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1.252023

相続に関する改正点

令和5年度の税制改正大綱が昨年の12月16日に発表されました。

このたびの税制改正大綱の相続に関する改正点は次の5点です。

1.生前贈与加算の対象期間が3年から7年に延長 

 (令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税から適用)

2.相続時精算課税制度の見直し 

 (令和6年1月1日以後に贈与により取得する財産に係る相続税又は贈与税から適用)

3.教育資金、結婚・子育て資金の一括贈与に係る贈与税 

 (令和5年4月1日以後の一括贈与から適用)

4.空き家に係る譲渡所得3000万円控除の見直し

5.マンションの相続税評価

正式には、税制改正は令和5年の春頃に決定する予定です。詳細は、詳細が把握できる時期にコラムでお伝えさせていただきます。

この令和5年度の税制改正大綱について関心を集めることは間違いないのでしょうが、この春、令和4年度から相続に関する新設される法律や不動産登記法・民法・戸籍法の改正が来年度に向けて始動していきます。

今回のコラムでは、これらの新設される法律および改正される法律を簡単にまとめてご紹介させていただきます。

1.【預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律】創設(2024年度サービス開始予定)

①預貯金口座管理制度

2021年5月12日に成立したデジタル改革関連6法の一つである「預貯金者の意思に基づく個人番号の利用による預貯金口座の管理等に関する法律」に規定されています。

この法律では、①本人の同意を前提とし、一度に複数の預貯金口座への個人番号の付番が行える仕組み、②金融機関窓口からの番号登録だけでなくマイナポータルからも登録できる仕組み、③相続時や災害時に預貯金口座の所在を確認できる仕組み、を定めています。

預金者自らの意思で自分が所有している預金口座とマイナンバーを紐付けしておくことで、いざ自身の相続が発生した際に、残された相続人は亡くなった方の預金口座を一括で把握することができる、というものです。

2.【不動産登記法】改正3点

①相続登記の義務化(2024年4月施行)

亡くなった被相続人名義不動産について、相続人は自身が相続したことを知った時から3年以内に相続登記をしなければならなくなります。正当な理由なく相続登記を怠った場合は10万円以下の過料が科される予定です。

②相続人申告登記制度の創設(2024年4月施行)

遺産分割協議がまとまらずに速やかに相続登記ができない場合は、相続人であることを申告すれば相続登記をする義務を免れることができます。相続人申告制度を利用した場合には法務局が登記簿に申告した相続人に住所や氏名などを記録します。その後、遺産分割協議がまとまったら、その日から3年以内に登記しなければなりません。

③住所変更登記の義務化

個人や会社の氏名や住所・商号や本店所在場所が不動産登記簿上から移転等して変更された場合に2年以内に住所変更登記をしなければ5万円以下の過料が科される予定です。なお、法務局が住民基本台帳ネットワークや会社などの法人情報管理システムから変更を把握した時は法務局の判断で変更登記ができるようになります。

3.【民法】①改正 ②改正・新設

①遺産分割協議の期限設定(2024年4月施行)

遺産分割協議の期限を相続開始から10年と定めて、10年を経過しても遺産分割協議が未了であれば原則として法定相続分に従って分割することになります。相続発生前に財産を多く貰っていた場合の特別受益や被相続人の財産の維持や増加に特別の貢献をした相続人に対する寄与分は考慮できなくなってしまいます。ただし、10年経過後遺産分割協議ができないという趣旨ではありません。

②相続土地国庫帰属法新設

「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」が成立し、相続または遺 贈(相続人に対する遺贈に限る)により取得した土地を手放して、国庫に帰属させることを可能とする制度が創設されます。なお、同法では、「承認申請自体が認められない土地」(却下要件として建物の存する土地、 担保権等が設定されている土地、境界が明らかでない土地など)や、「状況等次第では承認が認 められない土地」(不承認要件として土地の通常 の管理または処分を阻害する工作物、車両また は樹木その他の有体物が地上に存する土地等) が規定されています。このため、必ずしも、相続人の希望に応じて、土地を手放すことができない場合もあります。また、相続人が審査手数料と10年分の管理負担金を納入しなければなりません。

4.【戸籍法】改正

①相続人確定のための戸籍一括請求が可能に(2024年度以降)

現状、相続税の申告手続きや相続登記を行う際には、亡くなった方の戸籍謄本や改製原戸籍、さらに相続人の戸籍謄本を本人の本籍地を管轄する市役所で取得する必要があります。

出生から死亡するまでの間に、婚姻や離婚・養子縁組・転籍・分籍といったように、本籍地を変えられている場合、過去に本籍を置いていた市役所全てで、戸籍関係の書類を集める必要があります。

新しい戸籍法が施行されますと、相続人の最寄りの市役所で、マイナンバーカードや運転免許証を提示のうえ申請手続きを行うことにより、相続人の戸籍謄本および亡くなった方の戸籍謄本、改製原戸籍、戸籍の附票等を揃えることができることになります。

その他、改正される点はありますが、今後詳細はご報告させていただきます。

飯島興産の相続対策

■記事の投稿者 

飯島興産有限会社 飯島 誠

1965年神奈川県藤沢市生まれ。亜細亜大学経営学部卒業。(野球部)
東急リバブル株式会社に入社し、不動産売買仲介業務を経て、その後父の経営する飯島興産有限会社にて賃貸管理から相続対策まで不動産に関する資産管理、売買仲介、賃貸管理を行う。
コラムでは不動産関連の法改正、売買、賃貸、資産管理について、実務経験をもとにわかりやすく発信しています。