違反すれば「契約解除」や「損害賠償」の対象となります。
2.管理規約・使用細則は区分所有法上の自治法となります。
分譲マンションの場合、区分所有法という法律に基づき、マンションという共同体を維持するために作られる「団地内の法律」が管理規約・使用細則となります。
では、なぜ?貸主が管理規約・使用細則を守らなければならないのか、それは、区分所有法第46条第2項により、「占有者(借りている人)」も、区分所有者が負う義務と同一の義務を負うと定められているからです。
借主が管理規約・使用細則に署名していない場合でもマンションに居住する以上、区分所有法により自動的にそのルールに従う義務が生じます。
万一、管理規約・使用細則に違反して共同生活の維持が困難な場合、管理組合は借主に対して「使用停止」や「引き渡し(退去)」を裁判所に請求できる法的権利を区分所有法により認められています。
■ 賃貸借物件を借りる場合
賃貸借物件の場合、分譲マンションとは異なり区分所有法に抵触しませんので管理規約・使用細則という法的な枠組み自体が存在しないことになります。
では、賃貸借物件の場合の管理規約・使用細則の扱いは、どのようになるのでしょうか。
答えは、区分所有法にもとづく管理規約ではなく、賃貸借契約の特約となるのです
分譲マンションの場合、各部屋ごとに所有者が異なるため、区分所有法という法律に基づき、区分所有者全員で管理規約を作ります。※作成は、ほとんどのケース分譲会社です。
一方、アパートは通常1棟1人の所有者が所有しています。
そのため、管理規約は共同体の法律ではなく、所有者が定めた「契約の条件」という扱いになります。
よって、賃貸借の管理規約・使用細則は、借主の同意(署名・捺印)が必要となります。また、賃貸借物件でゴミ出し、騒音、共用部への荷物置きなどの規約の定めに対し、違反した場合、法的な流れは、分譲マンションよりもシンプルですが、厳格となります。
判例上、ルール違反を繰り返して貸主との「信頼関係が破壊された」とみなされると、賃貸借契約の解除(強制退去)が可能になります。
分譲マンションの場合、苦情・警告などは管理組合から行われます。一方、賃貸借物件は管理組合の存在がないため、管理会社から直接行われることになります。
■ 区分所有者法の管理規約と賃貸借契約の規約の違い
区分所有法 vs 賃貸アパート 規約の違い
| 比較項目 | 分譲マンションの管理規約 | 賃貸アパートの規約 |
| 法的な根拠 | 区分所有法(第30条など) | 民法(賃貸借契約の特約) |
| ルールの性質 | マンションという共同体の「自治法」 | 貸主と借主の「個別の約束事」 |
| 効力の発生 | 区分所有法により承認 | 契約書に署名・捺印することにより承認 |
| 作成する人 | 所有者の合意(総会決議) | 所有者・管理会社 |
| 変更の手続き | 区分所有者の3/4以上の賛成が必要 | 所有者・管理会社が変更し、借主が同意する |
| 違反した場合 | 裁判所による競売や使用禁止の請求も可 | 賃貸借契約の解除(退去勧告) |
1.効力の源泉(なぜ守る必要があるのか)
分譲マンション(管理規約)
区分所有法第46条により、「占有者(借りている人)」も規約を守る法的義務があると定められています。極端に言えば、規約を読んでいなくても、住んでいるだけで法律によって縛られます。
賃貸借物件
法律で自動的に決まるものではありません。契約書の特約に「別紙ルールを守る」と書いてあるから守る、という「契約上の義務」です。
2.ルールの「重み」と変更
分譲マンション
多くの所有者の権利が絡むため、ルール一つ変えるのも大変な手続き(総会)が必要です。その分、ルールには非常に強い安定性があります。
賃貸借物件
貸主一人で決められるため、時代に合わせて柔軟に変えられますが、逆に言えば貸主の意向が強く反映されます。※ただし、借主に一方的に不利な変更は認められません。
3. 解決へのアプローチ(実務的な違い)
分譲マンション
何かあれば「管理組合(理事会)」が窓口になりますが、組織的なので動きが遅かったり、定型的な対応になりがちです。
賃貸借物件
貸主、管理会社の担当者の裁量でルール以上の柔軟な対応(例:匂いの徹底調査など)をしてくれる余地があります。
■ 賃貸物件での管理規約はなぜ?少ないのか
管理規約・使用細則は、借主にとっても様々な判断ができる冊子です。そのため、「伝えた、伝えてない」とトラブルになることを防いでくれるものです。
では、なぜ?作成している賃貸借物件が少ないのか、これは、「守りの姿勢」と「標準化」という背景があります。
1.「クレームを生まない」ための策
どの管理会社も特定の物件に特化した細かいルールを書くよりも、「どこでも通用する、誰からも文句が出ない無難な内容」にとどめるからです。
詳細に書きすぎると、逆に「なぜここはこうなっているんだ」という問い合わせが増えるため、あえて抽象的にしている側面があります。
2.「法的リスク」を嫌う
コンプライアンス(法令遵守)が厳しくなるにつれ少しでも「借主の権利を侵害している」と突っ込まれるような強い表現を避けたがる傾向です。
例えば「絶対に音を立てるな」とは書けず、「周囲に配慮しましょう」といったマナー啓発のような表現に落ち着いてしまうため、読み手としては「当たり前のことしか書いていない」と感じることになります。
3.「効率化」を目指している
管理会社の多くは、賃貸事業は「安定した管理料」を稼ぐビジネスと考えています。
一人ひとりの入居者に寄り添った「便利なルール」を作成するよりも、「いかにトラブルなく、効率的に回転させるか」に重きを置いています。
その結果、入居者が本当に知りたい「痒い所に手が届く情報」が抜け落ちてしまっていることがあります。
■ まとめ
賃貸借物件で「管理規約」というものが今後、作られることは稀ですが、「トラブル防止のための詳細なルールブック」はより具体的になっていくと思われます。
しかし、借主にとって大切なのは複雑な問題が起きたとき、結局最後に頼りになるのは「規約の細かさ」ではなく、「そのルールを背負って動いてくれる人の質」であるという現実は、今後も変わらないと思われます。
今後のお部屋探しの際には、管理規約・使用細則と含めて何かあったとき、動いてくれる担当のいる会社を選ぶことも大切と思われます。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠

私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。

●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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