目次
- ■ はじめに
- ■ 原則は、借主の負担
- ■ 賃料・共益費・管理費は何のために支払う?
- ■ 貸主・管理会社の対応が必要となる場合
- ■ 雪を処分できない場所
- ■ まとめ
■ はじめに
今年は、冬型の気圧配置の影響で日本海側を中心に大雪となり、西日本や北陸などでは積雪が平年の3倍を超えているところがあるようです。
引き続き交通への影響のほか、除雪作業中の事故などにも注意してください。
この時期になると心配なのが積雪です。
昨今では、気象変動の影響か、例年であれば雪が積もらなかったエリアでも記録的な大雪が降る場合もあります。
その場合、必要となるのが除雪作業です。
この除雪作業、賃貸物件の場合、誰が行うべきものなのでしょうか。
今回、賃貸住宅における雪が積もった場合に誰が対処するべきなのか、を考えていきます。
■ 原則は、借主の負担
地域や管理会社によって違いはありますが、除雪は原則借主(入居者)が負担するべきことになります。
その根拠となるのが、借主の「善管注意義務」です。
善管注意義務とは「善良な管理者としての注意義務」の略称です。
例として、賃貸物件が汚れたらシミや腐食が発生しないよう掃除をする。雨が降れば室内に雨が入らないように雨戸を閉める。と言った具合です。
賃貸物件を大切に扱うということをしなければ善管注意義務を守っていないことになります。
雪が積もった場合も同様、雪かきが必要な場所ができてしまったときは、借主が善良な管理者として保存行為(除雪)を行なうことが求められます。
賃貸住宅から敷地外に出るまでに必要な通路となる部分、駐車場、駐輪場。その他賃貸借契約において貸主より借りているものを使用するために必要な範囲の除雪は、借主の対応が求められるのです。
■ 賃料・共益費・管理費は何のために支払う?
賃貸住宅の場合、借主から見た場合「賃料、共益費・管理費などを支払っているのだから、貸主か管理会社がやるべきでは?」と思われる方も少なくないはずです。
しかし、賃料、共益費・管理費とは次の意味合いがあります。
賃料とは、「居住用建物の使用収益に対する経済的な対価」。
共益費・管理費とは、「居住者が共に利益を受けている外灯・エレベーターなどの共用部分の維持・管理のために支出する費用」。
と、毎年のように雪が積もる地域を除き、賃貸借契約書に「除雪」についての費用負担が貸主か管理会社と明記されていない限り無理ということになります。
■ 貸主・管理会社の対応が必要となる場合
除雪は、原則借主の負担であることはすでにお伝えしました。
ただし、雪が積もるほど降らない地域では、除雪に慣れている方は少ないはずです。
そのため、雪が止んだ後、何日も雪が積もった状態という話もあります。
放置された積雪や不十分な除雪による通路・階段の凍結が原因で、事故やトラブルが発生する恐れもあります。
原則から言えば、借主から除雪の要請があったとしても、管理会社に「日常的な物件管理」に含まれていない場合、管理会社としては必ずしも応える義務は発生いたしません。
しかし、除雪が行われないことで思わぬトラブルや事故が起こる場合もあります。
管理会社として除雪が行われないことで思わぬトラブルや事故が起こる場合があれば、できる限り現地にて除雪を手伝うなどの対応も必要になる場合もあると思います。
また、建物の屋根や駐輪場の屋根など借主では除雪が難しいところもあります。
■ 雪を処分できない場所
除雪を行う場合、雪を処分してはいけない場所があることを覚えていてください。
雪を処分してはいけない場所は次の3つがあります。
①道路
②下水道
③川
交通に支障を来すものを道路に放置することは法律で禁止されています。雪かき後の雪も交通の妨げとなるため、道路に捨てることはできません。
違反すると1年以下の懲役または50万円以下の罰金が科せられてしまいます。
下水道や近くに川がある場合も、つい捨ててよいと思いがちですが、捨ててはいけないことがそれぞれ法律により定められています。下水道の場合は、違反すると5年以下の懲役または100万円以下の罰金、川の場合は、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金が科せられてしまう可能性がありますのでご注意ください。
また、法律で罰せられることはなくても、ほかの人の敷地や駐車場前、空き地などに雪を捨てるとトラブルの種となります。
基本的には、除雪後の雪は通行のじゃまにならない敷地内の隅に寄せておくことがベストです。
■ まとめ
賃貸物件の除籍に関して誰が対処するべきなのか、をお伝えしました。
除雪は、原則借主(入居者)が負担するべきことになります。
除雪に関する問題は、実際にどの程度の積雪量によっては、借主(入居者)のみでは対応しきれない場合もあります。
万一、積雪量が多く、借主(入居者)では対応しきれない場合、貸主・管理会社も協力してもらうことも大切です。
場合によっては借主同士のトラブルに発展したり、屋根や設備の故障につながったりする場合もあります。
また、積雪量によっては専門業者に依頼して除雪作業を検討してみることも大切です。
■記事の投稿者 飯島興産有限会社 飯島 誠
私は、予想を裏切るご提案(いい意味で)と、他者(他社)を圧倒するクオリティ(良質)を約束し、あなたにも私にもハッピー(幸せ)を約束し、サプライズ(驚き)のパイオニア(先駆者)を目指しています。
1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。
●資産管理(相続・信託・後見制度)につきましては、こちらをご参照ください。
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